1.マイクアンプの小型化
ケースは HAT24の 1/2サイズを目標にして、タカチ電機工業の YM8-3-5アルミケース(外寸 W80mm×H30mm× D50mmで内寸は 78mm×28mm×48mm)を選択しました。
そのためには、比較的小さいマイクアンプもさらに小さくする必要があります。ケースの側面に取り付けたいので、ユニバーサル基板の幅を25mm程度にしなければなりません。回路は HAT24と同じですが、幅が30%少ない基板に左右2回路を組み付けました。

2.Teensyとオーディオ・アダプタの小型化
HAT24の時と同様に、ブレッドボードにピンヘッダの長い方を取り付けて、短い足の上に Teensyボードを乗せハンダ付けします。写真左がピンヘッダをハンダ付けしたものです。写真右は、これと組み合わせるオーディオ・アダプタです。

今回はピンソケットを使わないで、長い方のピンをそのままオーディオ・アダプタのピンホールに差し込んでハンダ付けします。これで高さを8.5mm低くできます。また HAT24の場合と同様に、Line In, Line Out, 3.3V・VOL・GNDの部分は、他のボード等との配線用にロングピンソケットをハンダ付けしておきます。

3.組立と配線
当初は以下のように組立・配線をしましたが、その後のノイズ対策で取付部品や配線を変更することになります。今回の記事を最後まで読んでから作業に取りかかってください。
〔組立〕
幅80mm、高さ30mm、奥行50mmの小さなケースですが、組み付けの自由度は高いです。底の部分はユニバーサル基板を配置して、その上にモバイルバッテリーの受電用USBコネクターと[Teensy+オーディオ・アダプタ]ボードを組み付けます。側面にはユニバーサル基板上にマイクアンプとイヤフォン用のプラグを取り付けます。
このように、外部接続のコネクターやプラグはボード直付けで省スペース化しています。正面パネルに取り付けるのは、電源ON/OFF用の単極スナップスイッチだけです。
〔配線〕
マイクアンプやオーディオ・アダプタのロングピンソケットへの配線は、ピンヘッダー(オスL型)を用います。
①マイクアンプの入力(L/GND/R)をマイク入力プラグに接続します。
②マイクアンプの出力(L/GND/R)をオーディオ・アダプタボードに接続します。
③モバイルバッテリー受電部の(-)をオーディオ・アダプタボードのGNDに接続します。
④モバイルバッテリー受電部の(+)を 電源スイッチを介して Teensyの 5Vピンに接続します。
⑤オーディオ・アダプタボードの [3.3V]と [GND]をマイクアンプの VCC(+/-)に接続します。
⑥LEDを4.7kΩの抵抗器を通して(極性に注意して)オーディオ・アダプタボードの [3.3V]と [GND]に接続します。

〔ケース〕
ケースカバーの左右の面を切り取って、左側からUSB給電ケーブルでモバイルバッテリーに接続します。ステレオマイクへのケーブルや、後述の3V単3電池への配線もここから引き出します。右側は オーディオ・アダプタのイヤフォンジャックと TeensyのUSBポートを露出させておき、イヤフォンを接続します。USBポートは最初のソフトウェア書き込み時と、イコライザーパラメーターなどの調整が必要になったときにパソコンと接続します。

4.ノイズ原因の調査と改造
①初回のソフトウェアインストール
HAT25のソフトウェアは、HAT24のものをそのまま使用します。インストール方法は前回の『高性能マイクロコントローラー Teensy版 聴覚補助ツール』の第6章「組み立てと配線・仕上げ」の「5.HAT24のチューニング」に従ってください。そこにも記載していますが、次の点はくれぐれも注意してください。
〔注意事項〕
電源用USBポートにモバイルバッテリーを接続した状態で、Teensyの USBポートをパソコンに繋がないでください。もし両方から同時に電圧が加わると Teensyは破壊されます!
モバイルバッテリーを接続していないことを確認してパソコンにUSB接続しインストールを行います。Tennsyへのスケッチの書き込みとチューニングが終わると、補聴器として機能していることが確認できます。
②ノイズの原因追跡と改造
ノイズ原因を調べた結果、マイクアンプの供給電源に問題があることがわかりました。オーディオ・アダプタボードの [3.3V]と [GND]からマイクアンプの VCC(+/-)への配線を取り外して、3Vの乾電池につなぐと微少ノイズがピタリと消えました。
これに伴って部品と配線を変更です。まず、充電式単3電池を2本、電池フォルダーに直列接続して 3V電源にします。続いて、電源スイッチを2回路用に取り替えて、
・片方は今までと同じ、モバイルバッテリー受電部の(+)を 電源スイッチを介して Teensyの 5Vピンに接続。
・もう一方は電池の(+)とマイクアンプの VCC(+)に接続。
・さらに電池の(-)をマイクアンプの VCC(-)に接続します。
これで、電源スイッチをONにすると、マイクアンプと Teensyが同時に起動するようになりました。なお参考までに、電池をさらに小型にすべく「18650型3.6VのUSB充電式リチウムイオン電池」を試してみましたが、数秒ごとに「プツッ」と大きなノイズが発生して実用になりませんでした。

ノイズがなくなり音質も良好になりましたが、電池のスペースが補聴器本体より大きくなってしまいました。それに、電池フォルダーからの配線は宙に浮いた状態なので、何らかの対策が必要です。


5.HAT25のチューニング
残すは HAT25の音量やイコライザーなどのチューニングです。これは前出「5.HAT24のチューニング」と、HAT24『4.ソフトウェア解説①』の「3.HAT24の操作コマンド」を使って操作します。Arduino IDEのシリアルモニター画面でコマンドを入力すると、モニターに実行結果が表示されます。
実行途中に '?'を入力すると('は不要)設定した状態を表示できます。下図は、現在使用している動作環境の状態です。HAT24での設定から大きく変わっていますが、これはその後に開発者自身が自分の聴力の状態にフィットするように、設定を細かく調整した結果です。これを目安に各自でさらに調整をやってみてください。マイクアンプの左右チャンネルのバラツキで音量バランスの微調整をしたり、使用するマイクやイヤフォンによってはレベル調整が必要になるでしょう。

6.おわりに
HAT24の『高性能マイクロコントローラー Teensy版 聴覚補助ツール』の読者を前提にしているので、わかりにくい部分が多いかと思います。不明な部分は HAT24の各章を参照してください。
先にも述べましたように、100円ショップで幅広のペンシルケースを買い求め、本体と電池類に加えてマイクもイヤフォンも収納しました。移動しながらの日常会話用には大きすぎますが、適宜携行して、使用時には写真のようにファスナーを開き、マイクを開口部にクリップ止めしてイヤフォンを引き出します。自動音量調整機能によって聞きやすく、突発的な異常音量の監視機能が効いているので、安心して使用できています。

