1.まずは雲居平へ向けて
米子自動車道の湯原ICから美作街道に降りて北上し、犬挟峠の下蒜山登山口駐車場に車を止めると、すでに10台を超える車が停車している。登山口がある東屋の方へ向かうと、遠方の山際にはまだ朝霧が漂っている。
今回は男性5名と女性4名の編成で、張り切って出発。東屋の左にある登山口に入り込んだ早々「クマ注意」の立て札だ。何組ものグループがスタートを切っているので、とりあえずは安心して歩けそうである。
最初は緩やかな道だが、すぐに急な階段に取って代わる。大きな段差が足の負担を増大させる。
この段差がどこまで続くのかと思っていると道標と出合う。「頂上まで1時間40分」とある。現在は11時ちょうどで、気合いが入る。
さらに階段を登り雑木林を抜けて行く。急坂には鎖やロープがあるが頼るほどではない。先の道標から20分足らずで三合目を通過する。
17分ほどで雑木林を抜け五合目になる。傾斜が緩やかになり、ネザサの原の向こうにピークが顔を出した。
曇りの天気予報が良い方に外れたようで青空が広がる。気温が上がり、1枚脱いで体温を調整する。ピークへのルートがしだいに明らかになってくる。
日本海側が見えてくる。ズームで寄ると風力発電のプロペラが並んでいる。
稜線歩きは最高に気分が好い。足元にはひっそりとアキノキリンソウが花をつけている。
登山口から1時間少々で雲居平に着いた。柔らかな美しい山容にうっとりと立ち尽くす。
2.下蒜山山頂に向けて
ピークが近づくと日本海側がはっきり望めるようになってきた。
足元に可憐なマツムシソウを発見。少し進むと七合目だ。
急に傾斜がきつくなってくる。振り返ると雲居平から五合目への尾根道がどっしりと横たわっている。尾根は岡山と鳥取の県境上にあり、岡山県側はササ原、鳥取県側は雑木林とそのシンメトリーが面白い。
ササ原を登って行くとやがて岩がはみ出した急坂になる。ここで2名がリタイアを宣言。ストックをたたんで腕を使ってよじ登る。
続くササ原の道も滑りやすい石ころの道。鎖やロープが張られた石塊の急坂を登りきる。それにしても、前方を行く4名の女性のタフさには脱帽です。
行き着いた先は山頂かと思いきや、九合目だった。その先にまた次のピークが現れた。
今度は山頂に間違いないと、急坂をもうひと登りする。
やっと山頂に到着した。「頂上まで1時間40分」の道標から1時間54分が経過、やや遅れての到着だ。遠く烏ヶ山と伯耆大山が聳えている。すかさずズームイン!
西から北西方向の展望に息を呑む。中蒜山と上蒜山の先には皆ヶ山、その向こうに烏ヶ山と大山、さらに三鈷峰・矢筈ヶ山・甲ヶ山が並んでいる。この好天で、ここからでなければ観ることができない絶景に見とれる。
中蒜山の左へズームで寄ると、すぐ左に三平山、さらに朝鍋鷲ケ山・毛無山・尖った金ヶ谷山が見える。こんな風景を眺めながら楽しいランチタイムとなる。
三等三角点にタッチして、最後に道標兼山頂標識をカメラに収めて下山に取りかかる。
3.往路を下山する
傾斜が緩やかなのは最初の部分だけ。すぐに沈むように下りることになる。
九合目まで下りて山頂を振り返る。いい山だった。しかし気を抜けない。ここから七合目までの石塊の急坂では、転倒や滑落しないように注意を集中しなければならない。
鎖とロープに頼り、汗びっしょりになりながらここまで下りてきた。あとは足元に気をつけながらササ原を歩いて七合目に到着。
五合目で待っていた二人と再会して小休止。息を整えて下山を再開する。
往路では必要なかった鎖とロープを頼っての下山。何度も尻餅をつきそうになり、辛うじて持ちこたえる。復路に1時間半近くかかったが、まずは全員の無事帰着にお疲れ様。