1.国見の森公園へ
JR姫新線の土日ダイヤで、姫路駅発・播磨新宮駅行きは9時50分。姫路駅からの乗り換え時間は5分だったが、到着時のエスカレータは大混雑。姫新線フォームに立ったが電車はすでに出た後。
次の便は10時45分で、播磨新宮駅到着は11時18分。新宮駅から午前中に一本だけのバスには間に合わない。バスで15分ほど移動し、そこから20分ばかり歩く予定だったがダメ。しかたなくタクシーを利用することに・・・・
タクシーだから、もちろん歩くことなく公園入口に横付け。その間、メーターは容赦なく4,500円までアップ。貧乏旅行を旨とする理念に反するわけで、出だしから凹んでしまった。 今日の教訓、「山行計画では駅の混雑を忘れるべからず」
賑やかな入口を入ると広い駐車場があり、真ん中の道路を交流館へ向かう。小屋の壁がボルダリングボードになっていて、色とりどりのホールドが取り付けられている。大きなカブトムシも寝そべっている。
交流館は国見の森公園のエントランス施設だ。付近に案内板があって、入山時には「入山届」を提出し、下山時にはその旨を申し出るよう掲示されている。
交流館の総合案内窓口で備え付けの入山届に記入して提出する。モノレールの利用は事前に予約が必要で、この時に予約もする。人が多いので心配だったが、計画していた12時10分の便に空きがありラッキー!
入山届を提出すると、下のような散策マップや「イチおしスポット」などが載ったパンフレットをもらえる。
2.モノレールで山頂駅へ
これがモノレール乗り場だ。2両編成のミニモノレールで、到着までしばらく待つ。のぞき込むと軌道がきれいな曲線を描いている。これは楽しみだ。
愛称「はばタン号」と「しーたん号」の連結2両が到着。スタッフが受付順に名前を呼んでくれて乗車する。この便は満員状態だったが、前側の車両に乗ることができた。
モノレールの雰囲気を記録すべく、全行程18分のうち、出発から2分30秒ばかりをビデオ撮りする。後ろからの撮影なので、それを気遣ってくださった前列の皆さん「ありがとうございました」。ちょうどコースの半ばに差しかかったあたり、何回か眼下を移動する鹿が見えた。また後半のジェットコースターのような急傾斜には気分が高揚したが、これらはカメラを脇にひたすら眺めているばかり。 ※ミュートを解除すると車内音声が再生されます!
急傾斜に差し掛かるあたりの軌道。横方向の緑のバーや上部の円形は、前方の窓枠と屋根。ムリな姿勢でのぞき込んでいるのでこのようになった。白いのが軌道で、左側の階段は緊急時の避難路だ。最大斜度は38度で、大倉山ジャンプ競技場の37度をわずかに超えている。万が一これを歩くとなると、考えるだけで興奮するなぁ。
急傾斜が続いて標高400m地点を通過する。
そして間もなく山頂駅に到着。駅に連なる大きな建屋は学習館で、木工工作室や学習室がある。ここには清潔でゆったりとした循環型エコトイレが設置されている。
学習館前には野外広場があり、大勢の家族連れがくつろぎ、子供たちがボールを蹴ったり駆け回っている。
折り返しで12時40分に出発するモノレールを見送る。
丸太で作った正三角形を組み合わせた中空ドームがあり、中にイスとテーブル。そばに「蜂に注意してください」の標識が立ち、ここだけは誰もいない。チェックすると問題ないので入り込んで昼食をとる。「アサギマダラ飛来地」の表示があり、200m先にその場所があるようだ。秋を連れてくる「渡り蝶」は、これから南西諸島や台湾まで移動する。夏日続きなのだが、もうそんな時期なのだ。
昼食後に登山口へ向かう。草原にはこんなイノシシの親子がいて、人の親子もいる。
3.セラピーロードを山頂へ
登山口(と呼んでいいのかな?)から山頂までは712m。「山上歩道」と名付けられたセラピーロードはバリアフリーでもある。
これなら車椅子やベビーカーでも十分登れそうだ。植栽を獣害から守る防護柵があり、通過後はかならず閉めること。
途中に山頂へ直登できる(未確認)と思われる階段の道がある。ここは緩やかなセラピーロードを行く。
折り返した道路を進むと、間もなく山頂展望台が見えてきた。
その手前、狭い空間ながらモミジとススキのアンサンブル。ここだけが秋色、そして山頂に到着だ。
山頂展望台は国見山の杉を使っているそうだが、その太さがすごい。それに形状が実に面白い。全体の形もさることながら、あの屋根の複雑でホタテ貝の殻を二段重ねしたようなのを眺めていると、貝柱はどこにあるのかと思ってしまう。とりわけ、一階の出っ張り構造には拍手! これなら車椅子でも眺望を楽しむことができる!
周囲の木々が強風でゴーゴーと音を立てていて、二階への螺旋階段は手摺をつかんでヨロヨロ上る。「幸せの鐘」があり、紅白のロープを引くと高い音程でチーン。ゴーゴー音と調和して、さながら Jazzのワンフレーズだ。
眼下には宍粟市山崎町の町並みが広がる。これは展望台からほぼ東側の風景。山裾を揖保川が流れ、中国自動車道が左下から中央に向かって延び、揖保川の手前には山崎インターチェンジ。
これは南西方向の風景。タクシーでやって来た道路が見える。その向こうには揖保川が大きく蛇行し、右手には新宮町方面の山々。
展望台下のモミジがわずかに紅葉している。風はいよいよ凄まじく早々と帰路に。
4.ハイキング道2号線を下山
「←2ルート、駐車場・交流館へ」の道標が立ち、獣害防護柵がある。帰路はハイキング道2号線を下山する。このルートは階段が多く、数ヶ月の山歩きブランクの後なので気を引き締める。
山頂から100mほど下りると、3号ルートとの分岐道標がある。そちらへ進むと金谷山部古墳まで1.4kmだ。ここは山麓・交流館の方へ入る。約1.7kmの行程だ。
急な木の階段が始まる。ところどころに、金網で保護して植栽をしている。その先で男性と出会う。アサギマダラの撮影で姫路からやって来たとのこと。先週は淡路島で大量のアサギマダラを撮したが、今日はもっと良い1枚を狙っているそうだ。風が強いので難しいかも知れませんね、頑張って!と別れる。
「山頂から700m、山麓・駐車場まで1.0km」の道標。階段の木が朽ちた急な下りが続く。
丸太の橋があり、ゆるい上り坂に変わる。
右上にモノレールの軌道が現れる。上りのモノレールで鹿の往来が見えた場所だ。しばらく様子を窺うがその気配はない。すぐ先の右に細道があり、そちらへ入ると「七本松休憩所」がある。時刻は14時15分で、少し待つと山麓発14時10分のモノレールが通過するはずだ。
間もなく、林の中から車両が姿を現した。静かにゆっくりとやって来る。乗客に手を振るといっせいに応えてくれる。大自然にあって異質ではあるが、その動きが何とも幻想的で離れがたく、姿が消えるまで見送る。
ここの標高は293m。交流館まではまだ遠い。
蛇行した細道を下り進む途中で、ふくらはぎや足裏が攣りかけて何度か小休止をとる。ようやく下山口へ差し掛かった所に「通行止・う回路を通行して下さい」の標識と出合う。
通行止の斜面では植樹をしているようだ。つづら折りの迂回路にはあちこちに「石を落とさんといて!」の標識。
「2番登山道・2番線入口」の道標。下りてきたばかりの坂を見上げて「あの階段を登るのはきついゾ!」とつぶやく。この一帯では、自然環境保全として希少植物の「エビネ」の移植を進めているらしい。
交流館への防護扉を開けようとしていたら、下山時に出会った男性が戻ってきた。結局、アサギマダラとは会えなかったそうだ。アサギマダラの好物であるフジバカマがまったく花をつけてないので、今年はダメかも知れないと残念そうだった。異常な気候変動の影響がこんなところにも現れている。
交流館へ戻って下山を告げると、入浴割引券をプレゼントされた。
5.城下バス停までウォーク
15時前に公園から帰路につく。入口にもバス停はあるが播磨新宮駅への便は無い。ここから城下バス停まで約20分の道程を歩く。
舗装道路を歩いていたら、10分ほどで足が攣って動けなくなり、道端に座り込んで筋肉痙攣緩和の「ツムラ68」を服用する。
城下バス停のバス到着は16時3分なので時間の心配はない。殺風景の中にあってセイタカアワダチソウばかりが元気なので、シャッターを切ってみる。ついでに、ススキに見立ててエノコログサ(猫じゃらし)もカシャッ。近くに子猫がいると退屈しないのだが。そうこうするうちに足の痛みが引いてきた。
右側に「ナフコ」の広告塔が見える。あの向こうを右折すれば300mほどでバス停だ。
バス停には余裕をもって到着できた。しかしここからが大変で、ズボンの右足にひっつき虫がびっしり。泥棒がとりつくかのごとく実がくっつくことから「ヌスビトハギ」と呼ばれるヤツだ。10分以上もこいつと大格闘して、やっつけ終わったらバスが来た。