名 称

はっとうじやま(はちとうじやま)

所在地

岡山県備前市吉永町

標 高

539m  (八塔寺ヴィラバス停との標高差:149m)

山行日

2012年5月23日

天 候

晴れ時々曇り

同行者

なし

アクセス

JR山陽本線・吉永駅、駅前から備前バスで八塔寺ヴィラ前バス停下車

マップ

このマップは、国土地理院の電子国土Webシステムから提供されたものを使用しています。

コース概要

JR吉永駅 8:41(備前バス)八塔寺ヴィラ バス停 9:13高顕寺 9:28四十三番札所 10:14
行者堂 10:18〜10:27八塔寺山頂上 10:35〜10:52行者堂 11:06飯盛山頂上 11:45
車道出合 12:02八塔寺BS 12:05民俗資料館 12:12〜12:15
レストラン喫茶「望ケ丘」12:23〜13:00(この付近で昼食)水車小屋 13:04
国際交流ヴィラ 13:13日吉神社 13:14八塔寺ヴィラ バス停 13:23〜13:37(備前バス)
JR吉永駅 14:07

1.JR吉永駅〜登山口

 JR吉永駅には8時24分に到着。駅を出ると正面の時計の左手にバス停がある。15分ばかり待つと小型の備前バスがやって来た。

 吉永駅前から終点の八塔寺ヴィラ前までは約17km。市営のコミュニティバスなので区間料金は一律200円と格安である。この時間帯は貸し切り状態であり、恐縮しながら乗車させていただいた。
 所要時間は30分ばかりだが、八塔寺が近づくとバスはどんどん高度を上げて行く。
 八塔寺ヴィラ前バス停の周辺には古民家が散在し、懐かしい里の風景が広がっている。バス停の向かいは民俗資料館で自由に見学できるが、まずは登山口の方向へと急ぐことにする。

 バス停車場の北側にある建物が国際交流ヴィラ。背後の山が八塔寺山である。左手西側に登山口への道路が延びている。

 途中を左折すると、塀で囲まれた高顕寺の寺務所。道端に焼き物の大きな蛙が鎮座していた。もとに戻り石段を上って、高顕寺本堂で山行の無事をお祈りする。

 石段を降りたところに案内板があり、その前の細道を進んで行く。
 案内板には、八塔寺が弓削道鏡によって開基され、かつては高野山のように山岳仏教が栄えていたと記されている。さらに別の案内板には登山遊歩道についての説明があり、「ゆっくり歩いて20分」と付記されているが、そんなに簡単にはいかないことが後でジワリとわかることに・・・・。

 あたりには春の花々があふれている。

 細道の先の木段を上がったところに道標がある。後で考えると、左折してすなおに「八塔寺山遊歩道」に進むべきだったのだが、「日吉神社・自然探索路」へと直進してしまう。足元に「防鹿網---八塔寺山へ登られる方は網を開閉してください」と記したプレートが見えたので、そちらへ進んでしまったのである。
 しかしこの防塵網、よく見れば網止めの支柱もろとも倒れていてこれでは役に立たない。
 9時38分、ここから登山開始だ。

2.自然探索路〜行者堂

 最初の疑似木段を上がると、右手の防鹿網の奥に「三重塔跡」の石柱と案内板が設置されていた。

 続く急階段を上がり、枝落としされたノッポ杉の林を進んで行く。

 木段が網で遮られたので、網をかいくぐって進むと神社の上に出た。これはおかしい。日吉神社の方へ進んでいるらしいことがわかって(標識通りだったのだが)、今来た道を杉林へと引き返す。

 戻る途中に西寄りに向かう踏み跡を見つけて、あとはそれをトレースしながら、道らしき部分をひたすら登って行く。
 登山口から28分、日吉神社側から引き返したロスタイムを差し引くとほぼ20分で、道標のようなものが見えてきた。

 わずかな道程をかなり長く感じてしまい、「山頂へ100m」の道標を目にしてほっとする。八塔寺山遊歩道を辿っていれば、この手前に展望所があったはずなのだが今回はショートカットだ。

 石仏が並び、花筒には新しい榊が供えられている。四十四番そして四十三番だ。

 四十三番の石仏の傍に立って南に眼をやると、この大パノラマが広がっていて釘付けになる。すぐ下には八塔寺の集落がひろがり、遠くは四国の山々まで望まれる。

 山腹の道を登って行くと、高い岩場の上にも石仏が祀られ榊が供えられている。

 行者堂が見えてきた。まっすぐに進むとさらに参道が続いているが、山頂へは行者堂の向こうを右折して登って行く。

 行者堂の傍らには二十六番と四十番のお地蔵様がある。堂の南側は岩壁で、修行に使われた鎖がかかっている。

 行者堂から南に広がる大パノラマに息を呑む。

 八塔寺盆地の左手にあるのは「ふるさと館」だろうか、広い駐車場が見えている。右手の青色屋根は、レストラン喫茶の「望ケ丘」かな。どちらもズームで寄って眺めている。

3.八塔寺山山頂〜三十番札所風景

 美しい風景に見とれて、10時27分にようやく行動を再開。行者堂の裏へと回り込んで山頂に向かう。

 まだ山ツツジが花をつけていた。険しい位置にある三十二番の石仏には、珍しくお供えがなかった。

 10時35分、山頂に到着した。木々が刈られてはいるが展望はない。山頂標識があり、二等三角点が設置されている。

 山頂から東に踏み出すとよく整備された山道があり、ここにも石仏が並んでいる。三十番のあたりから北・東側に美しい山々を望むことができる。

4.旧登山道〜飯盛山頂上

 再び行者堂へ戻り、昔の登山道との分岐点まで引き返す。ここで「手」の標識が示す方向に進路を変えて、杉林を降りて行く。

 左手に道路造成中の標識がありロープが張られていた。

 やがて「山頂へ450m」の道標、順調に降りている証だ。杉林は終わり雑木林になってきた。

 「山頂へ550m」の道標、続いて簡易給水施設の浄水場と出合う。かなり人里が近くなったようだ。

 赤茶けた岩肌の道が続き、また「手」の標識が現れたのでその方向へと進む。

 きれいな道の傍らに、可憐なツツジが出迎えてくれる。

 五十二番の石仏に会釈して道なりに進んで行くと、右側の雑木越しに池が見えている。

 やがて古いトイレがあり、「手」の標識が上りの木段を指している。その先で五十四番の不動明王に出合った。

 下るはずなのにどんどん上がって行くので変だと思っていたら、小高い岩の上に小屋が見えてきた。

 よじ登ると六十番の阿弥陀様が祀られている。そばに円形の埋込三角点があった。

 東から北に向けて展望が開けている。コンパスと地図を取り出して、現在地が479mのピークであることを知った。後で調べると、この地点は飯盛山の山頂であった。途中の小屋が何だったのかは分からない。

5.八塔寺バス停〜ふるさと村散策

 元の分岐まで戻って、木に吊された道標「八塔寺八十八 64-67番へ」の方向に進んで行く。すぐに六十五・六十六番に出合った。

 次の道標「八塔寺八十八 67-70番へ」へと進んで六十七番に出合う。

 次々に石仏を通り越して七十番になった。この石仏は実に穏やかな笑顔をたたえているのだが、刻まれた名前が判読できないのは残念。他の石仏と異なり、周辺にたくさんの石像が置かれている。

 すぐ先に車道があり、右折したら八塔寺バス停だった。12時2分に下山完了だ。計画では日吉神社へ下りるつもりだったので、かなり東へずれた位置に下り立ったことになる。

 八塔寺バス停から終点の八塔寺ヴィラ前へと緩やかな車道を歩いて行く。あちらこちらに古民家のオンパレードだ。

 今日のスタート地点に戻って民俗資料館の表庭に入ると、小高い丘に多数の石仏が整列していた。

 車道を西へ歩いて行くと大きな建家。茅葺き屋根の上にもう一段瓦の屋根が乗っている。珍しいのでアップを1枚。

 車道の突き当たりに賑やかな標識や広告板が立っている。ふ〜む、もしやレストラン喫茶の「望ケ丘」があるのではないか!?
 実はこの店、十年以上も前に末っ子の息子がここで食事をした折りに、有効期限が半永久の平日割引券をもらい、それを自分にプレゼントされた経緯がある。八塔寺に来たら必ず立ち寄ってそれを使おうと、長らく思っていたのだが、はたしてまだ営業をやっているのだろうかと心配もしていた。その店が「すぐそこ」とナビゲートされたので、駆け出したい気持ちを抑えてアプローチする。

 が、なんと「定休日」の表示。「場内散歩はお気軽に」との掲示があったので入らせていただいた。なんとも大衆的にしてメルヘンチックなお店である。残念だったなぁ。
 しかたなく、この店が見える場所にシートを広げて、持参の愛妻弁当に箸をつける。

 バス停に戻りながら、水車小屋と民家を撮影。茅葺き屋根の美しさと暖かさをしみじみと感じる。

 そして最後に、下山予定のポイントだった日吉神社へ参拝する。