1.清荒神に参拝して大林寺登山口へ
阪急清荒神駅で下車すると線路越しにベガホール。1989年(平成元年)第1回宝塚ベガ音楽コンクールが開催されたときに訪れた、思い出深いホールである。入口の像はバイオリンを弾くヨハン・シュトラウス2世。その隣りにあるブルームカフェで昼食をすませて12時半に出発する。
清荒神参道の大きな道標はありがたい。今回は迷うことなく登山口へ着けそうだ。いろんな食べ物屋や土産物店が軒を連ねる参道を歩き、中国自動車道の下をくぐって緩やかな傾斜を進んで行く。
広い駐車場があり、右手の屋台が並ぶ路をたどる。
「清三寶大荒神王」の石柱が立つ山門は実に美しい。石柱の側面には「蓬莱山清澄寺」とある。奥へ進んで、これまた美しい本堂に参拝する。
少し戻ると史料館があり、鳥居越しに見える拝殿へと向かう。
参拝を終えて駐車場の手前まで引き返し、大林寺への参道を登る。
左に大林寺を見て「やすらぎ広場・奥の院」への階段を上がる。ここが中山連山への登山口である。
2.中山寺奥の院をめざして
急坂を登るとすぐに尾根道に出る。緩やかで快適な道だ。
左の「すみれガ丘」を見ながら進むと林の中から道標が顔を覗けている。
中山連山は尾根道にコバノミツバツツジがきれいだと聞いているが、今は蕾が膨らんでいる状態。いくつか開花したものも見られる。奥の院まであと1.4kmである。
急坂をぐいぐい登り、沢に渡された板橋をいくつか越えて行く。
木段を登ると、丸太で組み立てられた砂防ダムが現れる。この先で何人ものハイカーたちと挨拶を交わす。
ダムの右側に奥の院への参道が続く。これを登って7~8分で車道と出合うと、奥の院までは400mばかりである。
中山寺奥の院に着いた。ベンチに数名のグループ、一人でやって来た人も多いようだ。昨年(2014年06月)に修復が完成した奥の院は眩しいほど美しい。
隣接する弁財天にも参拝する。発とうとしていたら、登拝回数表押印所に気づいた。奥之院では「登拝回数表」を発行しているそうで、毎日登山をする人も多いのではと思われる。
3.中山最高峰~満願寺西山
中山寺奥の院を後にする。中山駅までの2.9kmコースのスタートだ。
尾根道を進む。次の目標である中山連山最高峰までは1.2kmである。
途中にケルンがあった。少し先で出合った道標に「山頂展望所まで0.5km」とある。
尾根道なのだが両側を雑木が取り巻き、まったく展望を得られない。今度は「最高峰まで 0.6km」の道標が立っている。先の山頂展望所との関係が今ひとつ把握できない。
「最高峰・満願寺 最明寺川 →」と書いた木製の道標がある。道の右側に金網のフェンスが現れ、ずっと続いている。奥の院を出てからまったくハイカーに会わなくなってしまった。ジェット機の離陸音が頻繁に聞こえるのだが、周囲が見えないのでどこを飛んでいるのか分からない。
「満願寺・阪急山本」の道標があり、いつの間にか最高峰を通り過ぎてしまったのではと振り返ると、左手に「中山頂上」のプレートを見つけた。これを見逃すと最高峰には立てない。
左手へ少し上がったところに最高峰の広場がある。台座がはみ出した二等三角点にタッチ。
最高峰から北側の眺望。周辺のゴルフ場の多さは驚くばかりだ。地肌が見えている部分もゴルフ場だろうか?左手前は大峰山と思われるがその他は分からない。
北東には川西市の住宅や街並みを一望できる。左に高いのは能勢妙見山。
「満願寺・阪急山本」の道標まで戻って、雑木で展望がきかない山道を進む。左に有刺鉄線のフェンスが現れ、この一帯は両側をフェンスで仕切られている。
最初の送電鉄塔と出合う。遠くには台形の甲山(かぶとやま)と六甲山、手前には宝塚、すぐ近くに中山の住宅地が見渡せる。
東に向かう道がゆるく南へ曲がって、川西市から箕面市の街が見えてきた。
道の真ん中に測量標石のようなものが現れる。これが何なのか見当がつかない。下のゴルフ場の方から時々人の声が聞こえてくる。
尾根道が続き、先ほどからガンガ~ンと大きな音が響いていた。西側の一角が見えて、騒々しい音は団地造成中の建設重機のせいであることが分かった。
また甲山が見え、時刻は16時を過ぎている。送電線保守標識で進路を確認して先を急ぐ。
風景が遮断された尾根道の途中、木に「満願寺西山 361.6m」のプレートが結ばれている。見落とさなくてよかった!
4.岩場を下って最明寺滝~阪急山本駅
2番目の送電鉄塔はオレンジと白のツートンカラー。南東に大阪方面の眺望が広がる。
二系統の送電線路がクロスしている3番目の鉄塔からは、南西方面がよく見える。伊丹空港から離陸する機影が大空に吸い込まれて行く。
ルート最後の送電鉄塔にやって来た。眼下に山本の住宅地が見えている。足場の悪い道を下りる。
落ち込むような急傾斜の岩場に出た。ロープが取り付けられており、これは迫力がある。登りなら幾通りかのルートを選択できそうだが、下りはロープに頼るしかなさそうだ。一本目のロープが下方の岩で遮られ、次のロープに繋がっているようだ。今回初めてストックを取り出して長さを調整する。片手でストックを操り、もう一方の手でロープをつかんでバランスをとる。ロープに体重を掛けないように、そろりそろりと岩まで下りた。風景が輝いて見える。
腰を下ろして岩を乗り越え、ふたたび立ち上がって下りる。顔が谷側に向いてるので高度感がすごい。ロープが左右に移動できるので、足場を確保できる場所まで横移動しながら下りると問題ない。ただし、ロープには絶対に体重を掛けず、足で降りることに徹すること。無事に下り立って上を振り返ってみた。かなりのものである。
これで一段落と思っていたら、また岩場がある。ここにはロープがない。時刻はちょうど17時で、深呼吸しながら岩場を観察する。こんなときは、生えている小さな松に感謝だ。岩の膨らみをホールドし、松の枝に手を添えて下る。小枝がバランスを支えてくれる。トレッキングシューズの安定性能をテストしているような岩場だ。やがて「中山最高峰まで2時間」の道標。岩場が終わった。
この道標を見て「最明寺滝・阪急山本駅」の方に下りて行く。17時10分だが、山の中ではすでに光が弱くなっている。
山道を速歩で進み九十九折りの階段をテンポよく下りて行く。かなり迫力のある岩場だったが、無事に下り立つと面白かった、楽しかったと思いながら歩いている。
最明寺・辰巳橋に着いて進路確認に手間通り、いったん門をくぐってから引き返し、ふたたび左手の渓流に沿って上がって行く。
注連縄を張った岩があり、その奥に最明寺滝がある。
落差は10mばかりだが、美しい静かな滝だ。その横には不動明王が祀られている。
短時間で引き返し、辰巳橋を渡って大聖不動尊の門をくぐる。
最明寺川に沿った歩きやすい道を小走りに進み、最明寺川をまたぐ。
宝教寺に出て、やがて静かな山本の住宅街を行く。
最明寺の滝から20分、阪急山本駅に無事到着した。ここから宝塚駅を経由して往路を三宮まで帰る。三宮では串揚げの店に立ち寄り、ゆっくりとビールで空腹を満たす。