名 称

おおみせん(せんすいじま)

所在地

広島県福山市

標 高

159m

山行日

2020年11月4日

天 候

晴れ

同行者

なし

アクセス

JR山陽本線・福山駅下車、福山駅から鞆鉄バスで鞆の浦へ、徒歩で市営渡船場へ行き船で仙酔島へ

マップ

    
    

このマップは、国土地理院の電子国土Webシステムから提供されたものを使用しています。

コース概要

仙酔島桟橋 11:15頃大弥山登山口 11:30分岐 11:40中弥山 11:46~11:48分岐 11:52
大弥山山頂(昼食)12:05~12:46赤岩展望台 13:10~13:12分岐 13:19烏ノ口展望台 13:32~13:38
海岸線遊歩道・東端 13:51海岸線遊歩道・西端 14:10小弥山登山口 14:23小弥山山頂 14:28
小弥山登山口 14:35御膳山登山口 14:36御膳山展望台 14:40~14:43御膳山山頂 14:44~14:46
御膳山登山口 14:49仙酔島桟橋帰着 14:51

(仙酔島へ渡る)

 福山駅前のバス乗り場から鞆鉄(ともてつ)バス「鞆の浦行き」約30分で鞆港に着く。進行方向と逆に100mほど戻ると福山市営渡船場があり、鞆の浦で坂本龍馬が乗った「いろは丸」を模した「平成いろは丸」に乗船する。

 船内に再現された操舵装置。甲板から見える仙酔島。20分ごとに運行していて往復料金は240円。乗船時間は約5分だ。

1.桟橋から登山口へ

 桟橋に到着する。正面に見えるのは待合所。その裏を右手に進んで行く。

 長年にわたって波が打ち寄せてできた海食門をくぐる。桟橋方面を振り返ると静かな海。

 海食門の先には立派なトイレが設置されている。すぐ先に「名勝 鞆公園」の碑が建ちそこを左折する。

 石垣の間を進むと砂浜と海。左に国民宿舎「仙酔島」がある。

 国民宿舎前の道を行くと、女性のグループがバーベキューで盛り上がっている。道が少しずつ傾斜してくる。

 道の右側はキャンプ場で、大型の常設テントがいくつも設営されている。

 やがて分岐になり道標が立つ。右折すると「彦浦・大松浦」、直進すると「中弥山・大弥山」、ここが登山口だ。

2.大弥山山頂を目指して

 ここは小弥山から中弥山・大弥山へ通じる登山口だと思いこんでいた。石を積んだ階段と擬木の階段を登って行く。

 ところが、突き当たりで道が左右に分岐していて、中弥山と大弥山の中間分岐点に着いたことがわかる。

 左折して少し下り、登り直して中弥山を目指す。

 中弥山に着いたが山頂標識はなく、住吉神社が祀られている。ここから小弥山まで往復するのは時間がかかりそうなので、小弥山は後回しにする。眺望も効かないため早々に引き返す。

 先の分岐に戻って先に進む。ここまでずっと木々のトンネルをくぐってきたが、右側(西面)がぱっと開けて、波止場がある鞆町の中心部が見える。

 すぐそばで大きな木が根こそぎ崩落している。もしや、これが原因で右側が開けたのかも。道は狭くなるが歩きやすい。

 露岩と擬木の道を登ると「大弥山 0.2KM」の道標。

 急坂をひと登りして傾斜が緩くなると間もなく山頂だ。

3.大弥山山頂風景

 山頂には金剛不動尊の祠と並んで白龍王が祀られている。

●「胡神社(えびすじんじゃ)と住吉神宮」の解説板
 仙酔島には古くから「七浦七胡(ななうらななえびす)」と呼ばれる地名があります。小浦、田ノ浦、彦浦、小松浦、大松浦、大浦、深山尻浦の7つの浦があり、遠浅を利用して戦後まで地曳き網を引いていました。その七つの浦には、大漁祈願の神を祀る胡神社があり、旧暦八十八夜に漁師たちは七浦を回って祈祷します。いっぽう商業の神は住吉神社ですが、今では両方を混同して住吉神社としていて、旧暦9月9日の重陽の節句には、田ノ浦にある胡神社(住吉神社)に大漁を祈願しています。
●「鞆の3つの港」の解説板
 鞆港(ともみなと)は昔から栄えた潮待ちの港です。紀伊水道や豊後水道から入ってくる満ち潮に乗って港に入り、引き潮になると、ホラ貝を吹いて出航を知らせました。南西方にあるのは平港(たいらみなと)、北側の小さい港は原港(はらみなと)です。
                         -- 以上、解説板から要約 --

 山頂の三等三角点にタッチ! 展望台の東屋から素晴らしい展望を愉しみながらランチタイム!

 山頂に隣接する鞆テレビ中継所のそばを通って、大松浦・小松浦方面へ下山する。

4.赤岩展望台~烏ノ口展望台

 下山路も木々にさえぎられて眺望はきかない。大弥山から300mの地点を通過する。広場まで1.2KMとある。

 「蝶にも通り道がある」の案内板が根元から折れて倒れている。まだ一部だが、紅葉が進んでいるところもある。

 シダ類が多くなってきた。大弥山山頂から12分ほどで分岐に出合う。直進とV字に折れ曲がった下り坂がクロスしている。直進方向には行き止まりの標識があり、トラロープが張られていた。

 照葉樹林の道を下りて行くと竹林が増えてくる。

 「彦ノ浦 0.5KM」の道標。一帯にはエノキが多いらしい。「エノキとゴマダラチョウ」の解説板があり、エノキを好む幼虫が育って、夏になるとこの辺りはたくさんのゴマダラチョウが飛び交うとのこと。

 赤岩展望台に着いた。階段を上ると広場があり、ここからも西方面の眺望が素晴らしい。

 コンクリートの階段を彦浦の浜辺へと下りて行く。

 浜へ下り立つ手前に「感謝の塩工房」がある。「烏ノ口展望台 0.5KM」の道標が立つ。

 烏ノ口展望台へ行きたいのだがルートがわからない。半島のこんもりした部分に展望台らしいものが見えているのだが・・・・。同じように道を探している男女の二人連れ。地図を見直すと、砂浜を向こうへたどれば侵入口が見つかりそうなので取りあえず前進。「烏ノ口岬周遊歩道」の道標が見つかったので、お二人にOKサインを送って登りにかかる。

 ほとんど高低差がないと思っていたので、30mほどの標高差がきつく感じられる。

 「展望休憩所まで100米」、息を整えながら距離を詰めると、東屋には先客の女性がくつろいでいる。歓談していると、間もなく先のお二人も到着する。

 ここからの展望は南東から南そして北西までと視野が広い。写真・左は南東方向で、遠くには丸亀市から観音寺市あたりが見えているのではないかと思う。写真・右は北西方向で、「感謝の塩工房」と歩いてきた砂浜が見えている。、

 青空と銀色に輝く海、沼隈半島から備後灘の風景が広がる。

 皆さんと別れて展望台を後にする。道標の位置まで戻って、次は海岸線を歩く。

5.海岸線遊歩道(仙酔島層と岩脈)

 彦浦側の海岸線遊歩道は、砂浜の西の突先から入って行く。いきなり、こんな形状の岩が待っていた。岩石には興味があるのだが、残念、知識がない。これは赤色岩と思われるのだが・・・・。

 ふ~む、ゴジラの足が! 同じ岩石らしいが、斜めに層が形成されているように見える。

 環境省の解説パネル「五色岩と赤色岩」がある。
    この辺りの岩石は、流紋岩質凝灰岩の風化により、様々な色を帯びていることから、
    五色岩と呼ばれています。
    その中でも、赤みをおびたものを赤色岩といいますが、その特徴的な色は流紋岩質凝灰岩
    に含まれる褐鉄鉱の風化により、現れたものといわれています。

 遊歩道には釣り人がチラホラ。この女性、今まさにメバルのようなのを釣り上げているところ。「わ~い、きゃー」と賑やか。「いや~、やったね、オメデトー!」。やや風があり、岩場では波しぶきがあがっている。

 岩の上部にある穴ぼこは海食洞と呼ばれるもので、水位が高かった氷河期に、波浪の浸食によってできたものだそうだ。

 地盤変動で岩盤がズレ動いてできた断層面だ。断層や節理(割れ目)は波で浸食されやすく、現在でも海食洞が作られつつあるとのこと。

 遊歩道のあちこちが打ち寄せる波で濡れている。後で調べてわかったのだが、この日の鞆の潮汐は中潮で、満潮は13時11分。やや風が強く、13時55分頃に歩いていたのでこうなる訳だ。
 「岩が動いた順」のプレートは、一読しただけではわかりにくい。複数(3種類)の地層が重なり合った状態で、断層の発生やマグマの貫入によって複雑な動きをしたらしい。

 これがその辺りの地層。

 この島独特の仙酔層と命名されている地層がある。火山灰混じりの礫岩、砂岩、泥岩と頁岩(けつがん:薄くて剥がれやすい泥岩)が重なり合って、厚さ15mの地層を形成している。

 解説プレート「大地の激動」で説明されているものと実際の地層を並べてみた。約9千万年前の火山活動でできた流紋岩質溶結凝灰岩が見られ、その後、大地が大きく左側に傾いたことがわかる。また、左下から右上へかけて分断されている状態から、岩盤がズレ動いて断層が生じて地震が発生したことがわかる。

 波の浸食によってできた深い海食洞。さらに進んで奥の壁が突き抜けると海食門になる。
 やがて遊歩道の端に着いた。小弥山への登山口がわからないので、国民宿舎「仙酔島」のフロントにお邪魔した。大変丁寧に教えていただき感謝です。また、確認のために話した龍神橋付近の飲食店の女性には、絵地図までいただき大変お世話になりました。

6.小弥山と御膳山

 時刻は14時23分。帰りの船便の予定は14時55分。その間に計画未達の小弥山と御膳山に登ろうとスタート。ここで、烏ノ口展望台で出会った二人連れと偶然再会する。時間がないのでまたもや「お先に失礼」で、小弥山へと急ぐ。

 スタートはこの龍神橋を渡るところから。こんな道をスタコラ登る。

 この道標で左折して回り込むと小弥山山頂だ。視界も効かず何もないので、即引き返す。

 龍神橋まで戻って、桟橋側へ下りると御膳山登山口がある。

 石段を登り、舗装道を登って行く。

 道はここで分岐して、山頂を周回して戻るようになっている。時計回りに進むべく左の道を登る。

 突き当たりを左折すると御膳山展望台だ。「名勝 鞆公園」などの碑が建っている。

 東屋の休憩所。ボケボケ写真になったが弁天島に向けてシャッターを切る。

 突き当たりの場所まで戻って、右手を山頂へ向かう。山頂には「行啓記念碑 元帥伯爵東郷平八郎謹書」の碑が建つ。

 東屋とベンチがあるが眺望は効かない。

 最後の山頂を踏んで、急いで下山する。

 桟橋へ向かっていると14時55分の便が入港してくる。即乗船して即出航。

 「まず小弥山から」という出だしで登山口を間違えるという失態。たが、なんとか計画の山頂すべてを踏むことができた。しかし、3時間半あまりでこれだけたくさん巡ると、運動量とは別の充足感がある。ただ、海岸遊歩道では知識不足で頭が追いつかず、もしこの辺りの自然学習会、とりわけ地形や地層・岩石についての学習会などがあれば、ぜひ参加したいと思っている。
 かくして鞆の浦側へ無事帰着し、好天と充実した時間に感謝しながらバスを待つ。