1.余呉駅~登山口
余呉駅は、プラットフォームの長さに比べて駅舎がコンパクトである。駅の正面を真っ直ぐに進むと、湖北サイクルロードの第7コース「ロマンあふれる天女伝説のふるさとをめぐる」である。
突き当たりの県道33号を東に進むと、北に雪をいただいた山が見える。横山岳だろうか?
羽衣橋を渡って右折し、「賤ヶ岳岩崎山登り口」の方へ向かう。
余呉湖畔に出てきた。
岩崎山登山口は余呉湖荘とは反対の方角にあるはずなので、余呉湖観光館の手前を逆方向の道に進む。やがて上り坂があり登り始める。
快調に登って行くが、大きなコンクリートの構造物で行き止まりになる。周辺を探索したが道はなく、引き返すことに・・・・。
坂を下りてさらに東へ進むが登り口の手がかりをつかめず、もういちど羽衣橋まで戻り、「賤ヶ岳観音堂登り口」の方へと進んでみる。向こうに黄色い道標があるのを確認すると「賤ヶ岳江土登り口」とある。矢印の方へ進むと「賤ヶ岳登山口」の表示が見えてきた。道標の表示が微妙に違うのだが、どうやらここが登山口に違いないようだ。かなり手間取ってしまった。
2.岩崎山~大岩山~木之本分岐
山道は思ったより幅が広い。大滝山へ1.0kmの道標があり、予定のルートに乗っていることを確信する。
しばらく進むと「余呉湖」への道標が立つ。最初の道標にあった「賤ヶ岳岩崎山登り口」は、余呉湖を500mばかり南下して岩崎山と大岩山の中間地点へ向かうルートの登山口であり、それを進めばこの地点に上がってくることがわかる。岩崎山と大岩山の境界をどう認識するかで解釈が変わるため、土地勘がない者に「岩崎山登り口」の表示は紛らわしい。
賤ヶ岳まで2.8km地点のカーブを行くと尾根道歩きになる。気持ちがいい平坦な道が続いている。
「中川清秀主従の墓」の道標に従うと、上り坂の脇に「青嵐大岩山」の石碑が立つ。
秀吉に味方してここに砦を築いた中川清秀が、奇襲にあって全滅した悲惨な歴史。今、その墓の前に立っている。
大岩山一帯は大掛かりな伐採作業が行われている。伐採を完了した幹は、それが明瞭にわかるようにブルーのビニールテープが巻かれている。
次は「首洗いの池」だ。山道左の斜面を池まで下りてのぞき込んでみる。苔むした岩や落ち葉と対照的に、清水が湛えられていた。
尾根道を進んで、秀吉が最初に敗退したとされる「猿が馬場」を通過。そして木之本への分岐に着いた。
3.賤ヶ岳山頂へ
木之本分岐から賤ヶ岳までは約2km。伐採を終えたすがすがしい尾根を行き、一之宮橋への分岐を通過する。山頂まで残すは900mになった。
一之宮分岐からの標高差はわずかに70m。山頂まであとわずかになったところに「熊出没注意」の標識。
山頂が見えてきた。そしてついに到着だ。
山頂には立派なトイレが設置されている。が、ドアに立入禁止の板が貼られて使用できない。何の断り書きもなくこの状態、立派なトイレが泣くのでは?
それはさておき、まずは三角点を確認してタッチ!
続いて、地図そっくりの余呉湖の形にすなおに感動する。遠く雪を頂いた上谷山にズームイン!左手前は七々頭ヶ岳(ななずがだけ)。
南東には田園風景が広がり、はるか向こうに伊吹山、その右手前に小谷山の姿。南には琵琶湖に寄り添うように山本山が見える。
琵琶湖はとてつもなく広い。むかし、近江今津から長浜までの移動途中に立ち寄った竹生島が豆粒のようだ。懐かしさにズームイン!
羽柴秀吉と柴田勝家が、本能寺で倒れた織田信長の後継者の座をかけた賤ヶ岳の戦い。山頂には合戦の碑や武将像が立つ。「七本槍」は実は語呂合わせで、もっと多数の若手武将が武功をあげたとされている。湖が血潮で紅く染まったと語り継がれているのが物凄い。
山頂の休憩所。近くにリフト乗り場があり、約6分で近江鉄道バス・大音バス停(木之本側)に行き来できる。4月中旬から11月までの季節運行で、毎日運行とは限らないので確認が必要である。
4.飯浦切通し~旧国民宿舎余呉湖荘
15時が近づき下山を始める。余呉湖まで1.5kmで路面は良好だ。
すぐに飯浦・余呉湖分岐に到着した。飯浦切通しと呼ばれる峠である。ここで進行方向の決定に手間取り5分のタイムロスが発生する。
歩きやすい道を15分ほどで余呉湖に下りてきた。右に回り込むと、現在は営業していない国民宿舎余呉湖荘があった。
5.目玉石~余呉湖ビジターセンター~余呉駅
登山口のすぐ先から野外活動センターが整備されている。
このあたりには、賤ヶ岳合戦で血のついた槍を洗って戦ったといわれる「槍洗いの池」や、伏兵たちの隠れ場になったという「新羅崎の森壕」などの解説板が立っている。そんな血なまぐさい話を余所に、湖北には美しい山々の姿。
その昔、干ばつに苦しむ民を救おうと入水し、蛇に化身して雨を降らせた菊石娘が、世話になった乳母に疫病の薬として自分の目玉を投げ与えたという伝説がある。目玉が落ちた石には跡がのこり、それが「蛇の目玉石」として祀られている。
平坦な湖岸の道なのだが、思ったほど歩きが捗らず時間が気にかかる。
湖の北端に近づくと余呉湖ビジターセンターが見えてきた。桟橋に釣り人が並んでいる。シーズンの終わりに近づいたワカサギ釣りを楽しんでいるのだろう。
復路の列車の時間がせまってきてコースをショートカットする。羽衣掛の柳は畑中の道から望遠で撮影する。
駅へ向かって小走りに急ぐ。余呉駅には列車が出る5分前に帰着した。