1.るり渓温泉から登山口へ
阪急梅田駅から宝塚線急行に乗り換えて、20分で川西能勢口に到着する。
川西能勢口から能勢電鉄妙見線に乗り換えると、20分で日生中央駅に着いてキョロキョロ。構内からやや離れたところに小型バスが停車している。ちょうどK'sデンキの前あたりだ。発車まで時間がなかったので小走りで移動する。
これは「るり渓温泉」利用客無料送迎バスを利用させていただくもので宿泊者優先、大人数での利用は差し控えたい。
およそ35分でるり渓温泉へ着いて、立派な施設が見えてきた。
降車した皆さんは温泉施設の方へ移動する。隣接して広い駐車場がいくつもある。
自分は舗装道路へ下りて、バスがやって来た方向へ戻るように歩き始める。右手の一帯はゴルフ場になっている。
るり渓温泉の施設は広大である。しばらく進むと遊星館があり、小さな天体観測ドームが並んでいる。プラネタリウムもあるようだ。緩い上り坂が続き車両が頻繁にやってくる。
やぎ農園があり、これを過ぎると登山口は近い。
国道173号に出る手前に「横断者注意」の看板があり、その右手に登山口がある。「深山ハイキングコース」の標識と案内板が設置されている。
2.いくつものピークを越えて山頂へ
「ハイキングコース順路」の道標に沿って細道へ入る。この先にも赤矢印の道標がしばしば現れ、道に迷う心配はない。時刻は11時57分、木漏れ日の道からスタートだ。
ほどなく傾斜が増し、右にゴルフ場を見ながら高度を上げて行く。
天然林は気持ちいい。傾斜が急になると補助ロープが張り巡らされている。赤土の路面にはスリップの跡がチラホラ。好天時の登りは問題ないが雨の日の下りでは滑りそうだ、などと考えながら登って行く。
傾斜が緩くなり、足元が笹原に変わってきた。
平坦な道を行くと右手にゴルフ場のグリーンが美しい。明るいゴルフウェアの女性プレーヤーを追って、二人乗りカートがゆるゆると下っていった。
いろんな樹種で構成される雑木林だが、赤松が多くなったようだ。急坂に差しかかると、3cmほどの小さな栗の実がたくさん落ちている。
最初のピークに差しかかった。登ってみると大きな岩が横たわっていて、ザックを下ろして小休止する。
尾根に出た。すぐに左側(西)の展望が開けて、送電鉄塔を頂いた山々が連なっている。
こんもりと茂ったあたりが山頂かな。ススキが群生しているがまだ穂は小さい。密生しているのを掻き分けながら進む。
山頂ではなくて2番目のピークだった。すぐ先に第3のピークらしきところが見える。
3番目のピークに着いた。東側の眼下にはスタート地点の「るり渓温泉」やゴルフ場を一望できる。南の送電線が連なる山のさらに向こうには、六甲山系が横たわっている。
さらに遠くに見える高みへと前進する。少し下って登り返しにかかると4番目のピークが見えてきた。
第4ピークに着くと、何と、山頂はまだ遠い。北西方向に白く見える雨量観測レーダーサイトをズームで覗いてみる。
山頂へ向かって歩き始めるとアゲハチョウが舞い降りた。他にも2種類の蝶が飛び交うのだが、なかなか留まってくれないので見過ごす。
しばらく下りが続き、やがて山頂へと登り返す道が見えてくる。と、いきなり左下に舗装道路が現れた。
そのまま直進して登り返して行くと、その先は舗装道路と交差している。向こうから女性3人組が下りてきて挨拶、今日初めて出会ったハイカーだ。
3.山頂風景
登山口から1時間8分で山頂に到着した。レーダーサイトを取り囲んでいるフェンスの扉を開けて入る。サイトの建物には「建設省 近畿地方建設局 深山レーダ雨量観測所」のプレートが取り付けられている。
広場を進むと深山神社がある。鳥居をくぐって進むと「忠・孝」の石碑の間に木の鳥居が立ち、背後の小高いところに磐座のようなものがある。
小高い丘の手前に「高皇産霊神(たかみむすびのかみ)」と刻まれた石碑がある。深山神社の右側に山頂標識が立っている。広場の四方には写真による山名解説板が設置され、360度を見渡すことができる。あまりに広大な風景に、ただただ見とれるばかりである。
山頂には3人組のグループがいて歓談中。隣の木の下で弁当を広げていたら、初老のカップルがやって来た。今回は3組のグループと会うことができた。
以下は山頂から見渡せた主な山々(茶色は今までに登頂した山)。
〔北側〕 写真左:三岳山、大江山 写真右:養老岳、長老ヶ岳、頭巾山
〔西側〕 写真左:三国ヶ岳、愛宕山 648m、白髪岳 〔東側〕 写真右:皆子山、桟敷ヶ岳、愛宕山 924m
〔南側〕 写真左:妙見山、剣尾山 写真右:六甲山
〔南西側〕 羽束山、大船山、有馬富士
4.下山~るり渓散策
往路を忠実に下って行く。起伏はあるが復路は速い。第4ピークで山頂を振り返り、第3ピークで「るり渓温泉」を見下ろす。
第2ピークへと登り返し、尾根道の付け根からの展望を確かめて急坂へ向かう。
赤土の道を下りてゴルフ場が見えてきたところで鹿と出会った。人馴れしているのか、こちらを見つめてじっとしている。ラッキー!
そこからまた赤土の道を踏んで登山口に帰着した。山頂から45分ほど経過している。
るり渓温泉を通り過ぎて、るり渓谷遊歩道の方へと進む。通天湖(つうてんこ)に出た。天にも届かんばかりの高いところにある湖が名前の由来とか。
さらに進むと「渓流歩道」の道標があり、自然石とコンクリートでつくられた細道を渓流に向かって下りて行く。
人工的な滝があり、水が落ちている辺りで外国人の少女たちが賑やかに飛び跳ねたり写真を撮りあっている。流れに沿って川下へと歩く。
渓流に沿ってこのような細道が続いていて歩きやすい。屋根のついた休憩所があったのでザックを投げ出して座り込み、しばらく清流の流れと音に身を預ける。
急な階段を登ると舗装道路に出て、るり渓温泉へと戻る。バス待ちの間はビールで体を潤してのんびりタイム。
送迎バス停にザックを置いて周辺を歩き回ってみた。変わった小屋やテントが並び、すぐそばまで車で乗り付けてくつろぐ人たちを発見! これはグランピングスタイルのキャンプ場だそうで、グランピング(Glamping)とは、グラマラス(glamorous)キャンピング(camping)の略。キャンプ場のサービスを高級ホテル並にした高級キャンピングで、テントの中にはベッドと洗面所、ヒーターなどが備わっているそうである。
これって本当にアウトドアライフなの? スマホもGPSも持たず(ガラケーは持っている)、コンパスと地図頼りで山を彷徨う自分が、いかに原始野性的であるかをしみじみ感じさせられたのであった。