1.登山口へ
途中あちこちでツアー参加者を乗せながら、バスは倉敷JCTから山陽自動車道に入った。すぐに岡山自動車道にスイッチして北房を経由し、中国自動車道で庄原ICを降りて一般道からたどりついた。岡山駅前から約3時間半の行程である。
当初予定していた月見ヶ丘駐車場に代えて、手前の広場に駐車することになった。すぐ近くに「道後山山の家」が建つ。これこそ懐かしい「国鉄山の家」そのものであり、何十年も前に訪れたときの風景がオーバーラップする。
銘々で準備を整えストレッチ体操をする。左に道後山高原スキー場のゲレンデを見ながら、月見ヶ丘駐車場へと舗装道路を上って行く。
月見ヶ丘駐車場には11時5分に到着。すでに数台の車が停まっている。「道後山遊歩道案内図」の表示板があり「道後山の草花」の一覧が掲示されている。ここが登山口である。
2.休憩所~岩樋山
両側をコナラに囲まれたゆったりとした遊歩道を歩く。樹林がなんとも美しい。
足の遅い相棒は、ガイドさんのアドバイスに従って先頭グループを別行動だ。
あれこれ目を惹く花たちが多くて足が止まる。道端にキケマンとボタンネコノメソウ。
続いてクサソテツたちとタチカメバソウ(立亀葉草)。
これはダイセンキスミレ。そのとなりにはタチツボスミレ。山を歩きなれた風のご婦人から、その他にもたくさんの名前を教えていただくが、右から左へ抜けてしまうのは悲しいことだ。
擬木の階段が現れた。写真を撮るために、長い列の最後尾を遅れないようについて行く。
15分少々で休憩所の東屋に到着。ここで5分ほど休憩。曇り空だが遠くの山々までかなり明瞭に見えている。
坂道の途中、はやくもアジサイが咲いているのかと思えば、これはムシカリ(別名:オオカメノキ)だった。
そして新緑のカラマツ(落葉松)。タッチすると柔らかくてフカフカしている。
南西方向のパノラマ写真。左のひときわ高いのは猫山、後方には比婆山連峰が横たわる。
岩樋山の山頂が近くなった山道脇に、何やらわけの分からないのが生えていて撮影。これはショウジョウバカマだった。
11時52分、岩樋山山頂に到着。ここからの眺望は最高だ。
北東から東方面の眺望。左遠くに稲積山、中央手前に小高いのは岩樋山北側の1,240mピークで、その後ろに横たわるのは多里大山(たりだいせん)。右奥が道後山で、その手前には1,271mピークがある。
道後山と多里大山(広島県での呼称は持丸山)ルートの中間点にある休憩所方面と、道後山山頂にズームイン! 山頂には先客がいるようだ。
3.道後山山頂へ
道後山山頂へ向けて長い列が整然と登って行く。この道も穏やかで遊歩道といった感じである。
ケルンがあった。このあたりは1,271mピークで、道後山山頂よりも標高が高い。そして、最後のひと登り。
道後山の山頂風景と一等三角点。ここでやっと相棒と落ち合ってお待ちかねの昼食弁当を開く。このツアーの弁当は二段重ねで、筍ご飯にボリューム満点のおかずが美味。ただ、空模様が怪しくなって早めに下山することに・・・・。
4.大池~岩樋山巻道から下山
山頂ではほとんど写真を撮る間もなく下山を始める。山頂東の多里大山分岐にさしかかるあたり、遠くに伯耆大山が浮かんでいる。
道後山を右に巻いて大池へと進む。大池が見えてきたころ、前を行く女性が「これは何でしょう」とふり返る。長い尖り帽子のようなのが3本生えている。さわると柔らかくて、「ふ~む、タケノコではないようだし・・・・」。後で、マムシグサの芽であることがわかった。
前方に見える岩樋山は南面を巻くように下りる。往路では気づかなかった両国牧場跡の石積みが、県境を二分しているように見える。
南巻きのコースはずいぶん楽なのだが、途中から小雨模様になって速歩状態。休憩所に戻りつくと衣類の水をぬぐい、レインウェアを着込む。
少し成長が進んだマムシグサを見つける。タケノコのような芽の先が裂けて、独特のスタイルに変容している。茎の褐色マダラ縞模様がそれらしく成長している。
月見ヶ丘駐車場登山口までもどり、雨量観測局を過ぎて山の家への道を急ぐ。と、谷間にピンポン球大の白いものが見える。
時間がないので下りて行くことはできないが、ヤマシャクヤクに違いない。これは想定外の対面であり、小躍りしたい気持ちを抑えてズームで寄り、清楚にして気品ある姿をカメラに収める。