名 称

かみこうち

所在地

長野県松本市

標 高

約1,500m

山行日

2010年10月3日

天 候

晴れ時々曇り

同行者

相棒と

アクセス

JR中央本線・松本駅から松本電鉄上高地線で新島々駅に出て、バスに乗り換え大正池で下車。

マップ

このマップは、国土地理院の電子国土Webシステムから提供されたものを使用しています。

コース概要

大正池 9:45〜9:55田代池 10:20(梓川コース)中ノ瀬園地 10:47
上高地観光センター(昼食) 11:18〜12:13河童橋 12:24〜12:29(梓川左岸歩道)明神橋 13:25
明神池(穂高神社奥宮) 13:38〜14:00嘉門次小屋 14:02(梓川右岸歩道)
岳沢湿原(岳沢登山口) 14:50河童橋 15:20〜15:35上高地帝国ホテル 16:05
上高地バスターミナル 16:20
〔コース前後の行程〕
   7:59 JR松本駅
       ↓
   8:32 新島々駅
   8:40 新島々BT
       ↓
   9:45 大正池
       ‖ (コース概要の通り)
  16:45 上高地BT
       ↓
  17:50 新島々BT
  18:03 新島々駅
       ↓
  18:32 JR松本駅


  

1.大正池〜田代池〜中ノ瀬園地

 45年ぶりにバスで向かう上高地へのアプローチは、以前とすっかり様子が変わっている。ルートが大幅に変更されていて、急カーブが少なく乗り心地は良くなっているが、以前のように突然現れる大パノラマに息を呑むようなシーンは無くなった。マイカー規制で一般車両や観光バスの乗り入れが制限され、低公害シャトルバスを運行しているのは大歓迎だ。
 大正池は全体的に浅く狭くなったように感じられる。とくに独特の雰囲気を漂わせる立ち枯れの木が、とても少なくなっているのは残念だ。もっとも、半世紀近く前とくらべること自体がナンセンスなのかも知れないが。

 大正池から見える焼岳はこんなにやさしい姿だ。ズームで寄ってみたが山頂の煙は確認できなかった。

 豊かな自然に包まれると、こんなにも表情が穏やかになる・・・・。

 残念ながら、期待している穂高の峰々は雲に覆われて茫々としている。

 水辺のマガモはまったく人怖じしない。しばらく観察し、幾何学美を感じさせる柵の道をたどる。

 砂利が一面に広がった大正池の上流側には、まだ立ち枯れの木がたくさん見られる。45年前には、このあたりはすっかり水面で、枯れ木が林立していたように思われる。
 その先の平坦な道は散策気分になってしまい、足どりがスローテンポに・・・・。

 砂利の湖畔から10分ほどで田代池に到着。湖面の奥にはカラマツ林が見えている。

 田代湿原を通り抜け、梓川に沿って上流へと進む。遊歩道のこんな掲示にギクッ。でも人が多いので熊よけ鈴は付けなかった。

 田代池から30分足らずで中ノ瀬園地に着いた。

 そろそろ11時だ。朝が早かったので、お腹が「速く歩け〜」と催促する。

2.上高地バスターミナルで昼食

 15分ばかりで上高地バスターミナルが見えてきた。ここも以前とは格段に立派になっている。車両の乗り入れ規制で駐車場はガラ空きだが、空気がクリーンなのは嬉しい。
 上高地登山相談所が設置されていて、カップルの登山者が入山届けを書いている。

 バスターミナルの2階にある上高地食堂で昼食。広い店内がほぼ満員だ。
 上高地定食(1,500円)を注文する。笹おこわ(古代米栗入り、山菜)、岩魚の塩焼き、山菜そば、それに小鉢2つと漬け物。これは大変おいしかった。

 食事を終えて庭を見下ろすと大勢の人たちがくつろいでいる。

3.河童橋界隈

 午後は12時20分に行動開始。河童橋に近づくと胸がときめきます。

 橋のたもとにも対岸にもコンクリートの建物が増え、土産物などを販売している。

 河童橋は人の往来が多く写真撮影のメッカでもある。例外にならないように当方もカシャッ!

4.河童橋から明神池へ(梓川左岸道を行く)

 上高地ビジターセンターを過ぎてしばらくすると大きな木に出会った。後で調べると落葉高木のシナノキだとわかったが、面白い形にカメラを向ける人が多い。

 このあたりはクマザサが多く、一部の落葉樹では淡い紅葉が始まっていた。

 梓川左岸道は行き来する人が多く、その都度あいさつするのがたいへんだ。またシャッターを切る回数も増え、当初は45分程度と考えていた明神館には1時間近くかかって到着することになった。
 明神館は大自然の中の山宿である。涸沢・穂高をはじめ北アルプスを目指す人たちで賑わっている。庭にはズミの実が真っ赤に熟れていた。

 2003年に架け替えられた明神橋は、鉄の下駄を履いたコンクリート製でがっしりしている。背後には明神岳がそそり立つ。

 今日はここまで足を運ぶ人は少ないようで、橋の上でこんな余裕のポーズを決めてもヒンシュクを買う心配は無用。

 山の名ガイド上條嘉門次が建てた山小屋、通称「嘉門次小屋」では食事をしたりくつろぐ人がチラホラ。ここの名物は岩魚の塩焼きだ。入口には「明神池」と題された嘉門次の顕彰碑が建つ。

 顕彰の碑を奥へ進むと穂高神社奥宮がある。明神池の入口でもあり、社務所へ拝観料300円を払って池に向かう。ここを入り込まないと池の様子はまったくわからない。
 左へ回り込むと、明神池は一ノ池から三ノ池までの3つの池で成り立っていることがわかる。背後には明神岳がそびえ、周囲は原生林に囲まれて神秘的な雰囲気だ。

 出がけに穂高神社奥宮を振り返ると、日本アルプス遭難者の慰霊塔があった。

5.明神池から河童橋へ(梓川右岸道を行く)

 明神池から河童橋へ戻る梓川右岸コースは、よく整備された木製の歩道を快適に歩くことができる。木道を整備している人たちに感謝しなければならない。

 戻りかけて20分ほど、焼岳の頭がこんな風に見えている。このあたりは倒木や流木の墓場のようだ。広大な砂利の広場に散乱し折り重なっている。

 ほぼ3分の2ほど戻ったところに穂高・岳沢登山口があり、数名のパーティーが下りてきた。

 少し進むと突然、目を奪われる風景が広がっている。その瞬間に、昔見た大正池のイメージがオーバーラップした。
 そこから先に延びる木道は、まるで幾何学模様の美しさだ。

 河童橋の少し手前に焼岳の絶景が待っている。またもや大正池のイメージが重なってしまう。

 木の下に大勢の人たちが集まり上を見上げている。近づいてみると「猿だ!」。
 が、猿は興味津々の観客をまったく意に介さない。すぐ近くの地面では蚤取りをやっていて、小猿がおとなしく座っている。こちらも我々のことをまったく気にしていない様子だ。

 河童橋が見えてきたところで後ろを振り返る。青空はないが、ガスが消えて穂高連峰が雄大な姿を見せている。
 やはり穂高連峰があっての上高地だ。

 河童橋のたもとをぞろぞろ歩く人の列と平行して、一匹の猿。その先には家族らしき数匹も。
 人と猿とが環境を共有しながら棲み分けをしている姿、彼らは人を警戒したり威嚇したりせず、わずかな距離を保ちながら彼らの生活を営んでいる。人も、彼らに余計な干渉をしない。今回の上高地でもっとも感動したシーンのひとつである。

 河童橋での最後の一コマは、鳥居形の支柱を背景にして!それにしても支柱は太いなぁ。

 そして最後の最後は、渡り切った橋を振り返りざまにカシャッ!

6.あこがれの上高地帝国ホテル

 帰りのバスを待つわずかな時間に、あこがれの上高地帝国ホテルへと駆けつける。
 腕時計で時刻を読みながら、薄暗い林に続くコルクのような木道を急ぐと、やがて舗装道にぶつかり木々の向こうに赤屋根が現れる。
 美しい!!  気ままが好きで、予約旅行が苦手な我々には幻の滞在場所である建物に、シャッターを切る。

 はるか彼方に見えるのは焼岳だろう。自然と人工物の素晴らしい調和を思い出につけ加える。

 素敵な旅の終わり。雲が張り出してきたけれど最後まで天候に恵まれた一日。
 多くの記憶の確認、そして新たな発見と驚きの上高地に、ありがとう。