3. ヘッドフォンアンプの製作

 このプロジェクトを通して、Raspberry Pi Zeroからの音声出力はヘッドフォンアンプで増幅し、音量を調整してイヤフォンに出力します。今回は市販のキットを入手してヘッドフォンアンプを製作します。



1.オペアンプNJM4580DD使用のキット

 秋月電子通商から販売されているヘッドフォンアンプキットを入手して、コンパクトな基板にパーツを組み付けハンダ付けして仕上げます。
 まずは、次のリンクをクリックして同社の製品紹介ページを見てみましょう。
   NJM4580DD使用ヘッドホンアンプキット  \540.-

 とてもコンパクトでシンプルなのですが、NJM4580DDという2回路入りのオペアンプを採用していて、ステレオサウンドの増幅処理をすることができます。真空管やトランジスターで工作をした年代の方なら、小さなオペアンプは魔法のチップに見えることでしょう。小ぶりながら素晴らしい性能を発揮します。
 製品紹介にあるように、このアンプはオペアンプ入門・学習用のキットなのですが、これを選択したのは明確な理由があります。それは、「左右の音量を独立して別々に調整できる」からです。耳も目と同じように、左右の聴力にはバラツキがあります。多くのヘッドフォンアンプは、二連ボリュームで左右の音量を同時調整するようになっているので今回の用途には適していません。


2.キットを組み立てる

 さて、キットの組み立て方についてどのように進めようかと考えていたら、もうその必要がないほど素晴らしい情報と出会うことになりました。
   DIY環境さんの『ヘッドホン・アンプ・キットで快適に (1)組み立て』です。

 回路や部品の説明から始まって、ハンダ付けのしかたや部品の取り付け方法、最終確認までがきわめて詳細かつ丁寧に解説されています。きれいな写真が豊富で、これ以上わかりやすくはできないですね。で、この部分はDIY環境さんに「おんぶに抱っこ」させていただきたいと思います。ありがとうございます。

 で、上記の記事を読んでいただいた後にお節介を一つ。
 製品紹介ページにある「組立説明書」のリンクもぜひ参照していただきたいのです。
 で、お勧めしたいのは、そこに記載されている回路図を精読していただくことです。今後もブレッドボードで配線をしたり、汎用基板(ユニバーサル基板とも)で組み立てることが増えますが、ともすれば図や写真のとおりにやって一丁上がり、ということでは理解が進みません。

 配線図は山登りに必要な地図に例えられるでしょう。事故を防ぎ快適に山を歩く、とりわけ単独行では地図読みは不可欠です。同じように、図や写真あるいは実物と配線図を照らし合わせて、行っていることの意味を理解することはとても大切です。組立説明書には配線や部品記号の説明も載っています。ぜひ、どうぞ!


 今回は素晴らしい情報に出会えたおかげで、ほとんどなすこともなく完了です。次回はこのヘッドフォンアンプを使って、アナログマイクを作りつけて「アナログ方式の聴力補助ツール」を作ってみましょう。お楽しみに!