1.星山東登山口から星山山頂
岡山から中鉄バスで中国勝山駅に着き、今回はタクシーを利用して約20分、県道201号を「神庭の滝」方面に進み、その手前の「星山登山口」の標識を右折して林道を走る。駐車場先の三差路で下車して左手の坂を上がるとすぐに、美しい森ビジターセンターが見えてくる。
東登山口は美しい森ビジターセンターの前にあり、ベンチが設置されている。ここで準備を整えて、矢印に沿って進み木段を上がって行く。
少し登ると道標が立っているので「星山」の方へと右折する。よく整備された歩きやすい道である。
沢山の落葉樹が植栽されていて樹種標識が立つ。結婚・誕生・還暦などの記念植樹が多く、市民に親しまれていることがわかる。
植樹林を抜けると視界が広がり、前方に星山が姿を現す。間違えそうにもない道だが道標が立っていた。
道ばたにリンドウやアザミの花が綺麗で、何度も立ち止まってしまう。
両側がササに彩られた道を進むと分岐に出合う。直進すると前山だがここは右へ進む。
前山を左に見ながら、巻くように進むとヒノキ林の鞍部に下り着く。
鞍部には「頂上まで20分」の道標があり標高860mの表示。再び登りにかかる。
山頂が目の前に近づいて、少しずつ傾斜が急になる。傍らにはアキノキリンソウが咲いている。
八合目だ。ふり返ると輝く笹原の向こうに、通り越した前山が聳えている。
背後は笹原の高原が広がり、足元にマツムシソウが愛らしい花をつけている。
急坂を登り、大きな岩をやり過ごして進むと山頂が見えてきた。
東登山口から約50分で到着。山頂には方位盤や周辺の山名解説板が設置されている。
後方に人の気配がしてふり返ると、紫外線対策に完全防備姿の女性が近づいてきた。姫路から車でやって来て、できれば櫃ヶ山まで往復したいとの話。いかにも山歩きになれていると感じたがすでに正午が近い。明るいうちに下山するにはさほど余裕はない。白いオリンパスペンで山頂を撮影すると、とにかく急いでみますと去って行った。
ここで座り込み、コンビニで買ってきた助六をパクつく。考えてみれば、自分も下山後はコミュニティバスを利用するので、かなり時間を節約しないと間に合わなくなる心配がある。食べ残しの助六をリュックにしまって先を急ぐことにする。一等三角点にタッチして、出発!
2.扇山へ向かう
出発しようとしたら、山頂標識の向こうに伯耆大山が見えているのでシャッターを切る。歩き出すとすぐに「櫃ヶ山180分」の標識。
両側をササに覆われた快適な縦走路を行く。北に聳える大山にズームで近寄ってみる。
見晴らしの良い道が続くが、ときどきナラやブナの林、ヒノキ林をくぐって行く。
ヒノキ林の坂を下って小さな沢を渡る。
木洩れ日の林をどんどん進んで行くと、日差しが眩しい尾根道に出る。「櫃ヶ山140分:星山40分」の道標が立つ。
扇山が近くなってきた。少し進むと、扇山に続くピークと五輪山を一望することができた。
足元に可憐なツリガネニンジンが咲いている。ひと登りすると道の脇に扇山の山名標。うっかりすると見落としそうな名標である。星山から約40分での通過だ。
3.五輪山へ向かう
わずかに下るとすぐ小ピークがあり、細い尾根道が見える。
小ピークには道標があり、そこから行く手のピークと五輪山を見通せる。
北側の大パノラマ。中央からやや左に遠く大山、右に蒜山三座が並んでいる。
北側下に集落が見えてきた。カワラナデシコが一輪、ひっそりと咲いている。
次のピークが近づいてきた。ガマズミが紅く色づいている。
946mピークに着いた。美しい野菊が道の辺を飾る。
縦走ルート位置図と測量標石が立つ。カラマツ林があり、すでに落葉が進んでいるけれど黄葉の佇まいが美しい。
941mピークが近づいてきた。「櫃ヶ山100分:星山80分」の道標が立つ。
これを登りきって、941mピークのカラマツ越しに見える大山にズームイン!
ここからは縦走路を楽に歩いて五輪山に到着。扇山から1時間7分、星山から1時間48分で予定よりわずかに早い到着だ。星山山頂を出てから初めて腰を下ろして小休止をとる。
4.櫃ヶ山山頂に向けて
行く手にはどっしりとした櫃ヶ山。その向こう左には雨乞山、中央右より奧から擂鉢山と三坂山も見えている。
五輪山と櫃ヶ山の間にはもう一つピークがある。そのピークに向かって滑りやすい急坂を下りていると、星山山頂で出会った女性が折り返してきた。初めて顔のマスクを取って、「この状況だと暗くならないうちに車に戻れそうです」と意気軒昂である。昼食もとらずに歩き通してきたらしい。互いの健闘を願いあって別れる。
そして、気合いを入れ直して959mピークを通過して行く。
縦走路の先に見えているのは櫃ヶ山だけ。ゆっくり歩みを進めるとスミレの花。
緩やかな稜線歩きだ。15分ばかりで竜頭の滝分岐に差しかかった。
最後の登りを前に小休止。ふり返ると959mピークと五輪山の稜線が美しい。左に影のように薄く欠け落ちているのが星山。山頂が近づき、最後の坂を左に巻くように登って行く。
「櫃ヶ山山頂まで245m」の道標があり、間もなく山頂に到着。五輪山から51分、星山からは2時間45分で、予定より7分早い到着である。山頂標石の周囲に立つのは「櫃ヶ山ほっとスカイウォーク」の記念ポール。
東側の眺望。中央から左寄りに雨乞山、右に三角に尖った霧ヶ山、その後には大空山、右端遠くに霞んでいるのは泉山。米子自動車道と湯原の町並みが見えている。
南東寄りの眺望。左から中央に駆けて、擂鉢山と三坂山が聳える。
南東側をのぞき込むと、旭川に沿いの県道313号と足温泉(たるおんせん)方面が見えている。
残していた昼食の助六を食べながら、縦走中にずっと圏外を示していた携帯電話が通じて無事登頂を連絡。最後に、山頂標石とカラマツ越しの伯耆大山をカメラに収める。
5.久納(くんのう)登山口への下山
15時13分に下山を開始。見積所要時間は90分なので、予定しているバスの時刻にはギリギリで間に合う計算になる。湯原方面へ滑降できそうな傾斜を行くと擬木の階段になる。
階段の縁が白いのに気づいて振り返ると、一段ごとに市町村名を付したネームプレートが貼り付けられていた。階段作成の協力者の方たちだろうか。やがて両側がササの道に変わる。
八合目を通過。またササの道を下りて行く。
経路案内板が立っている。「天狗の森から櫃ヶ山頂上へ」とあり、ここから北の細道に入ると原生林を経由して山頂に通じる。また2分ほどで銀令水という水場に出られるようだ。時間がないのでパス。
あちこちに紅葉が美しい。こんな岩が転がっている部分もある。
六合目から五合目にかけてはカヤの急坂である。火山土のようなヌメリのある黒土は滑りやすい。手袋をつけて、ところどころカヤの茎の力を借りて足を運ぶ。
何とか転倒しないで五合目に下り立ちホッとする。
後は広域基幹林道に向かって下りるだけ。林の中に入り黄葉が美しい。
どんどん歩くのだがいっこうに広域林道へ行き着かない。途中から道幅が狭くなり、上り坂が現れたりして、道を間違えたのではないかと不安になる。「登山道」の標識に安心したのだが、経過時間が気になり小走りで進む。
視界が開けて、下方の木々の間に道路が見える。しかし、どこに下り立つのかわからない。
やっと広域林道に出た。山頂から1時間15分が経過している。道を横切った位置に「降り口」の道標があり、迷わず入り込む。
16時半を回り木々に囲まれた道は薄暗い。石ころに足を取られないように、曲がりくねった道を小走りで下りる。
小さな沢を渡り渓流に沿って進むと砂防堰堤があり、やがて舗装道に出た。
舗装道を駈け下りると登山道の標識、これを見て経路を間違えていなかったことが分かった。久納バス停に着いたのは16時48分、バス到着の6分前である。当初予定より3分遅れで無事到着したが、下りにもかかわらず全身汗まみれである。
久納バス停から中国勝山駅までは約20分。写真は真庭市コミュニティバスの「まにわくん」、大変お世話になりました。