1.電鉄富山駅~室堂ターミナル
昨日と同じ時間に同じルートで室堂ターミナルを目指す。立山駅到着と同時に切符売り場へ出向いて乗車整理券を発行してもらう。室堂の気温は昨日とほとんど同じ18.9℃。僅かながら小さな雲が浮かんでいるようだ。
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美女平から8時20分の定期バスで出発し、弥陀ヶ原ホテルのバス停を通過する。
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弥陀ヶ原ホテルから10分ばかり、今日は「ソーメン滝展望台」で一時停車した。岩肌を流れ落ちる落差130mの細い滝で、上部の地獄谷が主な水源になっているらしい。
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剣岳から立山連峰が広がる最高の風景、しかし昨日より雲が多い。室堂ターミナルには予定より少し早い9時過ぎに到着した。昨日同様に途中でパンと牛乳を食べたのだが、早くも空腹状態で立ち食い蕎麦の店に入る。自販機で食券を購入すると同時にオーダーが届くようで、ほとんど待つこともなく熱々が手元に運ばれる。「立山」文字入りの蒲鉾をのせた白海老天麩羅ソバは、なかなか美味だった。
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2.室堂山荘~ミドリガ池
室堂ターミナルの屋上を出た広場の風景。「立山玉殿の清水」の周辺には中学生らしいグループが水筒に水を詰めている。雄山山頂は雲がかかって山頂小屋は見えないが、右の浄土山の形は明瞭だ。
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9時30分に室堂ターミナルを離れて、しばらくは一ノ越方面へと歩く。
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花弁の縁がフリルになっているイワイチョウ。黄色い雌しべと雄しべがたくさんある白い花をつけたのはチングルマで、これは草花のように見えるが木の仲間だ。
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引き続き一ノ越方面へと歩く。写真を撮っていたら、先の中学生たちが挨拶をして通り越して行く。全員、落石から身を守るためのヘルメットを持参している。
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真っ黄色の花をつけるシナノキンバイ、花火のようなシラネニンジン。
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コイワカガミ(写りが悪いので昨日の写真からコピー)に語りかけ、花数の少ないヨツバシオガマを上から撮る。
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左にミクリガ池回遊路への道があるが、ここは室堂山荘の方へと直進する。
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フワフワの風車(かざぐるま)のようなチングルマの実。その形が子供の風車に似たことから稚児車(ちごくるま)と呼ばれ、それが転じてチングルマになったとか。室堂山荘の西に面した広場には丸太のベンチが設置されていて、立山連峰の絶好のビューポイントでもある。
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室堂周辺には三十三観音が祀られていて、広場には第32番の石仏が立つ。小休止して、室堂山荘へと移動する。右手前の2棟が古い室堂小屋で、その向こうにあるのが現在の立山室堂山荘である。
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これが「立山室堂」または「室堂小屋」と呼ばれる日本最古の山小屋で、現在は国指定重要文化財になっている。冬の積雪にも耐えられる堅牢な造りには驚かされる。中に入って、頑丈な柱や構造を見学することができる。ここで方向を変えて、室堂山荘の横をミドリガ池へと進む。
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コバイケイソウの小さな群落ができている。小さな白い花がビッシリ集まって穂先のようになっている。この花は3~4年に1回程度しか咲かないらしく、豊年には風景を圧倒するほど見事に咲くという。
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まだ蕾ながら、葉の形からタテヤマアザミと思われる。薄く赤味がかった黄白色の小さい花が沢山付いているのはウラジロタデだ。
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前方を、先の室堂小屋で会った2人のガイドと山歩きの4人が行く。行く手の山はガスに霞んでいる。傍らにはミヤマアキノキリンソウが黄金の髪飾りのように野を飾る。
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まだ蕾が多いヤマハハコ。茎や葉に産毛が生えたような黄花はミヤマコウゾリナ。
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タテヤマアザミの群生があった。同じ方向を向いて、風にまかせてゆ~らゆら。
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ここから奥大日岳が望めるはずなのだが、ガスでほとんど見えない。東の谷間から渓流の音が聞こえてくる。
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左にはハイマツの林、ここで見つけたヤマハハコは立体的な幾何学模様のように美しい。
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次の2種類はとてもよく似ているのだが、左の蕾はオヤマリンドウ、右の開花したのはミヤマリンドウだと思われる。
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そしてもう一度、チングルマの大きな実を撮影。隣は、一見するとヨツバシオガマに似ているが茎が少し太く、花の形も少しだけ違うテガタチドリ。
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ミドリガ池に着いた。条件に恵まれれば静かな水面に立山三山が映るはずだが、三山は淡白色のベールに覆われている。しかし、水面に映える光も陰も心を魅了して止まない。しばし、ベンチに腰を落ち着けて時の移ろいに感じ入る。
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その先にイワオトギリが弾けるように咲いている。ミヤマアキノキリンソウに似ているがひとまわり大きいキオン(ヒゴオミナエシ)も負けずに弾けている。
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大柄なオオハナウドは爆発するように季節を謳歌している。
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3.みくりが池温泉~ミクリガ池
ミドリガ池から少し進むと「ライチョウ保護区域」の標識が設置されている。向こうには広い雪渓が広がり、いかにもライチョウに出会えそうな雰囲気が整っている。
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右下にいくつも小さな池がある。これは「血の池」と呼ばれ、火口跡が池になったもので、酸化鉄が多く含まれ赤い色をしている。曇天での遠景なので水溜まりのように見えてしまう。ヤシャブシが実をつけている。
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雷鳥沢三差路では火山ガス監視装置の設置工事を行っている。地獄谷の火山ガスの噴出が活発化したため、現在は地獄谷へは進入禁止になっている。工事が完了すると、火山ガスの濃度が設定値を超えた場合に、パトランプやスピーカーで登山者に注意を知らせることができるようになるらしい。右折すると雷鳥沢へ抜ける。ここは左折して室堂ターミナルを目指す。
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「みくりが池温泉」に着いた。広場のベンチで大勢のハイカーがくつろいでいる。広場から地獄谷を一望できるがガスが深い。風でガスが流された瞬間をカメラに収め、室堂ターミナルへ延びる石畳へ足を運ぶ。
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室堂平で最も大きなミクリガ池に到着した。ミクリガ池に映る立山連峰の姿は有名だが、今日はその姿は望むべくもなく、中央の彼方に霞む室堂山荘に目を凝らす。
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室堂ターミナルへの上り坂を行く。分岐に「地獄谷歩道・通行禁止」の黄色い標識が立っている。袋状の蕾の中に細かな花がびっしり詰まっている枝がある。シダのような葉の形状からミヤマセンキュウと思われる。
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ピークに着いて「みくりが池温泉」をふり返る。地獄谷の噴気が見えここまで硫黄の匂いが漂っている。
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1年かけて松ぼっくりに成長したハイマツの実。完熟するにはさらに1年もかかる。ハイマツ林の彼方に室堂ターミナルが見えてきた。
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オオハナウドが見下ろすミクリガ池をカメラに収めて石畳を行く。
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葉の形が細く枝分かれしたミヤマウイキョウは、まだ開花していない。石畳を右にとって室堂ターミナルへ向かう。
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室堂平供養塔が建つ。背景の立山連峰は雲に閉ざされ、すぐ近くの立山室堂山荘も霞んでいる。室堂ターミナルに帰着してバス駐車場を覗くと今日もたくさん駐車している。雷鳥に出会えなかったので、記念撮影用のセットに向かってシャッターを切る。
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お土産を選んでいたら、書籍コーナーで土肥行雄『改訂・立山の花』を見つけた。1986年の刊行から版を重ねて1998年に改訂された写真集で、この地に住む著者が「立山をがむしゃらに歩き(著者弁)」撮影した多数の写真が収録されており、解説も詳しい。これを入手し活用させていただいた。
4.アルペンルートを信濃大町へ
ここからは信濃大町までのアルペンルートをのどかに移動するだけである。いろんな交通機関を利用するのだが、室堂~大観峰(だいかんぼう)、黒部平~黒部湖、黒部ダム~扇沢はトンネル移動なので何も見えない。
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室堂発11時45分のトロリーバスでまずは大観峰へ向かう。写真は大観峰駅付近から見える黒部湖。黒部平へのロープウェイは満員状態で写真撮影はできなかった。
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黒部平からケーブルカーで黒部湖へ着くとトンネルの中を歩く。
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トンネルを抜けると、黒部湖とダムの大きさに圧倒される。向こうに見えるのは富山と長野の県境にそびえる赤沢岳。ダムの上をゆっくりと歩く。
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高さ186mから黒部川の川下を見下ろす。今ちょうど、全長492mのダムの真ん中に立っている。
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この時期には観光放水をやっていて、毎秒10トン以上の水が水煙をあげ虹が架かっている。
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ダム展望台から眺めを楽しむ人も多い。他にも写真撮影のためのベストスポットが設定されているが、通り抜けスケジュールでは時間が足りない。建設事務所側にある殉職者慰霊碑に足を運ぶ。
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記録映画『くろよん:黒部川第四発電所建設記録』や 石原裕次郎主演『黒部の太陽』が思い出される。延べ作業員は1,000万人を超え、殉職者が171人に及んだ大事業である。巨大な黒部湖を眺めながら、これが人造湖であることに思いをはせる。トロリーバスの出発時刻が近づき、再び駅へとトンネル内を移動する。
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トロリーバスが扇沢に着いた。ここから路線バスに乗り換えて信濃大町へ向かい、JR大糸線に乗り換えて松本へ出る。雲の切れ間から不連続に現れる北アルプスの稜線を眺めながら移動して、15時53分発ワイドビューしなのの座席に落ち着く。少量のアルコールと大好きなキースジャレットの曲、2日間の山風景がゆっくりと頭を巡る。
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