1.出発〜スタート地点
9時半頃に京都駅へ到着して、近くのコンビニで昼食の弁当や菓子パンなどを購入する。
10時過ぎに京都駅前バスターミナルから、市バス17系統で銀閣寺方面へ向かう。
銀閣寺道バス停で下車して、北白川のバプテスト病院前まで15分ほど歩く。スタートのトレイル標識55は病院手前の左側にある。1年ぶりの懐かしい場所だ。
2.大山祗神社(おおやまづみじんじゃ)〜瓜生山(うりゅうやま)山頂
バプテスト病院の前を右折して進み始めると、いきなり2本の道が平行している。右側の上り道に入ると、向こうの方で伐採作業中の男性が反対の道を進むよう声をかけてくれる。簡単な道順の説明と、神社で山の安全をお願いするといいとの助言がある。
反対の道も枝分かれしており、トレイル標識の左の道を、まずは大山祗神社に向かう。標識の少し先に「地龍大明神/木花咲耶姫神」の案内板が立っている。
5分ほど歩いて大山祗神社に着き、山行の無事を祈る。
嬉しくなるような山道だ。しかし、雨が降ると沢になりそうな道でもある。
ゲートに着く。マウンテンバイクなどを閉め出すための立て札と思ったのだが、「登山者のためにむりなドライブはご遠慮ください」とは、乗り入れOKということのようだ。
分岐を瓜生山の方に踏み込んだトレイル標識57−2の沢分岐。倒木や伐採木が積み上げられている。この分岐は左に進む。
白川石の中間作業石置き場だったところに差し掛かかると、苔むした形の良い石が道端にごろごろ横たわる。
またもや沢分岐があり、トレイル標識58−1と並んで白幽子巖居之跡の案内板(北白川愛郷会の設置)が立っている。この分岐も左に進む。
白幽子(はくゆうし)は江戸時代初期の隠遁者とされるが、案内板には、ここがその白幽子の巌居した跡であること、臨済禅中興の祖と尊崇される白隠禅師が白幽子によって肺病を治癒した体験の名著「夜船閑話」発祥の地でもあること、などが記されている。すぐ近くの窪地には白幽子の使った井戸が残っていた。
結晶が大きくて美しいと言われる白川石が採取された清沢口石切場は、良質の石が出ていたようだ。林の向こうに、苔むした花崗岩の岩壁が横たわる。
トレイル標識59−1を右折して登って行く。このあたりは三十六童子巡礼道になっており、瓜生山頂まで童子像の祠が並んでいる。
登り初めて約1時間、11時54分に瓜生山頂に着く。瓜生山命名の言われなどについての説明板があり、標高301mと記されている。ところが足元に「関西・東山三十六峰を歩く会」のプレートでは299mとある。ちなみに国土地理院の地図では301mである。
祠堂(しどう)があり、かつては裏の石室に勝負事に御利益がある「勝軍地蔵」が祀られていたそうだが、現在は参拝が不便ということで下の方に移されている。
ここで出会った5〜6人の子供連れたちが食事を始めた。われわれも少し早めの昼食をとることにする。
3.白鳥山頂(北白川城出丸)〜石鳥居
ゆっくり休んで12時35分に比叡山へ向けて出発する。
マウンテンバイク愛好家のものと見られる鮮やかなプレート「山を大切に・往来安全」が目を引く。
北白川城出丸があった白鳥山頂「見はらし台」への回り道があり、これを進む。
標高331mの山頂に着くが、名前とは裏腹に、雑木が茂っていてほとんど眺望を得られない。
回り道から戻って尾根道を歩く。尾根道を抜けると歩きやすい道が続く。
今回の立ち寄りポイントに設定している「てんこ山」が近くなってきた。
トレッキング標識65を過ぎてしばらく行くと、左手に「一乗寺・城・シロ」と記された案内標識らしいものがあり、傍の木の幹にマジックインクで「↑天子山」と書かれている。地図と照合すると予定位置よりもかなり手前なので、これを見送って標識66まで進むことにしたが、そこで脇道へ踏み込んでしまい悪戦苦闘。再びこの案内標識まで引き返して「てんこ山」を目指す。
しかしこれといった道はなく、わずかな踏み跡らしきものをたよりに登って行く。
地形を地図と慎重に照合し、帰路が判らなくならないように気をつけながら、緩やかな傾斜を高い方へとどんどん歩く。
そして、ついに三角点を発見。今回はこの「てんこ山」と大比叡の三角点を目標にしていたので、これでひとつはクリアーだ。
14時38分、ようやく石鳥居へ到着した。てんこ山へのアプローチに予想以上に時間をとられ、瓜生山から2時間もかかってしまった。
鳥居向こうには6人のグループ。挨拶をするが、気合いが入った打ち合わせの最中か反応がない。
石鳥居に結びつけられた「注意!! この鳥居倒れそう」の木片に気を取られていたのだが、おや、グループの女性が持つストックにキャップが付いてないのが気にかかる。
何となく感覚的に、ここから直進して登ると思っていたのだが、左折して急な坂を降りることになる。トレイル標識を確認していたら、外人のカップルが「ヒエイザンへ行きますか?」と流暢な日本語で話しかけてきた。そうだと答えると「ここから先はトテモ良いステキな道です!」と教えてくれる。
4.音羽川渡渉〜ケーブル比叡
音羽川に向けてこんな急坂を下りるところから始まる。
比叡山にストレートに迫っていけると思っていたのだが、アップダウンの連続。しかも何カ所も沢がある。
最初の沢がいちばん幅が広いが、水量が少なく、加えて要所にブロックを置いてくれているので楽々渡渉。
そして最後の沢は、相棒も慣れた足取りでヒョイ。
やがて水飲対陣跡碑がある。この地点は、修学院からの雲母坂(キララざか)と赤山禅院(せきざんぜんいん)に通じる道の合流点でもある。
道標を「ケーブル比叡」の方向へ登って行くと、間もなく展望のよい場所に出る。真上を送電線が通っている。
さらに登って行くが、道の脇に点々と開いている穴が気になる。その色から、明らかに今しがたできたた傷と思われる。先に出会った女性の、ゴム・キャップを付けてないストックが原因に違いない。植物や登山道を痛めるし、振りまわされたら凶器にもなる。これはやめて欲しいものだ。
次の分岐は階段を上がって行く。おびただしい根っ子につまずかないように、気をつけて前進。
道の傍らに千種忠顕(ちぐさただあき)の碑がある。ここで道が分岐していて右側の行者道へと進む。
行者道はさすがにきつい。杉林の道は急勾配で汗が噴き出してくる。
すでに16時を過ぎているので小休止は立ったまま。最後の木段を一段ずつ踏みしめながら上がって行く。
ついにたどり着いた比叡ビュースポット。モヤで風景はおぼろだが爽やかな達成感が湧いてくる。
しばし、休憩用ベンチを覆うように建っている電波塔の表情を観察する。
トレイル標識横の木には、比叡山登山の記念プレートが掛けられている。こんなに可愛いのもある。
これがゴール標識74。ついに到着だ!
ついでに、次のスタートになる北山の標識1を確認する。
ところが標識の下に「標識北山21付近の丸太橋が流出しており渡渉が必要です。大変危険ですので注意してください。雨天増水時は渡渉できません!」という危険注意の貼り紙。次回までに十分な情報収集をすることにしよう。
ケーブル比叡駅の下に比叡ロープウェイの駅舎が見える。
ここからガーデンミュージアム広場までロープウェイを利用して、大比叡に登って坂本へ抜けようとしたのだがタイムアウト。ケーブル延暦寺から坂本への最終便に間に合わないことがわかり断念。次回に持ち越すことになった。
向かいのケーブル比叡駅から八瀬へ下ることにする。
日本一の高低差561mを誇るケーブルカーは、わずか9分でケーブル八瀬に到着。叡山電車で出町柳まで出て、市バス17系統で京都駅へ移動する。
かくして、北白川からケーブル比叡までのコースを無事歩き終えて、京都一周トレイル東山コースを完歩。
北白川仕伏町からケーブル比叡までの標高差は約600m、歩行距離7km強の登りだった。石鳥居から水飲対陣跡碑までのアップダウンの疲労が、最後の行者道の上りでじわりと効いてきたようだが、相棒はよく頑張った。
京都駅地下の中華料理店で反省会をもち帰路につく。
5.第4回のスタート
第4回目はケーブルカーに乗って、八瀬からケーブル比叡まで一気に引き上げられる楽々スタート。
しかし今回は下りに険しい部分が多いことから、かなり時間が掛かりそうな気配。前回果たせなかった大比叡登頂をどうしようかと迷っていたのだが、直前になって、トレイル標識4から20分ばかりで登頂可能との情報を入手し、決行することに!
ケーブル比叡駅の北側にあるスタート標識「北山1」を確認して、延暦寺〜大原方面へ向けてスタート!
車両用に一部舗装された道路が続く。ケーブルに同乗していた人たちを乗せたロープウェイが頭上を横切って行く。
山道に変わり、右側に今は閉鎖され荒涼としたスキー場跡が広がる。ゲレンデの左端を登り詰めて左へと進む。
穏やかな山道が伸びていて、ほとんど散策テンポの足取りになってくる。
視界が開けて北山方面が見渡せる広場に出る。ベンチがいくつも設置されていて、語り合っている姿も見える。
トレイル標識4に到着した。「四明岳・大比叡」と記されている点線矢印の方向に進む。
南に登って行くと、木段のある九十九折りの道になる。
やがて舗装道路に出合うので、比叡山バス乗り場のある左へと進む。
11時55分、食堂売店と延暦寺バスセンターのある広場に着いた。バスセンターには三条京阪・京都方面のバスが停車している。
駐車場の北に、今日出かける横高山や水井山、さらに遠方には雪をいただいた比良山系が見える。
駐車場南の丘が大比叡で、遠方に見えるバスを通り越して左の坂道を登って行く。
山頂のひときわ盛り上がったところに一等三角点がある。12時5分、念願の大比叡848mに登頂だ。
ここには面白い形をした電波塔があった。
下りる途中、西側にガーデンミュージアムの円形の建物が見える。あのあたりが、もうひとつの頂上である四明岳(838m)だ。
杉林の道を標識4へと急ぐ。標識4に着けば横高山・水井山・仰木峠から大原方面に向けて出発だ。