1.バス駐車場から登山口まで
岡山市内から専用バスで約2時間、ウッドパーク声ケ乢の駐車場に着いた。すでに「第12回・広戸仙ふれあい登山大会」参加者がグラウンドを埋めている。
開会式があり、挨拶に続いてマムシに注意するようにとの言葉。あわせて、ドウダンツツジがこの大会を待っていたように花をつけているとの朗報が披露される。参加者のために、マップや見どころ・山城紹介・山里の伝承文化などをまとめたパンフレットが用意されていて、地元のみなさんの熱意が伝わってくる。合図と同時にグループも何も関係なく、おおぜいがいっせいに出発する。
舗装道を10分ほどで登山口に着き、長蛇の列をなして山に入る。
2.頂上へ向けて
登山口から30分もたたないうちに、柔らかに包みこむような森林と美しい花に歩みがとまる。淡いピンクの花をつけているのはウツギの一種だろうか?
ひっそりとガクウツギが白い花をつける。その先にはこぢんまりとしたヤマツツジ。
ミズキが白い花をいっぱいつけている。芽吹く時期には大量の水を吸い上げて、切った枝から滴り落ちるほど水を吸うのでミズキと呼ばれるそうである。山が元気な証でもあろう。
ふと気がつくと、もうかなり登って来たようだ。下界が霞んで見える。
ひと踏ん張りすると第一展望所に到着。登山口から40分が経過している。この大会のために事前に山道を整備したようで、マムシが出そうな草むらを心配することもなく、快適に山歩きを楽しんでいる。
次の展望所が近いので休憩をとらずに歩く。
10分少々で第二展望所に到着した。ここは滝めぐりの「ふるさとコース」への西入口にあたり、北に向けて山道が伸びている。頂上間近の第三展望所までは尾根道を直登することになるので小休止をとる。
標高850mからの眺望、日本原から奈義町方面を見下ろすことができる。第三展望所に向けて、まずは緩やかな林間道を歩んで行く。
鎖のある急坂になり、このあたりからドウダンツツジのオンパレード。最初は淡い色合いのサラサドウダンから始まる。
そしてベニドウダンツツジ。独特の紅が一面を染めている。開花して間もない初々しい美しさだが、もう少し時を経るとさぞかし艶やかになることだろう。
このウツボカズラのようなのはマムシグサである。茎の色・模様がマムシに似ているのが名前の由来らしい。これは有毒植物であり、まちがっても口に入れてはならない。その向こうでは、タニウツギが美しさを主張している。
カマツカが白い花をつけている。鎌柄(かまつか)とも書き、材質が丈夫なので鎌の柄などに使われていたらしい。牛の鼻輪にも使われ、別名をウシゴロシ(牛殺し)ともいう。
絶景のビューポイントがあるというので左手の道をたどると、絶壁の向こうに下界の風景が広がる。
断崖にピンクの花が貼りついている。可憐なイワカガミだ!!
ついに第三展望所に到着した。先着の人たちがくつろぎ、昼食をとっている。ここは一瞥しただけで通り過ぎ、先に山頂へ向かう。
第三展望所への道を左折すると爪ヶ城跡があり、その傍らに1075.5mの三等三角点がある。
さらに前進して山頂へと進む。15分少々で到着したが、狭い山頂には人が溢れかえって待ち行列ができている。登頂後はすぐさま引き返し、第三展望所付近で昼食をとる。
3.甲山を経由して下山する
南東へ向けての下山道、視界にはどっしりとした滝山と那岐山。しばらく行くとギンリョウソウに出会った。
どんな意味があるのだろうか、赤丸が小枝に吊されている。その先には、登りでも出会ったカマツカの花。
矢櫃城跡を通り過ぎて、歩きやすい林間の道を下りて行く。
やがて甲山の測量標識があり、兜神社跡に出る。
兜神社跡からは急斜面を九十九折りの道が続く。おびただしい数の石くれの傾斜を横切ると、ガクウツギとヒノキの林が広がる。
「金山林道・声ヶ乢」の道標を過ぎて甲山登山口に下りてきた。
甲山登山口からは声ヶ乢に向かう舗装道をウォーキングだ。7~800m進むとパラグライダーのランチャー台があった。
その先の東屋で小休止。しばし、ウォーキングを楽しんでいる家族連れと話し込む。やがて愛宕神社に差しかかる。ここには愛宕の滝があるが通り過ごすことに。
このあたりでも花々が目を奪う。鮮やかな黄色のニガナが咲き、名前はわからないが黄色の花束のようなのが咲いている。
その先にはガクウツギがあり、キイチゴが実をつけている。
金山林道出合を過ぎるとアザミが群生している。びっくりするような大輪のアザミが美しさを競い合う。
長い舗装道を行くと、やがて峠の茶屋が見えてくる。のどかにお茶している人たちを羨ましく眺めながら先を急ぐ。もうすぐ声ケ乢だ。
ウッドパーク声ケ乢では「ぜんざい」のサービスを受けて、まろやかな甘さに舌鼓。テントで土地の人々が販売している産品から、アマゴの塩焼きを購入。缶ビールを片手にバスに戻り、出発前に喉を潤す極上のひととき。