名 称

さいしょうがみね

所在地

大阪府箕面市

標 高

540m

山行日

2015年12月12日

天 候

曇り後晴れ

同行者

「瀬戸内登山同好会」の仲間たち

アクセス

地下鉄御堂筋線・北大阪線の千里中央駅にて阪急バス・粟生(あお)団地行きに乗り換え、外院(げいん)下車

マップ

このマップは、国土地理院の電子国土Webシステムから提供されたものを使用しています。

コース概要

外院バス停東の帝釈寺北交差点を出発 11:23勝尾寺古参道・旧参道分岐 11:44(勝尾寺古参道)
八天石蔵(軍荼利明王石蔵)12:29勝尾寺(昼食)12:41~13:30最勝ヶ峰山頂 13:58
ぎふちょう橋 14:45箕面ビジターセンター 15:02箕面大滝 15:32~15:35箕面バス停 16:15

1.外院(げいん)バス停から参道入口へ

 新大阪駅から地下鉄御堂筋線に乗り換えて千里中央駅で下車する。JR新快速が遅れて、バス接続に気を揉みながらの移動だったが、10時45分発の阪急バス粟生(あお)団地行きに予定通り乗車することができた。土曜日のこの時間帯は市立病院を経由するので、直通なら15分ほどのところをほぼ2倍かけて移動。外院バス停には11時14分に到着した。

 最勝ヶ峰の登山口は勝尾寺(かつおうじ)の本堂裏にあるので、まずは勝尾寺までの参道を歩くことになる。近くのコンビニで弁当などを買い込んで、バスの進行方向約100m先の「帝釈寺北」交差点を左折して歩き始める。スタートは11時23分だ。

 2分ほどで分岐に出合い、道標に従って左に進む。12月中旬を迎えたにもかかわらず今年はぽかぽか陽気が続き、まだ晩秋の風情が残る田園風景を行く。

 「勝尾寺 2.8km」の道標が立ち、その先には獣害防護フェンスが張り巡らされている。ゲートを開けて入って行く。

2.古参道を勝尾寺に向けて

 ゲートのロックを確認して先を急ぐ。舗装道が終わり山道らしくなってきた。左側に池2つを眺めながら進む。

 雑木に囲まれた道の両側はシダが茂っている。とつぜん右側の視界が開けて南東方向を見渡すことができる。ベンチが設置されていてひと休みするのに好い場所だ。手前には粟生団地が広がり、遠く千里方面が霞んでいる。

 すぐ先に町石(丁石)が立ち分岐が現れる。道標に左は古参道、右は旧参道と表示されている。我々は古参道を歩くことにする。よく整備された道のふかふかの落ち葉を踏んで行く。久しぶりの足の感触に、ジワリと喜びが込み上げてくる。

 しだいに高度を上げ、途中で小さな沢に架かった板橋を渡る。広場に材木が積まれてビニールシートで覆われている。時折「ナラ枯れ観察木」のプレートを縛りつけた木があったので、害虫駆除のために燻蒸処理をしているものと思われる。

 分岐から15分少々で古参道と旧参道の合流地点に着いた。尾根道をたどりながらさらに高度を上げて行く。

 またベンチがあり南東を見通せる。手前右には大阪モノレールが走り、その先に茨木市の市街地が広がっている。

 ちょっと変わった町石が立つ。急坂をひと登りするが、傷めた左足は大丈夫なようだ。

 八天石蔵(はってんいしぐら)に着いた。鎌倉時代に、勝尾寺の寺領を示す標識として8個所に設置されたものである。それぞれの石蔵には青銅の八天像を納めていたそうで、この石蔵からは軍荼利明王(ぐんだりみょうおう)が発掘されたことから軍荼利明王石蔵と呼ばれている。国の指定史跡である。

 これも史跡の「勝尾寺旧参道四町石」。その先には両側に縁石を敷いた参道が延びる。

 三町石が現れ、緩やかな階段を下りて行く。

 やがて一町石が見えて道路に下り着いた。

3.勝尾寺参拝

 車道(府道4号線)を渡ると勝尾寺である。ここまで標高差350m超を登ってきたはずだが、足にさしたる問題はなく、山行を継続できそうなのがまず嬉しい。拝観料を納めて境内に入ると素晴らしい風景が待っていた。

山の中腹には、名残の紅葉につつまれて建つ多宝塔と二階堂が美しい。

 ベンチに腰を下ろして弁当を開く。石垣に座っている小さなダルマさんと対面しながらの昼食。大きな池をまたぐ長い橋から、時おり霧のような水煙が噴出している。

 昼食を終えて移動開始だ。立派な山門をくぐって水煙のくゆる橋を渡る。

 整然と並ぶ石灯籠。窓にペアのダルマさんが見える。小さな祠はこんなに賑やかだ。

 勝尾寺は「勝運の寺」として広く信仰されている。願掛けの目なしダルマを授かって、左目を入れて祈願し、願い事が成就したら右目を描いて奉納するのである。本堂へ向かう途中の奉納棚には、こうして奉納された「勝ちダルマ」がぎっしりと並んでいる。

 本堂に参拝する。本堂前の売店にはダルマさんがずらり。さっきからあちこちに居たミニダルマは、おみくじだったことが分かった。ここから東に見える多宝塔はひときわ美しい。

 最勝ヶ峰に向けて出発だ。本堂の裏の登山口へ向かい、もみじの階段を上って行く。

4.最勝ヶ峰を越えて政ノ茶屋園地へ

 獣害防護フェンスと二重のゲートが設置されている。急なジグザグ道を登って東海自然歩道に出ると道標があり、「政の茶屋園地」方面へと進む。

 木々で展望がきかない石ころの尾根道を10分ばかり進み、急な石段を登って行く。

 山頂には桓武天皇の庶兄にあたる開成皇子(かいじょうおうじ)の墓所がある。勝尾寺の由来によると、奈良時代に開成皇子が、草庵を開いて修行中の善仲と善算という二人の僧に出会い、大般若経を書き写して寺を建立したそうである。この寺が勝尾寺の前身にあたる彌勒寺であった。墓所は宮内庁の管理下にあり柵が巡らされている。

 その先には木道が設置されているが、現在は傷みがひどくて通行禁止になっている。急坂を下りて木道の直下を進む。

 間もなく広場(道がわずかに広がっている程度だが)に出ると、ブロンズのような立体方位盤が設置されていた。しかし、周囲は木々に遮られて展望がきかないので役に立たない。

 ここから政ノ茶屋園地へとひたすら下りて行く。長い下りの連続や段差の大きい階段では、傷めた左膝が痛んでくる。
   「どーした~ん、遅いが~」、「一生懸命下りてま~す」
   「ムリしたら、いけんよ~」、「は~い」と応える。
 何度も遅れながらも、仲間たちに励まされて歩き通すことができた。

 ぎふちょう橋は傾斜した階段のある陸橋だ。国道423号をまたいでいる。橋の上から箕面川ダムの斜面が見える。

 階段を下りて、振り返ってシャッターを押す。偶然に写った赤い矢印の標石が、東海自然歩道の起点標識であることが分かったのは後のことだ。ここが、「明治の森箕面国定公園」から東京の「明治の森高尾国定公園」を結ぶ1,700kmの自然道の、西の起点だったとは感激だ。

 政ノ茶屋園地へ到着した。広い駐車場がある。小休止の後、真南に延びる道を通って箕面ビジターセンターへ。すでに15時を過ぎているので、ビジターセンターへは立ち寄らなかった。

5.箕面大滝を観て千里中央へ帰る

 箕面川の流れを見ながら箕面大滝へと歩く。最初の15分は歩道のない舗装道を歩くので、車に気をつけなければならない。

 仲間たちは縦一列の模範的な体勢で颯爽と行進中。長い山道を歩いた直後とは思えない元気な様子。やがて歩道に入ってゆったりモードにギヤチェンジ!

 周囲の木々の彩りが豊かになってきた。箕面ビジターセンターから箕面大滝までは約2.4km、残すは870mになった。

 車道脇から斜め下に大滝が見える。この角度から観るのは初めてだ。滝に向かってゆっくりと下っていく途中、ここでも名残の紅葉がありったけの美しさを披露していた。紅葉「一目千本」と呼ばれるこの坂の一帯がもっとも美しいようだ。

 坂の途中から見える、葉を落とした梢越しの大滝は風情がある。もみじの絨毯を踏みながら下りて行く。

 しばし豪快な大滝の姿と音を堪能する。疲れが引いていくのを感じる。

 暖かい雰囲気の店、洒落た店、趣のある橋や街灯などが自然と調和している。紅葉シーズンも終わりを迎えて観光客の喧噪もない。少々きつい山歩きを終えて、こんな雰囲気と景観はたまらなく心地よい。そんな余韻に浸りながら、箕面バス停から千里中央駅へと帰路につく。