1.登山口を探す
神戸市営地下鉄で谷上駅に到着する。地下鉄とは言え、手前から路線が地上に出た地上駅舎である。駅前を東へ向かう。
昨日に続いて今日も晴天だ。これで山の水はけも進んでいるだろう。橋の手前を右折する。
阪神高速の下を通り抜けて道なりに進む。
上り坂を直進すると、やがて左へカーブして下り坂に変わる。その手前(写真右の家の手前)を右折する。
突き当たりまで進むと階段があり、近寄ると「ハイキング道」のプレートが立っている。
この道へ入り込んでいいだろうかと迷い、近くにいた男性に尋ねると親切に道案内してくださった。「ここは分かりにくいですから」と案内された登山口は、階段を上って左へ進む。どうやら、先のプレートの位置からつながっているようだ(未確認ながら)。
2.炭ヶ谷から獺(かわうそ)池へ
すぐ先を二人連れが歩いている。お孫さんとクワガタムシの巣を偵察に出かけているとのこと。おや、オカトラノオだ。
「炭ヶ谷・かわうそ池・シェール道」の道標の先は沢のような道。
舗装道を横切って阪神高速の下をくぐる。高速道の手前に先と同じ内容の古い道標が立っている。
山道に入ると左側が川になっている。すぐ先に砂防ダムが現れて、通水口から少量の水が流れ落ちている。
ダムの脇の階段を登って細い道を進む。
擬木の落下防止柵の下は池だ。沢らしい所を横切るが水は涸れている。
「炭ヶ谷道」の道標に出合うと、その先にはこんなに小さなガクアジサイ。
日陰で薄暗い道をひたすら登る。崩落箇所がありトラロープが張られている。
つづら折りの急登が続く。やがてこんな道標が現れた。
その先に炭焼き窯の跡がある。これが炭ヶ谷の由来だろう。見つけたのは一基だけで、窯の部分に寄ってみた。
傾斜が緩くなり次の道標に出合う。上部に現在位置を示す「119番通報プレート」が付いているので、安心して歩くことができる。
道が川になってきた。水量は少ないが足場にはゴロ石。新たな道標を眺めながら滑らないように前進する。
V字谷の始まりだ。水が流れていて一帯がぬかるんでいる。注意深く進んだが靴が泥だらけになった。
水は減ったがゴロ石や木切れが堆積している。やがて階段が現れて、ようやくぬかるみとV字谷から脱出だ。
半分が木道になっている所を通り抜けると傾斜が緩く明るい道。ついに炭ヶ谷道を通り抜けたようだ。
双子山・烏帽子分岐に到着した。ここはパスして直進する。
すぐに「石楠花山/かわうそ池」分岐の道標がある。時間に余裕があるので「かわうそ池」へ向かうことに。
県道16号(明石神戸宝塚線)へ出て右(南)に進む。
少し歩くと灘区と北区の境界を通過する。こんな所にササユリが咲いていた。
道路の左側が切れ込んでいて道標が立ち、「シェール道 0.7km・徳川道 1.5km」とある。
獺(かわうそ)池に着いた。今やカワウソは水族館などでしか見ることができないが、かつてここにはいたのだろうか。淵に沿って進むと「穂高湖を経て杣谷峠/桜谷を経て摩耶山」の道標。ここから「まむし谷」とシェール道を通り、桜谷を経由して摩耶山へ行けるのだ。ちょっと踏み込んでみたい気がするけれど、石楠花山へ戻らなければならない。
3.石楠花山山頂・天狗岩から展望台へ
石楠花山・かわうそ池分岐の道標まで引き返して山頂と天狗岩を目指す。
小さなヘビイチゴがびっしりと道ばたを埋めている。これは旨くないので視線を落とすだけでどんどん進む。
ところが山頂も天狗岩も標識がないので、その先の展望台まで来てしまった。ここには後で来ることにして、その前に山頂を踏みたいので、あたりを注意深く眺めながら元の方向へと引き返す。そして、わずかに踏み跡がある所を発見。
踏み込んでみるがとても山頂への道とは思えない。ほとんど通る人がいないのだろう。それでも、ここしかないだろうと前進する。
これが大当たりで二等三角点と対面。閉鎖空間で眺望はなく、三角点にタッチしてすぐに引き上げる。
山頂への踏み跡と展望台の真ん中あたりに細い進入路があり、「上谷上」と書いた赤黒の杭がある。
これが天狗岩への道と判断して踏み込むと、何と、コアジサイが待っていた。もうほとんど香りはなかったが、今回で一番美しいコアジサイだった。まるで空中を漂っているようだ。
起伏のある道を200mほど進むと天狗岩が見えてきた。
天狗岩には2つのピークがある。左(南側)のピークからは遠く淡路島が霞んでいる。南方面にズームインすると菊水山から鍋蓋山が横たわる。
右にはこんもりと丸山、正面には鈴蘭台の大規模住宅団地が広がる大パノラマだ。
右(北側)ピークからは、スタート地点の谷上方面が見えている。ズームで寄ると、谷上駅は山に隠れているが、隣接した小学校のグラウンドが見える。
しばらく眺望を愉しんでの帰り際、岩場にたくさんの白い花が目にとまる。フジイバラ(富士薔薇)のようだ。再び展望台を目指し、雑草をかき分けて近づくと「黄蓮谷 0.8km」の道標と出合う。
一階にはベンチがあり、ここで昼食の弁当を開く。螺旋階段の上は展望台になっている。
雑木に遮られて視野は狭いが、ズームで寄ると菊水山と鍋蓋山が揃って見える。
ゆっくり過ごして、コアジサイが待つ黄蓮谷へ向かう。
4.黄蓮谷から森林植物園へ
展望台から急坂を下る。つづら折りに続く急傾斜の細道では何度も転倒しそうになり、送電鉄塔まで下りてホッとする。
その先では大輪のササユリ、そしてこれは毒きのこのアカタケかな?
急な階段を下りていたら足元にニガナの花。
県道16号(明石神戸宝塚線)へ下り立って横切ると「黄蓮谷入口」の道標。「黄蓮谷・徳川道出合 0.8km・森林植物園 2.0km」とある。これが予定のルートだ。
緩やかな尾根筋をゆっくりと下って行く。
熟れたクサイチゴを口に放り込む、甘くて美味い! 左に階段が現れた。
そのまま直進するが、やがて馬の背のようになり行き詰まる。
5分ばかりタイムロスして階段へ戻り、細い急階段をそろりと下りる。
黄蓮谷の谷底に下り着いてまずは渡渉。オオッ! あたり一面にコアジサイが! しかし多くは花が散り、淡い青色を残すものは少ない。ここが今回の目的地で、足を止めて観察し何度も深呼吸する。オートフォーカスまかせでピンぼけになったものも記録に留めておこう。
コアジサイに別れを告げて、また沢を渡る。
丸太の橋で沢を渡るとアジサイはお終い。徳川道が近くなった。
炭ヶ谷道では十人ばかりと挨拶を交わしたが、黄蓮谷を歩く人は少ないようで誰にも会わなかった。ところが徳川道と合流したとたんに、グループや単独行動のハイカーなど何人にも出会う。多くは「かわうそ池」からシェール道を通って来たのだろう。
徳川道は歩きやすい道だ。「布引」と書かれた古い道標がある。
生田川に沿って木道を歩いて森林植物園が近づくと、「増水時に冠水の恐れあり!」の立て札があり「増水時 う回路」の道標が設置されている。
そばの木橋を渡って右へ進むと「森林植物園/トエンティクロス」への分岐道標。
「徳川道の飛石渡し」の解説板がある。要は、川に大きな石を置き並べてその上を渡っていたということである。ここ生田川にも同様の石が置かれているが、水量が多く流れが速い。
徳川道はここで終わり。安全を優先して先の増水時迂回路まで戻り、森林植物園の東門に到着する。
森林公園の中央部まではまだかなり距離があるので、ここで小休止する。
5.森林植物園を散策して帰途に
植物園へ入っても渡渉あり急坂ありで、いったん片付けたストックを取り出す。
貯水池の大きな砂防堰堤から溢れる水が、三本滝になって音を立てている。急坂を登って貯水池の上を巻いて進む。
橋を渡ってさらに階段を登って行く。
東門料金所に着いた。東門からの登りは結構キツくて足が攣りそうになっている。
長谷池の周辺には大勢の人たちが散策している。池の周辺にはまだツツジが咲いていて、コバノミツバツツジも花をつけている。
アジサイ園の花たち
あじさい園はかなり広くてすべてを観賞することはできなかった。急ぎ足で撮影できたものだけを以下に掲げておく。
(シチダンカ x 2)
(ヤマアジサイ、ハクチョウ、ガクアジサイ)
(ベニガク、ミヤマムラサキ、アマチャ)
(クロヒメアジサイ、タノジヤマアジサイ、キヨスミサワアジサイ)
(ツルギノマイ、ミヤマヤエムラサキ、ロッコウヤエテマリ)
バスの時間をにらんで今回はここまで。あじさい坂を上って正門へ向かう。三宮バスターミナルへのバスは土日曜・祝日しか運行してないが、あじさいイベントの時季には特別便がある。バス待ちの間、ベンチに腰を下ろして今日の行程を振り返る。ところで、石楠花山にシャクナゲは無かったような・・・?