名 称

よしのやま(ちごまつじぞうどう)

所在地

奈良県吉野郡吉野町

標 高

520m

山行日

2014年4月7日

天 候

晴れ

同行者

相棒と

アクセス

近鉄南大阪線・吉野駅下車

マップ

〔吉野駅~稚児松地蔵堂〕

〔稚児松地蔵堂~宮滝〕

このマップは、国土地理院の電子国土Webシステムから提供されたものを使用しています。

コース概要

吉野駅からスタート 12:01七曲坂 12:14途中で昼食 12:25~12:53金峯山寺蔵王堂 13:10~13:23
吉水神社 13:40~13:46如意輪寺 14:21~14:38稚児松地蔵堂 15:06案内板と祠 15:50
高滝 16:02喜佐谷林道出合 16:09桜木神社 16:29宮滝バス停 16:44大和上市駅着 16:59

 先日オープンした「あべのハルカス」で昼食弁当を買い求め、阿部野橋駅から近鉄特急で吉野駅へ向かう。運転手席後部のオープンスペースに座り込んで、里と花の風景に見とれているうちに吉野駅に到着した。

1.吉野駅~金峯山寺蔵王堂

 駅前には屋台が並び大勢の花見客があふれる。駅の軒下には「祝・世界遺産登録十周年・南無蔵王大権現」の提灯が吊されている。

 定員28人、日本最古の吉野ロープウェイが下りてきた。これに乗れば千本口間の349mを3分で引き上げてくれるが、乗り場には延々と続く待ち行列。右側の広い空間をテクテク前進する。

 長い石段を登りつくと幣掛神社(しでかけじんじゃ)がある。

 ここは大峰山の行場のひとつだそうで、脇に役行者を祀る幣掛(しでかけ)行者堂がある。

 ゆるやかな道を七曲坂へと上がって行く。

 道辺に可憐なスミレが咲き、下千本のソメイヨシノは満開だ。正午をかなり過ぎているのでここでお弁当を広げることにした。

 朱が鮮やかな大橋を渡って飲食店や土産物店が並ぶ参道を行く。

 金峯山寺の総門「黒門」を通って上り坂を行くと、銅鳥居(かねのとりい)があり、その先に仁王門がある。仁王門には「平成31年大修理着工予定」の幕が張り出されている。まだ平成26年なのだが、何やら足場が組まれてものものしい雰囲気だ。

 金峯山寺蔵王堂に参拝する。

 脳天大神(のうてんおおかみ)の案内標識の前で相棒の写真を撮っていたら、托鉢修行中の山伏さんがやって来た。

 金峯山寺境内から見える三重塔の吉野朝宮跡。450段の階段を往復しなければならないので、ズームの写真撮影だけにとどめ、菅原道真を祀る威徳天満宮に参拝する。

2.吉水神社~如意輪寺

 蔵王堂から中千本側へ下りる。通りは大変なにぎわいだ。

 役行者の開基と伝えられる東南院に立ち寄って、美しい多宝塔の姿をカメラに収める。

 吉水神社への鳥居をくぐって、少し東へ進んだあたりで振り返った蔵王堂は、桜の花に包まれていた。

 吉水神社は拝殿に人の列、国の重要文化財になっている書院も待ち行列で、遠くはなれて参拝する。境内から上千本方向の風景は素晴らしい。

 来た道を「吉水院」の石碑まで引き返し、下りの道に入り込む。その前に、道端で休憩していたご老人に如意輪寺への道を確認したところ、「そこを下っていくとすぐ先で温泉の元湯に出る」との答えで、安心してスタート。

 確かに温泉元湯に下りられることはわかるが、ご老人の「すぐ先」は次元を超えているようだ。九十九折りの下りが延々と続く。

 しばらく下りると煙るような桜風景が現れた。美しさに目を奪われながら進んでいると、木の間から遥か下を往く人が見える。

 ようやく吉野温泉元湯に下り立ち、幽玄な桜を観ながら如意輪寺へと向かう。

 五郎兵衛茶屋からの分岐になり、如意輪寺への石段を上がって行く。

 如意輪寺に到着。さっそく如意輪堂に参拝する。

 「役の行者堂」があり修験道の祖である役行者像が祀られている。そのお姿をちょうだいする。

 宝物殿は外から眺めただけで入らなかった。中千本公園近道側の門を出て上千本側へ向かう。

3.稚児松地蔵堂まで登る

 三差路を「稚児松地蔵」へ進む。急坂が続き時折り出会うほか人通りはほとんどない。

 桜の吉野山を眺望できる最後のポイント。遠く桜花に浮かぶ竹林院をふり返り、金峯山寺にズームで寄ってみた。

 上千本バス停と稚児松地蔵への分岐点になり、上千本を後にすると「宮滝・水分神社」の道標が立っている。

 分岐から5分ほどで稚児松地蔵に到着。簡素なお堂に小さな祠が祀られていた。このあたりの標高は520mで、今回のコースの最高地点である。

4.「吉野山宮滝万葉の道」を喜佐谷林道出合まで下る

 道標が「宮滝・桜木神社」に変わり自然石を敷き詰めた階段を降りる。ここから宮滝までは「吉野山宮滝万葉の道」と呼ばれる近畿自然歩道を歩くことになる。

 深閑として人の気配はまったくない。きちんと枝打ちされた杉木立の道を快適に歩く。

 杉木立に緑のハンモックのようなものが見えたので、ズームで寄ってみる。やがて「吉野森林セラピー」の標識に出会う。このあたりは森林セラピーの基地になっているようだ。

 2つめの橋を渡ったころから足場が悪くなってきた。急な岩場の坂には鎖が張られており、注意深く下りて行く。

 このあたりから渓流のせせらぎが聞こえるようになる。さわやかな音に耳を傾けながら、飛び石を滑らないように渡って行く。小さな滝がアクセントを加える。

 どんどん歩いて喜佐谷まで下りてきた。せせらぎの源は『万葉集』にも謳われた象(きさ)の小川である。

 川辺の広場には小さな祠があり地蔵さんが祀られている。毎年8月24日には地蔵盆の例祭が行われるそうである。

 少し下りたところに「高滝(滝壺)」の標識があり、左手の谷側へ下りてみる。静寂な谷に落ちる高滝は美しい。しかも大きな滝の下に二段の滝が連なっているのがいい。
 この滝のことを、本居宣長が菅笠日記に「いとおもしろし」と書きとどめているそうだが、うなずける。また、葛飾北斎が描いた「和州吉野・義経馬洗の滝」は高滝であると考えられているそうだが、これはちょっとうなずきかねた。

 山道が終わって「宮滝桜木神社」の道標があり、そばに万葉歌碑が立っている。ここで象の小川は喜佐谷川と合流する。路面は舗装に変わり、喜佐谷集落の民家が見えてきた。

5.桜木神社~宮滝バス停

 はっとするようなソメイヨシノが咲いている。

 バスの時刻を気にしながら舗装道を急いでいると、ツクシにブレーキをかけられた。

 桜木神社にはぜひ立ち寄りたかったのだが時間がない。美しい社殿に向かって道端から参拝する。

 吉野川が見えてきた。象の小川はここで吉野川へとそそぎ込む。

 吉野川に横たわる大岩や奇岩を眺めながら、足早に柴橋を渡る。

 このあと、宮滝バス停に着くと同時にバスがやって来て、近鉄大和上市駅には予定通り17時前に到着できた。
 にぎやかで華やかな桜の参道に始まり、歴史の重みを感じる寺社を訪れ、そして自然の情緒あふれる小川沿いの山道を巡る。9kmばかりの山歩きだったが、長旅を終えたような充実感につつまれる。