名 称

だいせん(みせん)

所在地

鳥取県大山町・琴浦町・江府町

標 高

1,709m

山行日

2014年9月20日

天 候

薄曇り後晴れ

同行者

なし

アクセス

JR米子駅から大山山麓循環バス(大山る~ぷバス)で大山寺バス停下車

マップ

このマップは、国土地理院の電子国土Webシステムから提供されたものを使用しています。

コース概要

夏山登山口 8:45登山届けポスト 8:55大山寺阿弥陀堂 9:03六合目到着(小休止) 10:48~11:05
石室合流点 12:10石室分岐点 12:24弥山山頂(昼食)12:30~13:03石室分岐点 13:11
石室 13:25石室合流点 13:34行者谷分かれ 14:45元谷 15:24行者登山口 15:30
大神山神社奥院(参拝)15:53~15:58大山寺バス停・大山情報館帰着 16:21

1.夏山登山口へ

 バスを降りて大山を見上げる。曇ってはいるが雲は高いので問題ない。ゆっくりと準備を整え、ストレッチ体操をして夏山登山口に移動する。

 右手に郵便局があり、その先の岩田屋の角を右折して進み、佐陀川(さだがわ)にかかる大山寺橋を渡る。

 橋上からの大山は、北西側から見る富士山のような穏やかな姿とは異なり、岩壁が切り立った険しい山容を見せている。
 左に駐車場をやり過ごして、舗装道が右カーブしたあたりに夏山登山口がある。

 登山口周辺にはミゾソバ(溝蕎麦)が咲き、ツリフネソウが紫の花をつけている。名前の通り、帆掛け船を釣り下げたような形をしている。

2.登山届けのポストと大山寺阿弥陀堂

 8時45分、ここからスタートだ。周辺にはドクゼリが線香花火のように白い花をつけている。

 「南光河原・横手道」の道標の左脇道に、コンクリートブロックに囲われた登山届けポストがあり、計画書を投函する。ポストの存在がわかりにくいので、大半の人は素通りして行く。

 もとに返って少し登ると「阿弥陀堂」の道標がある。

 室町末期(1552年)に現在の場所に再建され、国の重要文化財に指定されている大山寺阿弥陀堂。木製の壁面には傷みが見られるが、風格ある御堂である。屋根の形状がとりわけ優雅に感じられる。

 阿弥陀堂の手前に三宝荒神跡、石鳥居の扁額には「三寶大荒神」とある。山道に戻ってしばらく行くと一合目の標識が立つ。

3.山頂に向かって

 一合目標識の少し上に標高900mの標識があり、さわやかなブナ林が山道を包む。

 二合目を超えて標高1,000mの標識。その先に、環境省が登山者数の自動カウント装置を設置していた。

 木製の階段を登ると、アキノキリンソウが明るい黄色の花をつけている。

 三合目を越えて、やがて標高は1,100m。名前は分からないが、細いラッパのような花がびっしり咲いている。

 こんなヤマアジサイが咲き、やがて四合目の標識だ。

 1,200mになると、木の間越しに日本海側の風景が見えてくる。青空が広がってきた。

 ユキノシタ科のダイモンジソウが咲き、その近くに、何かわからない小さな黄色い花。

 五合目を過ぎるとブナが姿を消して灌木が茂ってくる。真っ赤なガマズミの実が山道にアクセントをつける。

 五合目では「山の神さん」の傍で立ったまま一休み。以前ここには、東の尾根から昇る日の出を拝むための遥拝所があったとのことである。

 行者谷分かれに辿り着いた。下山時に辿ることになる行者登山口への道をチラリと確認する。

 六合目の避難小屋には大勢のハイカーが休憩中で、初めてベンチに腰を下ろして小休止をとる。

 ここから三鈷峰と北壁を展望でき、その向こうに矢筈ヶ山(やはずがせん)が見える。

 日本海側に広がる山々の眺望も素晴らしい。それらに気をとられて、避難小屋の写真を撮り忘れてしまった。

 六合目からは、鉄線で編み上げた蛇篭(じゃかご)に石を詰め込んだ階段が混じり、短足には厳しい段差が続く。何人の若者たちに道を譲っただろうか、かなり体力の差を感じさせられつつも、草木や北壁のこんな風景を眼に焼き付けながら気を張って登って行く。

 七合目を通過、ここからも蛇篭の道が続く

 1,500mを過ぎた山道の一角、美保湾から中海を望む。

 右肩が落ちた山道にはロープが張られている。圧倒されるような北壁を見ながら前進する。

 八合目に到着した。キク科のヤマハハコは、八合目到着を祝福するブーケのようだ。

 標高1,600mの標識を過ぎると傾斜が緩やかになる。ダイセンフウロという正式名称があるのかな?いずれにしても愛らしいフウロの花。

 小ぶりのアザミ、そして何か名前がわからぬ小さな可愛い花が溢れている。

 ダイセンキャラボクに囲まれた細道を抜けると、やがて木道に変わる。足下が良くなったのを喜ぶのもつかの間、この木道の勾配を進むのはけっこうキツい。

 木道脇に、フウロの群生とアキノキリンソウ。

 長い木道を登って行くと九合目の標識が立っている。

 天空の木道をたどって、石室分岐に着いた。

 木道をひと登りすると前方の視界が開け、山頂はすぐそこだ。

4.弥山山頂風景

 弥山山頂から見る剣ヶ峰、向こうに矢筈ヶ山が横たわる。写真右は中央に烏ヶ山、左後方に蒜山が連なる。

 剣ヶ峰から天狗ヶ峰へかけての険しい稜線。すぐ先に三角点峰が見えるが、「立入禁止」の立て札とロープがあり、三角点へのタッチは断念する。

 「大山頂上 1,706M」と刻まれた山頂標識。その右の台座に取り付けられた方位盤。

 山頂と避難小屋周辺には数十人のハイカーたちがくつろぎ、食事をとり、風景に見入っている。板場に腰を下ろして、昨夕買ったパンを囓りながら野菜ジュースを飲む。バナナを食べ、チーズを口にするが量はこなせない。パンを2片、チーズは1ピース、バナナ1本を平らげる。

 美保湾の美しい海岸線をクローズアップし、木道越しに北側の鈩土山・豪円山・鍔抜山(たたらどやま・ごうえんざん・つばぬきやま)方面をズームで寄ってみる。

 山小屋に立ち寄ると、昔に比べて格段広くて立派になっている。この時期の週末には売店が開いているようだ。昔、明け方に登頂して飲んだ熱い甘酒や、どんどん10円玉を吸い込む公衆電話で職場の上司に電話したことなどを思い出す。山頂には30分少々滞在して、ゆっくりと下山に取りかかる。

5.元谷への下山

 まっすぐに伸びる木道を下りて行く。まるで天の上を歩いているような感じだ。少し進むと石室分岐点に出て、石室の方へ直進する。

 滑り止めの横木につまずかないように、しばらく木道を行くと、両側をダイセンキャラボクに包み込まれる。

 やがて、国の天然記念物に指定されているダイセンキャラボクの純林になり、その感触を腰や足で確かめながら進めば石室に到着。

 頑丈な石垣でできた石室は、地元の人々の奉仕で避難用としてつくられたとのこと。中には祭壇がある。

 その先は木道を右巻きにたどって行く。途中、はるか下方に見える大山放牧場にズームイン!

 石室合流地点にもどり、階段を乗り越えて行者谷分かれを目指して下りて行く。

 好天の昼、日本海上空に一線に整列した雲が印象的である。

 七合目の手前にトリカブトの美しい花。その先、六合目までは転倒に注意しながら道を急ぐが、大きな段差に何度も立ち止まることになり、またまた大勢の人たちに道譲りをしながらの下山になった。六合目に着くとクタクタで、ベンチに座り込む。

 案内板「植生の移り変わり」にゆっくり眼を運びながら小休止。点のように小さなユートピア小屋に焦点を定めてズームで記録する。

 行者谷分かれに戻り着いた。ここから右にとって元谷へと下りて行く。いよいよ急な木段の下りが始まりだ。

 1,200mまで下りてきたが、相変わらず木段の連続だ。ピッチが狭くて歩幅調整をしながらの下降は速度が落ちる。多くのハイカーは往路を戻るようで、行者谷コースは静まりかえっている。

 倒木にキノコがいっぱい。しんどいが、気持ちの良いブナ林が呼吸を楽にしてくれる。

 標高1,100mが近づいたころ、この道に入って初めて人の気配。男性二人連れに道を譲るが、その先でレインウェアの落とし物を拾うことになる。案内板を眺めている二人に追いついて確認すると、バックパックの下部のポケットが開いていて他のものも落ちかけている。この拾いものには、何度も大変感謝された。それにしても、どうしたものか、山で疲れるといろんなことが起きるものだ。

 元谷に下り立つと、険しい北壁を背に避難小屋は木々に囲まれている。もうクタクタで、しばらくは立ったままガレ沢と大堰堤に見とれていた。

 ガレ沢には道がない。赤ペンキで書かれた矢印や点を目印に進んで行く。

 半ばを過ぎたあたりで振り返ると、北壁が屏風を立てたように屹立している。元谷を無事に渡りきると、登山道の標識が見えてきた。

6.大神山神社から大山情報館へ

 後は大神山神社へ向かって、緩やかな傾斜の山道を歩くだけである。

 山道を整備中で、こんな階段を上がって回り道をすると、整備中の道につながっていた。

 純白のブラシはサラシナショウマ。森の道をハイキング気分で進んで行く。

 急に広場に飛び出すと大神山神社奧宮である。素晴らしい山行と無事を感謝して参拝する。

 参道を下ると、やがて左手に大山寺があり、ここは山門の外から拝礼する。扁額に山号の「角磐山(かくばんざん)」とある。

 さらに長い参道を歩いて大山情報館に帰着する。


 最終の大山る~ぷバスで米子駅へ戻り、18時25分発岡山行きの高速バスに乗車する。暮れなずむ晩夏の空に、すっかり富士山に姿を変えた大山が聳えている。それがしだいにシルエットになるのを眺めながら、山行の充実感に身を委ねる。