名 称

きそこまがたけ(せんじょうじきかーる~なかだけ)

所在地

長野県木曽郡上松町・木曽町・上伊那郡宮田村

標 高

千畳敷カール 2,612m、中岳 2,925m

山行日

2013年7月13日

天 候

目的地は雲と霞、帰路の岐阜通過時はゲリラ豪雨

同行者

バスツアー

アクセス

専用バスで菅の台へ

マップ

※グリーンの線は当初の計画コース。

このマップは、国土地理院の電子国土Webシステムから提供されたものを使用しています。

コース概要

菅の台到着 4:55しらび平へ出発 6:00しらび平到着 6:40ロープウェイしらび平駅から出発 6:50
ロープウェイ千畳敷駅へ到着 7:00駒ヶ岳へ向けて出発 7:20乗越浄土(小休止) 8:25出発 8:30
宝剣山荘(小休止) 8:41出発 8:58中岳(状況観察) 9:14下山開始 9:30
宝剣山荘に帰着(小休止) 9:47下山開始 10:10千畳敷駅へ帰着(昼食) 10:52

1.登山口へ

 岡山から夜行バスで8時間、菅の台には5時前に着いた。駒ヶ根ビジターセンターの前で支度を整えながら天候が気にかかる。沸き立つような雲が空を占領して、明け方とは言えあまりに暗い。

 菅の台から駒ヶ岳ロープウェイ行きのバスに乗るのだが、隣接するバス乗り場は大勢の人でごった返している。長い列がのびており、ロープウェイ乗り場までたどり着くのが一苦労だとわかる。
 やがて、ツアーの専属ガイド2名がやってきて挨拶、山の概況や登山の注意事項について説明がある。続いてツアー専用のロープウェイ乗り場行きバスが到着し、ひとまず先に出発。ツアーはこんなに恵まれているのだ。

 しらび平に着いた。ロープウェイ乗り場「しらび平駅」はここにある。一階部分から巻くように二階の乗り場へ上がって行く。

 ここでも待ち行列ができている。やってきた「くろゆり」に乗り込んで出発。眼下に谷が見え雪渓が見える。

 ところが、2,000mを過ぎたころから急にガスが出てきた。千畳敷駅に着くとこの通りで、千畳敷カールがあるあたりは何も見えない。

 ホテル千畳敷もこのとおり。すぐそばの駒ヶ岳神社に参拝する人たちが霞んでいる。

2.駒ヶ岳に向けて

 山岳ガイドから登山についての注意がある。それぞれの注意事項はよしとして、隊列に滞留が起きて他に迷惑をかけるのでカメラ撮影はしないように、という指示は乱暴でいただけない。山行の記録目的の撮影は秒単位なので、状況を心得ていればほとんど迷惑はかからない。こればかりは聞き流すことにした。
 予定よりやや早い7時20分に駒ヶ岳に向けて出発。列の先頭が見えない有様だ。

 あちこちに残る雪に足を取られないように気をつけて、岩を踏み、あるいはまたぎながら進む。「軽装登山危険!」の標識に続き、「駒ヶ岳・宝剣岳方面」の道標が行く手を示す。

 岩クレの間に敷いた丸太が微妙に歩行をアシストしてくれる。小休止はこんな形で丸太にのって姿勢を保つ。

 ガスの中をひたすら歩むのみ。周囲に目もくれずに歩いていると不思議に心が落ちついてくる。

 はすかいの雪渓を見ながら進むと、岩場にひっそりとハクサンイチゲが咲いていた。

 たくましく繁っているハイマツは実に清々しく美しい。小さな松ぼっくりをつけているのを見つけた。

 さらに急坂を登って行くとキバナノコマノツメが、そしてその先にはハクサンイチゲが群生している。

 次はコイワカガミとイワツメグサ。八丁坂のあたりは高山植物の宝庫だ。

 八丁坂を登りきって乗越浄土(のっこしじょうど)に着いた。小休止中に帽子が風で飛ばされたが、近くにいた男性が追っかけて捕まえてくれる。帽子クリップで止めていたのだが、強風でクリップと紐の接続部がちぎれていた。

 宝剣山荘に着くころには風が強くなった。山荘の壁に身を寄せるようにして風を避ける。山荘の中は大勢の人でごった返している。有料のトイレを使用して先に備える。

3.無念の退却

 かなりハードな環境になってきたので、山荘での滞在組みと山頂を目指す組みに別れることになった。1/3のメンバーが登山を続行することになり、強風をついて出発する。しばしば風に体を持って行かれそうになり、ルートを踏み外さないのが精一杯で捗らない。中岳に着いたところで、山岳ガイドから強風でこれ以上はムリとストップの指示が出る。

 残念だがこの強風ではいたしかたない。わずかな時間ながら周辺の花をデジカメに収める。まずミヤマキンバイとコケモモ。

 そしてコイワカガミとアオノツガザクラ。ほかにも岩の間に小さな米粒のような黄色いのが見えるが、これは花かどうか判別できなかった。

 宝剣山荘にもどった。さっきよりガスが濃く風も強くなっている。山荘で10分ばかり休んで下山を開始する。

 登りでは気づかなかった天狗岩が見えた。こんな天候にもかかわらず沢山の人たちが登ってきており、見通しの悪い山道で道を譲り合いながら下降する。

 千畳敷カールはかくも暗く霞んで、期待していたイメージを連想することもできない。少しガスが薄くなってきたようで、ホテル千畳敷を見通すことができる。

 ひたすら戻る道辺に蕾をつけたクロユリの姿。帰ってきた千畳敷駅は小雨が降り出し、濡れながら昼の弁当をパクついた。もういちど、見えない千畳敷にデジカメを向けて案内板をパチリ。


 かくして煙霧と強風下の山行になった。中岳付近での突風には今更ながら自然の威力を感じさせられ、決して侮ることがあってはならないと自戒している。
 無事に下山できたあとは麓の「こぶしの湯」で暖まり、缶ビールで思いっきり喉を潤してバスの中。