1.鹿嶋神社~登山口
姫路駅から上り普通電車に乗って、3つ目のJR曽根駅で下車すると駅前には20人ばかりのハイカー。さらに東に8人、その向こうにも4人が見えている。8人のグループは準備運動をやっている。これはにぎやかになりそうだ。
それぞれのグループが歩き始める。自分は鹿嶋神社までバスを利用するので、みんなを見送ってからバスに乗り込む。
鹿島神社前バス停で下りると大きいメタリックな鳥居。これはチタン製らしい。いくつもの鳥居をくぐりながら、お店の並ぶ参道を通り抜ける。
シンメトリックな美しい参道を御祈祷殿に出て参拝。
さらに階段を上り本殿にて山行の無事を祈る。登山口を確認するために社務所に出向いたら、カラー印刷のきれいな登山マップをいただくことができた。
鹿嶋神社からの登山口は赤い鳥居の奥から始まる。
2.百間岩~鷹ノ巣山~東峰三角点
赤鳥居から階段を上がった突き当たりを右折して進むと、岩場に山の住人とおぼしき御仁が寝転がってラジオを聴いている。声をかけると播磨アルプスについて熱く語り出して、この山のルートや歩き方などについての情報を拝聴する。そして、「お父さん、展望台まで送ってあげるよ」ということになった。
その先には急な岩場があり、これを巻くように登って展望台へ向かう。
コンクリート製の展望台に立つと、鷹ノ巣山から桶居山分岐への尾根や馬の背を一望できる。
展望台のすぐ北に百間岩がそびえている。まず、これを登りきらなければならない。
かの御仁が「絶対に格好をつけずに登ること、四つん這いでもかまわんから、安全第一を心がけること」とアドバイス。「落ちれば大怪我をするか死ぬこともある、年に何回か救急ヘリが飛んでくる」と言うことで、これは効きました。
百間岩は大きな一枚岩だ。初めてのトライはけっこう厳しく、足場を確認するのに時間をかけながら登っていく。写真左は中間点から見下ろしたもので、右は登りきる直前のもの。実際は、写真以上に角度と高度を感じてしまう。
半分ほど登ったところで四つん這いでデジカメを構えていると、下から足早に来る人がいる。ストックですいすいやってきて、軽く会釈して通り越していった。脱帽です。
百間岩を登りきって送電鉄塔に向かう。鉄塔の下に立つと西に姫路の町が広がり、平成の大修理で工事用建家に覆われた姫路城が見える。
南には高砂市の中心部が望まれる。次の目標は反射板のある展望ポイントだ。
岩稜をわたって反射板に着くと、東に鷹ノ巣山への稜線が美しい。
反射板を過ぎるといったん下って登り返していく。
こんな岩場を登りきると、鷹ノ巣山山頂に到着だ。
南には鹿嶋神社の一帯が広がり竿池と弟池が輝いている。行く手には鷹ノ巣山の東峰が近い。
後方をふり返ると百間岩を真横から見ることができる。曽根駅前で会ったグループと思われる一団が登っている最中で、かなり列が長くなっているのがわかる。
10分少々歩くと道がなだらかになる。その道の真ん中に東峰の三角点があった。
3.桶居山分岐点~高御位山山頂
馬の背への分岐に出た。男性がひとり、切り立った岩陵を歩いている。馬の背も歩いてみたいなぁ。
真っ青な空、桶居山分岐から高御位山への尾根が美しい。あれを歩くのだと思うと心が弾む。
しかし、この路面では気を抜けない。
天空の道といいたいようななだらかな尾根道。イトラッキョウが淡いピンクの花をつけていた。
鷹ノ巣山東峰から35分ほどで桶居山分岐に着く。思ったより時間がかかっている。
岩を削ったような路面、その傍らにサルトリイバラが紅い実をつけていた。
12時41分、やや広い場所があったので弁当を広げる。西には百間岩から縦走してきた尾根を一望できる。
12時56分に出発。すぐに「高御位山まで15分」の道標があり、行く手の山頂らしきところに反射板が見えてきた。
山頂に差しかかると傾斜のきつい大きな一枚岩。ここまでの岩場歩きに慣れた足は、意志とは無関係に軽々と登ってしまう。
山頂の方位盤と天乃御柱の碑。
立派なトイレが設置されている。向こうの切り立った岩場に人影が見える。
あちこちにある岩場の一つに立ってみた。その先は絶壁だ。眼下には小高御位山から中塚山が連なっている。
切り立った岩場の人影はお笑い系の二人とアナウンサー、それにカメラマンの4人だった。訊けば、サンテレビの撮影とかで、ご苦労なことだ。
高御位神社に参拝する。社の南側を裏からアプローチするところに三角点があった。
山頂の一角に「飛翔の碑」がある。大正10年(1921)10月7日、当時21歳の渡辺信二さんが、この岩場から、自らが創作したグライダーで飛び立ったのを讃えたものである。地元の青少年が支援して分解した機材を搬入し、山頂で組み立てたのち腕力だけで放ったそうである。300m滑空して彼の夢は叶う。渡辺信二さんはやがて日本初の民間水上飛行士になるが、郵便飛行中に発火事故が発生して26歳で殉死することになる。
大勢のグループがやって来て、テレビ撮影を終えた岩場で記念写真を撮り始める。そろそろ下山の用意をしよう。
4.成井方面への下山
この見出し「成井方面への下山」は苦しまぎれのもので、当初の計画は、小高御位山から中塚山を経て辻登山口へ下りるはずだった。つまり、下山道を間違えて成井へ下りることになったのである。
高御位神社への逆方向からの参道を下りて行くと、大きなハイキングコースの案内図がありベンチが設置されている。
その少し下に、北山登山口・成井登山口・北池登山口への道標がある。後で考えると、これを間違えて成井登山口へと進んでしまったのだ。しばらくは風景も大きく変わらないので気づかなかった。
逆光のワレモコウは幻想的だし、実をつけたウバメガシに目がとまる。
が、次第に風景が地図とはズレているのに気づくが、もうかなり下りており引き返す気になれない。なにしろ、急坂や滑りやすい岩場をガンガン下りてきたのだから。
途中に日本に生息するユリの原種といわれる笹ユリの育成場所があり、注意深く移動する。
陽差しがなくなった石ころ道を下りると、注連縄に飾られた大きな岩と出会う。「うし岩」である。
その下に墓地と身代り地蔵があり、それを下りると高御位神社の石柱、高御位山の駐車場に出た。
5.長~い宝殿駅への道
成井から宝殿駅までの地形は手持ちの地図では範囲外で、どこをどう行けばいいのかわからない。
ときおり歩いている人を見つけては道を尋ねながら進むことになる。
計画通りなら、このお地蔵さんのところへ下りてきたはずだ。ここからさらに車道を延々と歩いてJR宝殿駅に向かう。
高御位山からの下りコースを間違えたのはまずかったが、上級者向けと注意書きがあった「けものみち」を下りることができたのは、それなりに意義があった。可能ならば、次回は馬の背から登って、今回予定していた小高御位山~中塚山~辻登山口を歩いてみたい。そのときはぜひ、今日のような好天を選んで。