▲▲ 私の山歩き ▲▲
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◆山歩きへの回帰

近隣の里山を駆け回っていた少年時代、伯耆大山に登っていた青年時代の一時期を除けば、仕事一筋の生活、いわゆる仕事大好き人間でした。57歳の初冬、朝からコンディションは絶好調でした。いつものモーニングコーヒーを飲み、窓辺で青空を仰ぎながら好きな煙草を一服したとたんに呼吸困難。初めての救急車で、後方に飛んで行く風景を見ながら、冷静ではありましたがこれでお終いかと覚悟しました。原因は肺気胸で初体験の手術。死を間近に語る人たちとの同室生活。少しだけ人生観が変わりました。
 生涯現役を標榜しながらも、やりたことは仕事を卒業してからという矛盾した生き方に、やっと気がついたわけです。年中無休の自由業生活に休暇を設けて、健康維持のためにウォーキングを始めると、これが実に楽しい。数年間は、ウォーキングイベントや徒歩の会に参加して歩き回っていました。
 そんなある日、信州に出かけたことが「山」を見つめなおすきっかけになりました。半世紀近くも回り道をして、やっと原点に戻り着いた感じです。そして本格的に山歩きを始めた翌年は、高齢者に仲間入りした年でもありました。
 そのようなわけで、いつも山歩きは初心者の気持ち。基本的な注意事項を忘れないように、安全な山歩きに徹しています。2012年には日曜大工のまねごとをやっていて腰を痛め、半年ほどのブランクが発生。もう歩けないのではと思っていたのが、エアロバイク漕ぎで復活することができました。今後いつまで歩けるかは神のみぞ知ることながら、それまで、どんな山に出会えるかと胸をときめかしているところです。


◆山歩きの前提と制約

コーナートップでもふれていますが、もっぱら公共交通機関を利用して単独で出かけています。自動車運転免許をもっていないためで、多くは青春18切符や各種お得切符を利用して鉄道・バスで移動します。そのためまずは時刻表ありきで、行動には常に時間的な制約を伴います。最近はバスの便が減っていて、朝夕1便ということも珍しくなく、余裕をもたせたタイムスケジュールと地図は欠かせません。
 登山口まではよほどの距離でない限り歩くので、山登りよりもウォーキングの比重が大きくなることもしばしば。さらにバスの時刻によっては、乗り遅れると帰るすべなしというケース、逆に早く下山しても暑さ寒さを凌ぐ場がなく、山中での滞在時間を適宜調整することもあります。
 高齢者の単独山行は自粛するようにとの声もあるようですが、自分の体力や山歩きのスタイルから、どうしても単独行動が中心になります。当初は高齢化に伴う体力と集中力の低下を心配しましたが、ゆっくりと注意深く歩くことで、課題を克服できそうだと感じるようになりました。現在は、同年代のまったりグループと同行するのも楽しみです。公共交通機関でアプローチが難しい山はツアーを利用しますが、難易度(体力・技能)と行程が納得できるもの、つまり同行者に迷惑をかける心配がないものに限定しています。


◆山歩きのスタイル

「山行は天気の良い日を選んで」がモットーです。いつもいくつかの山行プランを温めておき、近くの山なら前日の天気予報で決定。遠方に出かける場合も、比較的確度の高い2~3日先までの予報で出発を決めます。出先で予報が外れたらムリはしないで、天候が回復するまで里・街歩きなどに切り替えてのんびり待ちます。
 ところで、信条と言うと大げさかも知れませんが、これだけはと大切にしていることがあります。若い頃は「また来る山」も、歳を重ねるに連れて「これがこの山との一度っきりの出会い」との思いが強くなります。それゆえに「一期一会」のこころで臨むことにしています。
 ウォーキングも山歩きも、ともすれば距離・標高・時間ばかりを重視しがちです。例えば、ガイドブックや山岳地図に記載された時間どおりに歩く、あるいはそれより少しでも速く歩くことを良しとするなどです。最近、若手山岳指導者が売りのツアーに参加したら、山岳や通過地点の説明もほとんどなく、指導者は単なるペースメーカーと化し、「登って下りてご苦労さん」だったのには驚きました。
 山に登るのですから山頂に立つことが目的としても、脇目もふらずひたすら登るような山行は、私のもっとも苦手とするところです。山歩きは大自然に触れあう絶好の機会です。雄大な展望や山野草の美しい花、小鳥の声。やさしい木洩れ日や遙かな山並みの風景をこころに刻み、楽しみたいものです。


◆山歩きで気をつけること

ごく当たり前のことをきちんとすること、無理無謀はしないことに尽きるでしょうか。ご参考までに、日頃から心掛けるようにしていることを列記します。

1.計画段階
 ・目的の山についての情報を本やWebから収集する。情報の鮮度(最新情報を優先)に注意すること。
 ・最新の情報によって道路の崩落や沢の増水、有害野生動物(熊、イノシシ、猿、マムシ、スズメバチなど)の危険がないかを判断する。必要に応じて市役所・役場などに電話確認する。
 ・狩猟期間中であれば、山域が猟場かどうかを市役所・役場などに電話確認し、人気の少ない深山には近寄らない。
 ・登山口までの交通機関とルート、電車・バス等の便を調べる。
 ・国土地理院の電子国土Webシステムなどで地図(2万5千分1地図)を入手して、上記の情報などからルートや目印になる寺社・構築物等を書き込み、コースの所要時間を見積もる。
 ・登山口までの経路を含めたタイムスケジュールを作成する。コースタイムはWebから実際の山行記録が入手できれば参考になります。いろいろな計算方法が提案されているので、興味のある方は「登山 時間計算」とでも指定して検索するといいでしょう。地形や登山経験、季節・天候によっても大きく変わるので、余裕を見込むことが大切です。
 ・行程が長い場合は、途中で体調を崩した場合や万一の事故に備えて、緊急下山用のエスケープルートを検討しておくことも大切。
 ・くれぐれも体力や技量を超えたムリな計画は立てないようにしましょう。
2.準備段階
 ・まずは天候の確認です。たくさんの気象情報サイトからお気に入りを見つけておくといいでしょう。ちなみに私のお気に入りサイトは次のとおりです。
       「日本気象協会tenki.jp」
       「Yahoo! Japan 天気災害」
       「天気と生活の情報サイト(高原・山)」
 ・装備と携帯品の準備(詳細は次項)、パッキング。
 ・乗車券や宿泊施設の手配。
 ・登山計画書(家族用と提出用)を作成。入山する山名・入山日と下山日、氏名・年齢・性別・住所・電話番号・緊急連絡先、行動予定(日時毎の通過ポイントを記入)、装備品と水・食料の量、非常時のエスケープルートなどをワープロ書きしたものです。郵送やFax、さらに最近では電子申請できるところも増えています。登山届の様式や提出先などについては、日本山岳協会のサイトをご覧ください。
控えを家族や知人に預けておくことも忘れずに。
 ・最も重要なのは飲料水のチェック。短い乗り継ぎで買い物が出来ないまま登山口に到着。周辺には店も自販機もなく、買い足そうとしていた飲料水が入手できないまま出発。途中、電解質不足で足が痙攣し、残り少ないお茶に食塩を混ぜて乗り切り、熱中症寸前に辛うじて下山した経験は、思い出してもゾッとします。夏山を終日歩くなら2リットル以上の飲料水が必要です。それに粉末清涼飲料と食塩の持参もお忘れなく。
 ・さらに、行動食に気を配ることはとても重要です。疲労回復に即効性があるキャンディーやチョコレートなど甘いもの。パワーアップのために高カロリーなビーフジャーキーやナッツ類。そして効き目は緩やかながら持続性のある煎餅やクッキーなど。雨天では立ったままで、時間にせかされると歩きながら食べるといったことも必要になります。
3.山の中で
 ・まず体調のチェック。そして必ずストレッチで身体をほぐしてスタートすること。30分ほどはゆっくり歩いて、再び心拍や呼吸、筋肉の状態をチェック。調子が悪い時はここで中止の勇気を。
 ・30分ばかり歩いた最初の小休止で、靴のフィット具合やリュックのバランスを確認。衣服類の調整もしよう。
 ・50分歩いて10分休憩が基本。ムリな歩きや不規則な休憩はやめよう。急坂での休憩は、立ったままでの小休止も有効です。
 ・急坂ではストックを使おう。ただしストックに体重をかけないように、バランスをとるためだけに利用しよう。道や植物を傷めないように、通常はキャップを付けておくこと。
 ・水分補給はこまめに行うこと。喉が乾く前に少しずつ補給するのが良い。
 ・階段は大股で登らず、できるだけ段差が少ない部分を選ぼう。
 ・岩場ではストックをたたんでザックに戻し、両手を使ってゆっくりと。手でしがみついてバランスを失わないよう、三点確保(手足の4点が岩をとらえた状態から、いずれか1点だけを動かす)で慎重に登ろう。
 ・岩屑のガレ場やザレ場では、岩に足を取られないように。ガレ場では落石に注意。浮き石を踏まないように注意を。
 ・行き交うハイカーとは爽やかな挨拶を。対向は原則として登り優先ですが、声を掛け合って柔軟に対応しよう。
 ・風景をよく観察すること。コンパスと地図で頻繁に現在位置を確認して、道迷いをしないように。
 ・ヤブコギや踏み跡が定かでない場所では、目印となるテープやペンキのマーカーに注意を払おう。途中で見失った場合は、直前のマーカーまで戻って冷静に探索をやり直すこと。
 ・道に迷ったと感じたら、見通しの利く上方を目指すこと。危険が待ち受けていても気づきにくい谷側には安易に下りないこと。
4.下山路で
 ・下山は登りよりも難しいと感じています。ゆっくりと慎重に歩きましょう。
 ・下山に当たって靴を再点検しよう。靴紐が緩んでいたために急坂で指が靴先に接触して、爪をはがした経験があります。しっかりと締め直してください。
 ・疲労が身体のバランスをくずして、思わぬスリップ事故を引き起こすこともあります。バランスを確保するためにはストックが有効。加えて適切な小休止をぜひ。
 ・下山後もストレッチで疲れをほぐそう。足腰の疲労が軽減して、翌日の筋肉痛も軽くなるはず。
 ・下山後の入浴は気持ちいいですが、酷使した足はまずじっくりと冷やしてから。それからゆっくりとくつろごう。

◆装備と携帯品のご紹介

私の装備を掲げておきます。先頭の◎は「必須」、△は「あると便利なもの」、▲は「持ってないが欲しいもの」です。これだけあるとさすがに重くてかさばる! 値段は張りますが、できるだけ軽量・コンパクトなものがお勧めです。

No.必要性品   名説   明
ウェア類
1下着吸水性・速乾性に優れたもの
2シャツTシャツ/長袖シャツなど
3ズボン動きやすいトレッキングパンツ
4セーター・フリース必要に応じて
5靴下厚手のもの
6帽子
7手袋
8ネックウォーマー冬には重宝
9防寒具季節・天候や標高に合わせてダウンなど
登山用具
10トレッキングシューズハイカットで底が固いもの(重いです!)
11ザック25L日帰り山行はこれ
12ザックカバー
13ザック40L(ザックカバー付き)宿泊をともなう場合はこれ
14ヘッドライトLEDの省電力型
15ストックⅠ型の1本流です
16スパッツ
17レインウェア上下セパレートで防湿性と透湿性に優れたもの
18折りたたみ傘
19ガイドブック必要な部分のみをコピーで
20地図とコンパス小型のオリエンテーリングコンパス
21腕時計チタニウム製で軽い電波時計
22カメラ軽くて簡単ズームのコンデジ
23ラジオ名刺サイズです。ニュースと気象情報受信用。
24携帯電話山中ではほとんど繋がらないのが悩み!
25双眼鏡遠方の標識を確認することもできる
26レスキューシート非常用ブランケットというものです
27ロープ5mm径の細引きを8m
28はさみ・ナイフ
29サングラス夏季や雪山では必須
30ホイッスル非常時の連絡用に
31熊よけ鈴簡単に音をカットできるもの
32ビニールシート食事や休息用に
33ライター
34メモ帳・筆記用具
35予備電池携帯電話、ヘッドライト、ラジオ用など
36ビニール袋小袋と大きめのゴミ袋
37強力多用途補修テープ水に強くて手で切れる48mm幅のものを数m
38バーナーとコッヘル、燃料など
39ツェルト万が一のビバークに備えて
40軽アイゼン
生活用品
41タオル
42洗面用具
43ティッシュペーパーウェットティッシュも
44トイレットペーパー必要なだけ折り畳んで
45マイカップ、食器
46保温用水筒(300ml)冬季低山歩きで昼食時のお茶を入れます
47ファーストエイドキット
48常備薬
食品
49主食弁当、おにぎり、パン、カップ麺など
50行動食アメ、チョコレート、ナッツ類、チーズ、ドライフルーツなど
51非常食行動食を多めに持ちますが、マヨネーズが良いとか?
52飲料としてだけでなく傷などの洗浄にも使える
53粉末清涼飲料・食塩ナトリウム・カリウム補充に適量を水に薄めて
54お茶弁当にはこれが最適
55サプリメント例えばアミノバイタルなど
その他
56健康保険証コピーです
57登山計画書・日程計画書