1.信貴山口駅からケーブルカーで高安山駅へ
信貴山口駅の構内続きでケーブルカーが発着している。待ち時間があるので駅を出ると桜が八分咲きだ。山の上に球形の気象レーダーが見える。本来ならあのあたりまでよじ登って行くはずなのだが、今回はケーブルカーを使うので出だしは楽々登山である。
何とも愛嬌のある車両だ。信貴山の守り神である寅が描かれ、吹き出しに「ようこそ信貴山へ」とある。進行方向に延びる真っ直ぐな線路だが、すぐ近くに踏切があるようだ。
全長1.3kmの中間部分ですれ違う車両。高低差354mを7分で引き上げてくれる。
高安駅に着いた。駅から見える舗装道路は「自動車専用道路」なので、一般の人たちは移動にバスを利用することになる。駅そばの案内地図を眺めていたら、登山道の方から男性が下りてきた。挨拶を交わし、念のために高安山への道順を確認すると、山頂が極めて分かりにくいと教えてくれる。
2.高安山~高安城倉庫跡
スタート直後にトレールラン姿の青年が駆け上がっていった。路面には根っ子が露出しているが歩きやすい。
開運橋を渡る。と、「イノブタに注意」の表示。どう注意すれば良いものやら・・・・。
鉄柵でガードされた気象レーダーが現れてきた。門柱に「大阪管区気象台・高安山気象レーダー観測所」とある。傍らに「高安城跡」の石碑が立っていた。
すぐ先に左への踏み跡があり、木の陰に「高安山」と見えている。地図を見直すと高安山山頂は踏み跡の向こうに違いない。
踏み跡が細道に変わり開けてきた。向こうの木に赤テープが見えている。
赤テープの木には山頂表示の札がかかる。そして三角点標石が4個の石に囲まれて鎮座していた。
もとの位置までもどって進んで行くと三差路に出た。次の目標地点の高安城倉庫址へと進む。
200mほどで信貴生駒スカイラインと交差するので横断する。
500mばかり進むと「高安城倉庫址」の道標があり、左折して100mほど入ると石碑が立っていた。石碑の裏には昭和53年4月2日の日付で「集まった、探した、見つけた」と刻まれている。
倉庫の礎石の一つに腰を下ろして、北方向の風景を眺めながら昼食をとる。信貴山は伊丹空港への航路上に位置するようで、大型ジェット機が頻繁に通過する。
3.信貴山山頂(信貴山城跡・空鉢護法堂)へ
高安城倉庫址からもとの道にもどって進むと「信貴山朝護孫子寺」への道標があり、その先の小高い場所にベンチがある。
高安城倉庫址から15分足らずで三差路に出る。「弁財天の滝を経て信貴山門前」と「信貴山朝護孫子寺」への分岐である。弁財天の滝をやり過ごして起伏を乗り越えて行く。
コンクリートの急坂に差しかかると「汗かき毘沙門さん・信貴山奥之院」の標識。
ひび割れたコンクリート道を登り詰めると「信貴山城」の幟がはためいている。そこを右へ回り込むと信貴山城址である。
引き返して扁額に「空鉢護法」とある鳥居をくぐり、連なる赤鳥居の下を通り抜ける。
空鉢護法堂に着いた。ここが信貴山の山頂である。境内からの絶景にしばし時を忘れる。手前には奈良盆地、その向こうに二上山、葛城山、金剛山が重なり連なっている。
次から次へと絶え間なく参拝者が訪れる。お堂を取り巻いていくつもの社祠が建ち並ぶ。
4.鳥居と階段の道を朝護孫子寺へ
14時を過ぎたので朝護孫子寺に向けて下山を始める。九十九折りの階段が続き、数え切れないほどの鳥居が参道を飾る。
階段が終わったところに、空鉢護法堂参拝者のために杖が準備されていた。
ゆるやかな坂の鳥居を抜けると美しい多宝塔が現れる。
写真左は水屋。空鉢護法堂にお水を御供えするためのもので、備え付けのポットにここの水を入れて持参する。
写真右は経蔵堂である。修復中のため閉まっていた。
毘沙門天を祀る本堂に参拝する。舞台造りになっていて大和平野を一望することができる。参拝時に読経が行われており、原始山岳信仰を連想させる荒々しいトーンに驚き、かつ感銘を受ける。後日、これが大般若祈祷であることを知った。本堂はあまりに大きくて舞台からではカメラに収まりきらない。
境内から遠くに見える美しい三重の塔は玉蔵院。ズームインすると大地蔵尊と融通堂が見えてきた。
再び水屋のそばを通りかかると大勢のハイカーがいた。「毘沙門天王」の幟が林立する参道を、 阿弥陀如来・不動明王・三宝荒神が祀られた三宝荒神堂に向かう。
成福院(じょうふくいん)の三福神堂(さんぷくじんどう)に差しかかると、おもしろい表情の狛虎が「ようおまいり」。 桜を背景に石灯籠の並ぶ階段を降りる。
同じ成福院の融通殿の前に立つ。そこからしばらく下りて、大きなカヤの木のあたりから振り返った融通殿と多宝塔の姿。
開運橋へと進む途中に2匹の寅と大寅がいる。大寅は「世界一福寅」とも呼ばれるようだ。
大寅の横から振り返った本堂にズームでせまる。やっと本堂をカメラに収めることができた。そして、開運橋までやって来た。
仁王門を通り、千体地蔵の前を信貴山東に向かう。先ほど水屋のそばにいたハイカーたちが前を歩いている。
5.遊歩道を生駒駅へ向かう
おおぜいのハイカーたちといっしょに歩くことになった。信貴山下バス停からバスに乗る様子なので、ここで別れることになる。
信貴山ケーブルの廃線跡地の遊歩道を歩くために、バス停東の細道に入る。遊歩道になったとたん、「イノシシが出没しているのでご注意ください」の表示に出くわす。
桜がきれいだ。コンクリートレンガを敷き詰めた路面や地面が露出した部分とともに、枕木がそのまま残っているところもある。
花や草木を見ながら700mの遊歩道を歩いて行く。
突き当たりの階段を上がると車道に出た。向かいは奈良県立西和清陵高校である。
かなり急で真っ直ぐな坂を下って行く。時折りすれちがう買い物袋の主婦は息切れしそうな表情だ。遠くに白い点のように見えていた信貴山下駅がしだいに近くなってくる。