1.蕎原(そぶら)~そぶら山荘での昼食
岡山方面から姫路を経てJR大阪環状線で新今宮に到着。新今宮駅での南海本線への乗り換えと、貝塚駅での水間鉄道への移動は不慣れにてギリギリでセーフ。青春18切符を片手に4時間半かけて水間観音駅に降り立った。鉄筋コンクリートの駅舎だが何ともユニークな外観だ。九輪を戴くのは水間観音寺に似せてだろうか。
水間観音駅から蕎原までは、一律210円のコミュニティバス「は~もに~ばす」を利用する。このバスは平日と土日祭日で運行時刻が異なるが、平日でも水曜日は特別ダイヤになるので注意が必要だ。今回はその特別ダイヤを利用することで、18切符で楽に日帰りできることがわかった。駅前の車道を渡ったところにバス停を確認して待つ。駅前にもバス停があるが、これは「左回りルート」の停車場なので今回はダメ。便数が少なくルートを知っておく必要があるので、事前に次のリンクで確認しておくとよい。
ここから ==> 水間鉄道株式会社 『福祉型コミュニティバス・黄バス運行ダイヤ』
福祉バスを独り占めして約20分で蕎原に到着。運転手さんに丁重にお礼を言って下車する。バス停には「そぶら山荘」の案内板が掛かる。バス進行方向すぐ先の三叉路へと進む。
ここにも「そぶら山荘」の案内板があり、その右横に「葛城山登山口」を示す小さな道標が取り付けてある。
道標に従って右手の道路を歩くとまた「そぶら山荘」の案内板。ここから先はこの案内板が道標代わりをしてくれる。
7~8分行くとハイキングコースが掲示されていて、すぐ先の家屋に「登山Bコース入口」の道標が見えた。ここを入ると枇杷平(びわだいら)を登るルートに合流できるようだ。
細い道路を車が何台も行き来する。やがて木立の道になった。
そぶら山荘に到着した。バス停からは20分足らずだ。何ともいい雰囲気の外観、広い駐車場があり何台も停まっている。
オオッ、歯切れのいいサウンドにのって柔らかい女性シンガーの声が優しいゾ! ステージを前にテーブルがずらりと並び、演奏を聴きながら食事をしている人たち。自分は少し離れた小川沿いのテーブルに落ち着き、熟成カレーとドリンクバーを注文した。食後のコーヒーを楽しんでいると、隣席の山歩きスタイルの女性から声が掛かりしばしの山談義。彼女はこの店の食事を楽しむため頻繁に足を運んでいるとのこと。そんな固定客が多いらしい。レモンジュースが絶品ですと聞いて試す。ほとんど甘みがなく、淡い香りと爽快感が元気を運んでくる。このルートを通る際にはぜひお勧めしたいスポットだ。
今日は山歩きだから、と言い聞かせて席を立つとステージの曲も心なしかゆるやかになる。道路に戻って斜交いに眺める山荘。和泉葛城山を源流とする近木川(こぎがわ)が流れるこの一帯は、渓流園地になっている。谷間にはカジカの声が響き渡り、渓流で水浴びする子供たちの賑やかな声が聞こえてくる。
2.ハシカケの滝~山頂に向けて
そぶら山荘から5~6分で春日橋に着いた。橋を渡ると道標や標識がずらりと並んでいる。
ここで道は五本松方面と山頂への本谷線(本谷林道)に分岐する。
本谷線に入るとすぐ交通止めのロープが張り渡され、「バイク・自転車の進入禁止」標識が立つ。
左側を流れる近木川には方々に小さな滝がある。山と木々の風景ばかりなので、滝の姿と音はいいアクセントになる。
小さな橋があり、ここで道路がV字形にターンして宿ノ谷林道に入る。「橋を渡って山頂へ」の道標が立つ。路面はまだ舗装されている。
杉の木の林を登る。二個所ばかりに天然木のフラフープが掛かっている。
ハシカケの滝で小休止して急勾配の坂に入ると、舗装道が終わってやっと山道になった。傾斜が急な舗装道路の連続で脹ら脛が痛い。本谷林道に入ってからはまったく人に出会わない。
近畿自然歩道「和泉葛城山頂 1.0km」の道標を過ぎると、丸太の急階段が続く。
何かわからないが「境界」の標石が設置されフェンスが作られている。しだいにブナが増えてきて、大きな絡み合ったのが現れた。
ブナ林を守るための木道が整備されていて、木道の感触を楽しみながら進んで行く。
左が切り落ちた細道を進むと「五穀豊穣」と刻まれた石鳥居が立っている。小休止をとろうと石段に腰掛けると、急傾斜の舗装道路歩きでパンパンに張ったふくらはぎが痙攣しそうになる。大汗をかいたための塩分不足かも知れないと、スポーツドリンクを多めに補給する。
3.和泉葛城山山頂と周辺の風景
石鳥居をくぐって長い石段を登ると山頂で、北側に面して葛城神社がある。
和泉葛城山のブナ林は本州分布域の南限に近く、天然に残る原生林として国の天然記念物に指定されている。しかし山頂付近ではコナラの方が多いように感じられる。木々に吊された登頂記念プレートを見ながら南に移動すると、葛城神社と背中合わせに八大龍王社が祀られている。
南のすぐ下に分岐があり、右折して展望台に向かう。軽装で歩く人がチラホラ見える。
途中に雑草で道が消えかかった場所があり、軽装の人たちはここで引き返したようだ。ちょっと雑草をかき分ければ円筒形の展望台が見えてくる。
今回お目に掛かった花はこのウツボグサだけ。時季はずれで花弁が消えかかっている。展望台の下部には椅子とテーブルが作り付けられており、真ん中の螺旋階段を最上階まで上ることができる。
ガスでぼやけているが360度の絶景が広がっている。
〔東〕先日登った岩湧山、金剛山などが見えているはずなのだが・・・。
〔南〕和歌山県側の風景。高野山はどこかな?
〔西〕大阪湾と遠くに淡路島。
〔北〕岸和田市、関西国際空港、神戸方面。と言っても、霞んでいる。
展望台から元の分岐点に戻って南の坂を下りる。広場や駐車場があり、ほとんどの人は車で来ていることがわかった。
4.丁石道を大威徳寺へ下りる
登りで予想以上に時間がかかったことと、山頂でくつろぐ時間を見込んでいなかったので時間が押してきた。と言うより、すでに大幅に遅れている。牛滝山バス停発16時41分のバスに乗るためには、かなり急がなければならない。すでに15時7分、舗装された林道牛滝線を速歩で下り始める。
眺望がきかないのでひたすら歩くだけ。20分少々で1.8km地点まで下りたのでまずまずだ。
脇に丁石道への分岐道標があり、ここから「地蔵さん登山道」と名づけられた山道を下りて行く。
お地蔵さんが立つ道は多くが階段で急坂も多い。丁石道の名の通り、お地蔵さんには丁数が刻まれている。
いくつものお地蔵さんが点在するが、いずれも新しいシャシャキが供えられているのに感心する。和泉葛城山が信仰の山であることを感じる道でもある。山腹の東側を通る道であること、杉の植林に覆われていることから、真夏の午後4時にもかかわらず薄暗い。道の根っ子や大きい段差を見間違えないように急ぐのは大変だ。
再び林道に合流した。山頂からちょうど6.0km地点でまで下りてきたことになる。
すでに時刻は16時19分、何とかバスに間に合うかも。ここから牛滝園地に下り渓流歩道を通って大威徳寺に向かう。またしばらく急階段を下りる。
牛滝川(うしたきがわ)を徒渉すると左側に錦流の滝が現れる。壮大な滝だがゆっくり眺める間もなく急ぐ。
牛滝園地の錦流橋を駆け足で渡る。
大威徳寺は役行者が開創したとされる天台宗の古刹である。本堂と室町時代建立の多宝塔(国の重要文化財)を眺め、鐘楼と山門を大急ぎでカメラに収める。
牛滝山バス停には発車3分前に到着、帰りもギリギリでセーフだ。
岸和田駅までの1時間は熟睡状態。バスが10分ばかり遅延したため岸和田駅からの帰路スケジュールを大変更。岡山駅には22時3分に帰着することになった。が、そのおかげで、大阪駅のエキナカ酒場で疲労回復!!