1.近鉄新石切駅から石切参道商店街を行く
近鉄けいはんな線「生駒行き」で降り立った新石切駅のプラットフォーム。電車進行方向にはアンテナが林立した生駒山が見えている。
石切神社西参道にはにぎわいがある。まずは石切神社へ足を運ぶ。石鳥居の扁額には「石切劔箭宮(いしきりつるぎやぐう)」と刻まれている。
本殿にて山行の無事をお願いする。左手に御神木の楠(くすのき)がある。樹齢約470年で幹囲7.5m、高さは20mもある。
ちょうど昼時なので、神社前のお食事処「すずや」で弁当を注文する。山歩きの前に外食するのはまれで、おいしくいただきました。
石切神社から近鉄石切駅までの参道に展開される石切参道商店街。百数十軒の個性豊かな商店が並び、その間に神仏を祀っている一角もある。なんとも懐かしい感じがする通りである。
その一角にひときわ目をひくのが「石切大仏」。「日本で三番目」とあるが、何が三番目なのか定かでない。ちなみに大仏の高さは地上高で6mとか。
近鉄のガード下をくぐると、風景が一変して生駒山への道が延びる。
2.爪切地蔵~辻子谷水車郷~興法寺
舗装道路を上がって行くと大師堂がある。。
さらに少し行くと爪切地蔵があり、弘法大師が一夜のうちに爪で刻んだとの伝説がある地蔵が鎮座している。
傾斜のきつい舗装道が延々と続く。郵便配達のバイクと何度も先を競いながら登って行く。道辺のあちこちに祠があり、お地蔵さんが祀られている。
音川沿いの辻子谷の急坂にさしかかる。この一帯は昔から水車が多いことで有名なそうだが、今は復元されたものだけである。その水車がある辻子谷水車郷に立ち寄って小休止すると、辻子谷ホタルの復活への取り組みが掲示されており興味深く読ませてもらった。こんなに自然が豊かな舞台で舞うホタルは、こころを幽玄の世界に誘うことだろう。
水車郷から少し上がると三差路に地蔵堂があり子育地蔵が祀られている。ここは直進して興法寺へと向かう(右を上がると妙覚寺)。このあたりから路傍のお地蔵さんが増えてくる。
急坂を登って「すなくら橋」を渡る。
路面が丸印の模様に変わり、手前には車止めが設置されていた。それを越えて、傾斜がさらにきつくなったように感じながら登って行く。あちこちでお地蔵さんが見守っている。
右手に赤い鳥居が近づいてくる。石柱に「弘法大師氷室瀧」とあるが、「きけん立入禁止」の黄色テープが張り巡らされていた。
興法寺の下に着くと急な石段の登りが待っている。ここにも、赤い前掛けをつけたお地蔵さんが立っている。
真言宗の古刹で、役行者が開基したといわれる興法寺に着いた。石柱には「大聖歓喜天 鷲尾山興法寺」とある。静謐に満たされた庭を奥へ進む。
朱が鮮やかな歓喜天堂には、役行者が氷室権現より授かったと伝えられる歓喜天が祀られているそうである。山中の落ち着いた雰囲気の本堂と、その前に立つ美しい灯籠。
3.辻子谷ハイキングコースを生駒山山頂へ
興法寺を後にして生駒山へと向かう。いったん「ぬかた園地」方面への道を進んで行く。
舗装道に出たら横断して、「辻子谷ハイキングコース」を生駒山へと向かう。時折り舗装道とクロスしている石畳の道を進み、長い木段に出合うとハイキングコースも終わりに近い。
木段の終端は信貴生駒スカイラインにつながり、道向こうに生駒山へ上る「スカイシャトル」の乗り場がある。スカイラインを横断して、右側の長い階段を登って行く。
階段の途中から振り返った風景。近隣の山にも多数のアンテナが立っている。
階段を登り切った位置からの眺望にガッカリ。モヤがかかってほとんど見通しがきかない。しんぼう強くズームで探りを入れて、ようやく写った1枚は「あべのハルカス」かな?
続いて山頂側の風景にビックリ。ここは完璧な遊園地だ。奥へと進んで右を見ると、電波塔と自販機の姿ばかり。
なんと、三角点はミニSL列車コースの中心にある。係員のお兄さんに撮影したい旨を告げると、「どうぞ線路を踏まないようにお願いします」。線路と列車に注意してカシャッ、もう1枚カシャッ。
4.宝山寺~近鉄生駒駅
なんとも落ち着かない感じで、早々と下山することに。
コンクリートの階段を下り、山頂までの車道を横切る。
山道はよく整備されており、岩をコンクリートで埋め込んだ路面をどんどん下りて行く。
途中にあった「青龍瀑」。水が無く、お供えもなく、なにもかも涸れた感じ。
さらに下りて行くと、近鉄生駒ケーブル梅屋敷駅に珍しいケーブルカーの踏切がある。これを渡って、ケーブル線路に沿った近道を下りる。間もなく、宝山寺が見えてきた。
宝山寺は生駒聖天(いこましょうてん)とも呼ばれる古刹である。本堂の背後に切り立つ岩壁には、役小角が般若経を納めたと伝わる般若窟がある。本尊は不動明王を祀っているそうである。
平成の檜皮屋根葺き替え工事が行われており、聖天堂と拝殿は参拝できない(平成27年12月20日竣工予定)。
幻想的な多宝塔にズームで寄ってみた。境内では灯籠と鳥居が線香に煙り、左後方には文殊堂の姿が美しい。
惣門を出て石鳥居を進むと参道両側に灯籠の列。9月23日のお彼岸万燈会には燈明が灯され、幽玄の世界が広がることだろう。
ケーブルの宝山寺駅の付近には雰囲気の良い旅館や喫茶店などがある。ちょっと落ち着きたくなる店を斜めに、石段と坂の反復を下りて行く。
石段に足ながおじさんの影が映る。生駒の街はまだはるか下方だ。
奈良県側の参道は、石切神社界隈の大阪らしい雰囲気とは対照的に静かで穏やかである。ゆるやかな坂で、中学生らしい女の子二人が、スケートボードに相乗りして遊んでいた。無邪気な姿に頬がゆるんでしまう。
明るい里の景色がしだいに近づいて石段が終わり、商店街を通り抜けて生駒駅に着いた。