1.バス駐車場から登山口まで
バスツアーで「わかさ氷ノ山・夏山開き記念登山」にやって来た。同行40人の8割はご婦人で、皆さん元気がいい。氷ノ山自然ふれあいの里にはすでに多くのハイカーが集っている。
われわれの到着を待っていたかのように、簡単な挨拶があり「わかさ氷ノ山・樹氷太鼓」の演奏が始まる。名前を呼ばれて振り返ると、愉快な飲み仲間の山ガールK女史が立っている。これは楽しい山行になりそうだ。
晴れた空、太鼓の音が響くなかを広場のブリッジを渡って出発する。舗装道をしばらく行くと右手に氷ノ越コース登山道入口がある。
2.山頂へ向けて
皆さん、テンポが速い。登山道入口から25分ほどで標高1,000mの道標、そこから35分で氷ノ山越の避難小屋に着いた。
避難小屋前で小休止をとり水分と糖分を補給。元気よく出発するとその先はブナの原生林である。
穏やかな尾根道、明るいブナの緑のフィルターがあたりを生き生きとさせる。実に気持ちよく散策気分で進むことができる。
K女史がネマガリタケを器用に採る。パッと見つけてサッと摘み、歩行のテンポが落ちないところはさすがにベテランです。
根っ子道を進み、ブナの原生林を抜けると前方が開けて山頂が見えてきた。
急坂を登り切ると標高1,380mの仙谷だ。「がんばって 8/10」の標識がある。
山頂まで0.5kmの道標。最後の急な岩場を登って行く。
登りきったところに、高山植物のサンカヨウ(山荷葉)がとびっきり可愛い花をつけていた。蓮のような葉をもつのでこの名前がつけられたそうだが、蕗の葉にもよく似ている。
山頂への最後のアプローチは木道をゆっくり歩む。
すでに大勢の人たちが着いていて、一等三角点がある山頂標柱の周りでくつろいでいる人も。おや、二人の巫女さんがお出迎えだ。
3.山頂と山開きの儀式
山頂避難小屋をのぞいたら、神主さんが着替えなど祭事の準備中。山頂のケルンをデジカメに収めてしばらく風景を楽しむことに!
東側のすぐ近くに山頂展望小屋がある。そのあたりから北方向に氷ノ山越・赤倉山を望む。中央遠くに自然ふれあいの里が見えている。
南には氷ノ山南尾根、二の丸・三の丸方面の展望。角度を変えて赤倉山・布滝頭・大平頭の遠景。
山頂と山頂展望小屋の間に「尼工(兵庫県尼崎工業高校)氷ノ山ヒュッテ」跡がある。
山開きの神事が始まる。神主さんと2人の巫女さんが登場し、あれこれたくさんのお供えがのった祭壇を前に、開山と安全祈願の儀式が30分近く続く。最後に御神酒がふるまわれたが、登山中には酒を口にしないという信念にて遠慮する。
それにしても、神主さんが榊を手にうやうやしくお祓いをしているとき、本来なら脱帽して頭を垂れるところを、デジカメでバチバチやってしまった。
4.往路を下山する
下山の時間がせまり、あわてて昼食のおむすびをパクつく。その間、大量のハエが飛び交い集まるのには閉口した。もう少しで、氷ノ山山頂の印象が「大量のハエの飛翔」になりそうであった。
来た道を引き返す下りだが、往路よりはるかに気を遣い注意を払わなければならない。美しい山並みを盗み見しながらの下山だ。
ブナ林の平坦な道はウォーキング大会のような足どりで通り過ぎ、1時間で氷ノ山越避難小屋に帰着。
小休止をとって元気に出発。麓近くでキャンプ場のほうへ回り込み、何度も曲がりくねった舗装道を歩く。
下山すると豚汁のおもてなし。ゆっくりといただき、バスツアーのメンバーは高原の宿「氷太くん」で入浴。風呂から出て自販機で缶ビールを買うと、傍らにすでにビア缶を手にしたK女史。肴にと薫製の烏賊足をご相伴にあずかって、素晴らしい一日に乾杯だ。