1.近鉄名張駅~登山口
岡山駅から新幹線で新大阪に出て、大阪駅までもどって外回り環状線で鶴橋へ。鶴橋駅では「秋の関西1デイパス」を購入して近鉄で名張駅に到着した。駅に隣接した三重交通のバス乗り場にはすでに大勢の人たちが並んでいる。
平日ながらバスは満員状態。立っている人には気の毒だが、窓際に座れたことで道中の素晴らしい風景を楽しむことができた。
季節運行の曽爾高原行きバスを利用できたので、名張駅から50分ほどで曽根高原バス停に到着。シーズンオフの太良路バス停止めにくらべると、40分ばかり時間をかせぐことができた。きれいなトイレが整備されており、ここで準備を整えてスタートする。
2.亀山峠へ向けて
当初はお亀池の南側から回り込んで歩く予定だったが、トイレの左側に「国立曽爾青少年自然の家歩行路」の道標があり、みんなそちらへ上がって行く。お亀池東端で予定経路と合流することがわかったので、一行の後に続く。
舗装道路の坂が階段にかわり、やがて階段を登りきると車道に出る。青少年自然の家まで続いているこの道を進んで行く。
正面に亀山峠が見える。右側には一面のススキ台地が広がっている。スタートして約10分で青少年自然の家に差しかかる。
お亀池までは道の右手にススキが茂る。風で銀色に輝くカーテンが揺れているようだ。
ベンチが設置された広場を通り過ぎて、お亀池東端の登山口にやって来た。ここから倶留尊山山頂までは2.0kmとある。曽爾高原バス停からここまでが1.6kmなので、それよりも少し長い程度の距離なのだが高低差が大違いなので比較はできない。
まずはゆるやかな木段から始まり、3分の1ばかり登ったところから折り返し気味に長~い木段が伸びている。
ふたたび切り返して登り着くと亀山峠である。晴天の昼前なのに、天気予報で調べていたとおり風が強い。そのせいか、亀山峠から倶留尊山へ向かう人はほとんどいない。何度も帽子が飛ばされそうになり、フードを被って移動を開始する。
亀山峠からは曽爾高原が俯瞰できる。倶留尊山山頂まで1.5km、その手前の二本ボソまではわずか800mだが・・・・。
3.展望広場~二本ボソ
強風にさらされて切り立った尾根道を登らなければならない。風は谷側から吹きつけてきて姿勢の維持に注意しなければならないが、反対側が林になっているので不安はない。ゴツゴツした岩場を慎重に歩く。
尾根を登り詰めると標高900mの展望広場だ。このあたりにもススキが繁茂している。
亀山峠からの道が見える。峠の向こうに盛り上がっているのが亀山(標高849m)。その向こうには右奥に古光山(こごやま:960m)、その手前に後古光山(あとこごやま:892m)のゆったりとした姿。
風をこらえながら景色に見入っていると、青年がやってきて挨拶して通り過ぎた。山頂までに出会ったのは彼一人だった。
木の根と石ころの道が続くけれど、木々のおかげで風のシェルターができてとても歩きやすい。森林浴をしながら快適に進む。
小屋が見えてきた。ここには入山料徴収所があり500円を納める。
小屋のむこうには道沿いにベンチがあり、ここから東側には三重県の山々が美しい。
ベンチの先が二本ボソ。昔、山上に二本のホウソの木があったことからこのように呼ばれるようになったとか。東側の「イワシの口」は切り立った絶壁。北側にはこれから登る倶留尊山が見えている。
4.V字の急坂を経て山頂へ
倶留尊山へは、ここからいったんコル(鞍部)に下りて急坂を登り返す。
出発しようとしていたら番小屋のご婦人が出てきて、かならずゆっくり気をつけて下りるようにと声がかかる。とくに、昨夜の雪で岩が濡れて滑りやすくなっているのでと念押ししてくれる。
たしかに急坂が続いている。ロープが設置された場所もあり、足を降ろす位置の確認に手間取ってなかなか進めない。
ようやくコルに着いたと思ったら、こんどは急な岩場の登りが続く。ここにもロープが設置されていて、復路にこれを下りるときのことを考えながら登って行く。
人の気配で見上げると、展望広場で出会った彼が下りてくる。「もうすぐそこが頂上で、頂上には何人かいますよ」と聞いていっきに元気が出た。
ついに山頂に着く。予定よりかなり遅れての到着だ。先客は若いカップルとご婦人二人。ご婦人の二人組みは歩きなれた感じで、このあたりの山は知り尽くしているようだ。
あちこちに昨夜の雪が残っていて、ベンチの上に可愛い雪だるまもあった。
まずは腹ごしらえ。ここで愛妻弁当を広げ、ポットの熱いお茶を飲みながらランチタイム。
苦労しての到着だったが、山頂の素晴らしい風景は疲れを吹き飛ばしてくれた。山登りはこんな風景で癒される。少しズームを効かせながら、ひとしきりシャッターを切ってパノラマに編集してみた。
〔西方向〕
〔南西方向〕
見えるがままの二本ボソ方向と、ズームで近づいた曽爾村の集落。
5.登山口へ向けて下山
風景写真に夢中になっているうちに先客は去り、続いてカップルが3組、若い女性がひとりやってきた。やはり人気のある山だと感心する。
心配した急坂の下りだったが、往路でじっくり地形を見てきたのが幸いして、ロープや木々の力を借りて比較的楽に下りることができた。写真は途中にあった柱状節理の岩とそれに続く道。火山形態の山の特徴である。
二本ボソに戻ってきたら、山頂であったご婦人二人連れがくつろいでいる。もういちど二本ボソ頂上と倶留尊山をデジカメに収める。
ご婦人方が周囲の山を案内してくれる。写真左の中央の尖ったのが尼ヶ岳、その右手前は大洞山(おおぼらやま)。そして右側写真の左上には、三重県青山高原のウィンドファームの発電用風車群が連なっている。
展望広場に戻ったころ、風はかなり弱くなっており亀山峠へいっきに下りて行く。下りの木段は足が軽い。
お亀池東の広場から青少年自然の家までは、ススキの風景に囲まれた中を戻り、コシアブラの林を下りる。
そして出発地点の曽爾高原バス停に帰着した。
6.ファームガーデン~曽爾高原ファームガーデンバス停
曽爾高原バス停で小休止した後、ファームガーデンへと下りる。しばらく車道を行くと東海道自然歩道があり、20分ほどでファームガーデンが見えてくる。
ファームガーデンには土産物店やレストラン、それに隣接して「お亀の湯」がある。時間の都合で、楽しみにしていた「お亀の湯」はパス。休憩所で小休止のあと、道路を挟んだ屋台風のお店で草餅をゲット。「日持ちがしないので今日食べられるだけ買ってください」と断りつきの販売だけあって、風味の良いヨモギ餅は最高だった。
少し離れた曽爾高原ファームガーデンバス停に移動すると、倶留尊山で会った青年も待っていた。長い待ち行列で座れない人がでるのではと思っていたが、着いたバスには全員座れて空席無し。みんないい顔をしての帰路となった。