§  ポータブル・ヘッドフォンアンプを作ってみた

 Raspberry Pi ZeroとminiBOSS DACのプチ・プレーヤーは、じっくりと構えて音楽鑑賞する本格的なオーディオシステムと違って、書斎や寝室などでちょこっと音楽を聴いたりBGMを流すのにはもってこいです。そんな用途ならヘッドフォンで楽しみたいので何とかならないかと頼まれて、同型のオーディオプレーヤーと小さいヘッドフォンアンプを作ってさしあげることにしました。
 と言っても、組み立てるのは秋月電子通商で購入したポータブルヘッドフォンアンプキット、AE-HPPMLです。ケースもパーツ類もすべて揃っているので、いくつかの部品をハンダ付けするだけで完成します。今回は直接ITとは関係ありませんが、組み立てのポイントをレポートします。
 出来上がったアンプにオーディオプレーヤーをつないで、ゼンハイザーのヘッドフォンで試聴すると予想以上にグー! 手放したくなくなったなぁ。


Ⅰ.ハードウェアの準備

1.組み立てキットの選択

 低歪みオペアンプや高性能薄膜フィルムコンデンサーを使用していてクリアな音質が期待できること、しゃれた金属ケースがついていることなどで、秋月電子通商の「ポータブルヘッドフォンアンプキット AE-HPPML」を選びました。価格は税込みで6,000円です。
 主な特長と仕様は次の通りです。
   ・Burrbrown社製の低歪みオペアンプ OPA2353を使用
   ・入力カップリングコンデンサーにRubycon社製高性能薄膜フィルムコンデンサーを使用
   ・入力、出力はステレオミニジャック
   ・正負二電源方式(±3V)
   ・電源は単4型乾電池4本で動作
   ・入力抵抗: 50kΩ
   ・適応インピーダンス: 4Ω、8Ω、16Ω
   ・周波数帯域: 10Hz~50kHz
 キットはコンパクトな包装で届き、ビニール袋で小分けされた部品や基板などが詰められています。


2.その他に必要なもの

 単4型乾電池が4本必要になります。アルカリ電池を購入しました。
 さらに、付属のツマミの取り付け具合が悪かったので(ボリューム軸の切りかけ部分でビス止めすると音量ゼロ位置がズレる、またボリューム止めのナットが丸見えになる)、サトーパーツのメタルツマミ K-29-6.1に交換しました。モノタロウから税込み377円で購入です。
 そしてminiBOSS DACとつなぐためのケーブル。2つのRCAフォノケーブルを3.5mmステレオジャックにまとめる、長さ1mのものをAmazonで購入、659円でした。


3.使用する工具類

 次の工具や消耗品を使用します。
   ・30W程度の半田ごて
   ・糸ハンダ
   ・ドライバー
   ・六角レンチ
   ・ニッパー
   ・ラジオペンチ
   ・平棒やすり
   ・サンドペーパー600番と1000番(必要に応じて)


Ⅱ.組み立て作業

 組み立ては手順を間違えなければ1時間もあれば十分です。ただし、後で述べるケースのバリ取りにこだわるともう少し時間が必要かも知れません。そして注意すべきは、「付属説明書の組み立て方法にしたがわない」ことです。まずLEDをハンダ付けするように書かれていますが、そうするととんでもないことになります。以下の手順で進めるのが良いと思います。
 ①ケースを部分的に組み立てる

 表面版のネジ穴4カ所と側面板をビス止めして底板を取り付けてみます。

 ②基板をケースに収めてみて基板を削る

 写真のように、ボリュームや入出力ジャックを取り付ける側を表面板に向けて、表裏に注意して正しく置いてください。基板は表面板に接触しなければならないのですが、左右のビス(赤丸部分)が接触して移動できません。そこで約1cmほど、基板の底部の角を平棒やすりで削り取ります。底側を斜め45度に削りますが、その様子は後の「ハンダ付け後の基板裏面」の写真を参考にしてください。


③ボリューム、入力・出力ジャックのハンダ付け

 付属説明書の基板シルク図を参考にして、この3つを基板にピッタリ接触するようにハンダ付けします。下の写真は、これから基板にハンダ付けする部品です(電池ボックスを除く)。

④電解コンデンサーのハンダ付け

 4つの電解コンデンサーの足を90度曲げて、基板の極性に合わせてハンダ付けします(写真はそれぞれ基板の表面と裏面)。終わったらリード線をニッパーで切り取ります。


⑤LEDの位置決めとハンダ付け

 一番難しいのがこの部分です。LEDは表面板の穴にピタリとはまるように取り付ける必要があります。極性に注意して(長い足がアノード)ハンダ付けする前に位置を決めます。基板をケースに乗せてボリュームや入出力ジャックが定位置になるように設置して、慎重にLEDの位置を決めます。必要なら片足だけハンダ付けして位置を確認してから、残る方も溶接します。そしてリード線を切り取ります。

⑥電池ボックスのハンダ付け

 2つの電池ボックスの赤・白線を捩って、それぞれ基板の極性に合わせてハンダ付けします。

 写真はすべてのハンダ付けが終わった基板の裏面です。②で削った部分は赤丸のようになっています。またLEDは黄色の破線を目安に前後の位置を決めるといいでしょう。


⑦収納とボリュームのツマミ取り付け

 写真のように基板と電池ボックスをケースに設置して、ボリュームのシャフトをワッシャとナットで締め付けます。これで基板はケースにしっかり固定されます。次にツマミのビスをシャフトの切り込みに合わせて、六角レンチで締めて固定します。そして写真のように電池ボックスをセットして、天板をはめて裏面板をビス止めします。これで基板・電池ボックスともドンピシャでケースに収まります。

 これで完成なのですが、ケースの表面と裏面の金属板にプレスによって発生したと思われるバリ(粗いキズ)があるのでとることにしました。プレート自体はとても美しいのですが、切り口がお粗末なのです。腕力と時間を要する作業です。固いものの上に敷いた600番のサンドペーパーにプレートを擦りつけて荒削りし、キズを除去します。さらに1000番のペーパーに変えて磨きをかけます。最後に新聞紙に強く擦りつけて磨くとピカピカになります。
 これで良し。写真は、ツマミをサトーパーツのものに取り替える前のものです。


Ⅲ.試聴と課題

 miniBOSSとアンプをケーブルで接続し、ヘッドフォンをセットします。写真のツマミが変わっているのがわかるでしょうか? ヘッドフォンは少々古いが良い音質とデザインで人気があった「ゼンハイザー オープン型 HD595」です。アンプ出力がミニジャックなので変換プラグを取り付けて差し込む。スイッチを入れてボリュームを中ほどまで回す。Volumioを立ち上げて選曲し、音量を35あたりまで上げると十分な音量で再生が始まっています。
 おお、ゼンハイザーが歌っています。癖のない透明感のある音質です。これならプレゼントしても喜んでもらえそうだ。が、手放すのが惜しい気持ちも・・・。



〔今後の課題〕

 自分の耳には申し分ない音質なのだが、加齢のフィルターは正しい高音域を聴かせてくれない。良質の電解コンデンサーを使用しているのだが、オーディオ用のさらにハイグレードなものに交換すると高音の伸びが良くなるとのレポートもチラホラ。贈る相手は若手なので、その意見を聞いてから対応を考えることにしよう。
 そしてもう一点、電池がどのくらいの時間もつかがわからないので、これも使用後の状況をみることにしよう。電池交換のために背面パネルの4本のビスを外すのは大変手間がかかり、ビスを紛失する危険も大きい。DCコンバーターで3.0V電源を作るのは簡単だが、ノイズの影響がどの程度音質を損なうかを考えると躊躇してしまう。ま、これも今後の使用感を聞いてからのことだ。