1.JR倉敷駅から安養寺へ
倉敷駅から安養寺まではあえて地図を持たないことにした。それに代えて、あらかじめグーグルマップで探した最短コースから、20ばかりの目印となる店や会社の名前などを抜き書きした一覧を準備。これと風景とを照らし合わせながら進むのも面白いだろうとの考えであった。倉敷駅北口で昼食弁当などを準備してスタート!
ところが、最初の目印の喫茶軽食店が見つからない。そこを右折しなければ次のポイントに繋がらない。結局、大通りを北浜交差点まで進んで右折して、10ポイントも先の浜ノ茶屋交差点まで最長距離を歩くことに・・・。これは浅知恵であった。
工事現場の交通整理員の方に教わった、中国銀行から2つ目の交差点を左折する。その先の目印である「デオデオナカ電化」を探すと、何と「エディオンナカ電化」の看板に変わっている。このエリアのグーグルマップはしばらく更新されていないようで、店名で探すのはムリ。やはり地図を持参すべきだったと反省する。
分岐の手前に中国自然歩道の道標があり左に進む。分岐点には明治45年に建立された「御野立所」の大きな石柱が立っている。その左の小さな石柱には「左 寶貴山毘沙門」とある。
しばらく進むとまた石柱があり「右 寶貴山毘沙門天」と刻まれている。後で分かったのだが、安養寺は一時期、本尊を羅沙門天に変えようとして山号を宝貴山とした時期があったそうで(『安養寺の部屋』 http://www.eonet.ne.jp/~a-honda/anyojitera/okayama1573.htm)、石柱は安養寺への道標と考えてよさそうだ。やがて県道倉敷総社線に合流する。
山陽自動車道の下をくぐり、浅原の交差点では県道から外れて分岐を右に進む。
中国自然歩道の道標を見て道なりに進み、坂道を上がると左に黒住教浅原大集会所。
やがて朱色の浮見堂のある天王池に出て安養寺が見えてくる。すぐ先の左側に安養寺駐車場がある。
2.安養寺参拝と登山口
安養寺は奈良時代に、高僧報恩大師によって国家祈願の寺として開山された寺院である(案内板より)。正面には大きな鐘楼があり、左の長い階段の上には大きな毘沙門天が座っている。
弘法大師像が立つ山門を通り、本堂の毘沙門堂に参拝する。
高さが23mもある大きな多宝塔、そしてたくさんの文化財が保存されている成願堂がある。
神仏習合の寺であることから、境内には七福神のブロンズ像が配置されている。これは恵比寿天・大黒天と福禄寿・寿老人。
そして弁財天・布袋尊と悪縁切り不動の像。
境内の西の一角に参拝道があり、ここが福山への登山口になっている。
3.福山山頂へ山道コースを行く
33観音を拝みながら厄除坂を登って行く。
羅教堂があり、釈迦如来像を中心に十六羅漢像が安置されている。中央には大きな数珠が掛けられている。
農道コースと山道コースの分岐に出た。ここが実質的な安養寺コースの始まりで、山道コースへと入って行く。
歩き始めるとすぐに岡山県指定史跡の安養寺裏山経塚群で、経文を地中に埋納した三基の経塚がある。
「千年御神木桧林」の石標があり、ヒノキの林が続く。
車両を遮る鎖が張られ、その先で農道に合流して果樹畑が広がる。桃畑が多いようだ。向こうに福山が見えている。
道端に杖が備え付けられ、1軒の人家と畑の横を通り抜ける。
地図板「福山を歩こう」が立つ三差路に到着。右のほぼ直進気味の道に入る。
気持ちいい落ち葉の小路が続く。が、次第に高度を下げているのに気づく。相棒に止まって少し待つように言い残して、しばらく進んでみると東に向かって下降しており、ストップ!
三差路へ引き返して真ん中の道へと進む。土がむき出しになった細道である。
ところどころの急坂を辛抱強く登って高度を上げる。振り返ると軽部山が美しい。
山頂手前のピークに差し掛かり、緩やかな坂を登れば山頂だ。
山頂広場に到着して、まずは三角点にタッチ。途中で道を間違えたので、安養寺から1時間もかかってしまった。山頂では先客がチラホラ、ベンチで食事をしたりくつろいでいる。
相棒に、直登階段の最上段に取り付けられた「1234」のプレートを説明し、北西の風景に見入る。
南側の景色を眺めながらのランチタイム。天気も良く気分爽快だ。
4.和霊山~八畳岩~幸山城跡
ゆっくりくつろいで、山頂を北へ歩く。妙見展望台へ向かうことにした。
テレビアンテナの林の手前を左折して、両側が木々に覆われた細道を行く。
妙見展望台の東屋だ。すぐ下には3つの池が見えている。
北西方面の風景。左端に高梁川と総社大橋、右のNTT電波塔まで総社の中心街が広がる。
北方向の風景。左寄り上には鬼ノ城、中央に岡山国際ゴルフ、右には県立大学が見えている。
やや東に振った風景。中央右寄りに国分寺、その右後方に造山古墳が見える。
時刻は14時、まだ余裕があるので和霊山を往復することにする。戻りがしんどいかなと思いながらも、どんどん下って行く。
舗装道に合流すると間もなく和霊神社である。駐車場を横切って境内に入る。
参拝を済ませて境内を一巡する。帰ろうとしたら車がやって来た。この駐車場に車を停めれば、福山へは最短コースで登れるだろう。
福山側へと引き返し、福山・幸山城址の道標を右折して北へ進む。
やや上がったところに「梵天・帝釈天」の石鳥居。猿田彦神社への入口である。これを左に見て通り過ぎる。
しばらく下って行くと左手に上がる道があり、その上が八畳岩である。
カメラに納まりきらない大きな岩と椿。かわいい蕾をつけている。
そして磨崖仏のお姿をいただく。
再び元に戻って幸山へ向かう。このあたりでは何人ものハイカーと出会う。
幸山城跡に到着した。福山を背景に相棒の写真を1枚。
ここの眺望も素晴らしい。ゆっくり休憩して下りに備える。
南には福山の姿。右のピークが山頂で、左の最上部には妙見展望台が見える。八畳岩にズームで迫ると、岩の上に建つ三重塔が確認できた。
ここから直登階段へ向けて約25分、起伏のある山腹をトラバースする。気持のいい山歩きを楽しめる。
5.1234階段を下りて清音駅へ
直登階段に出た。これを突っ切って直進すると安養寺に戻ることができる。相棒がやや疲れ気味なので小休止とする。
わずかな量の湧水がポリバケツに落ちている。のぞき込むとエビのような小さい生物(5mmくらい)がうごめいている。何という生命の不思議!昔飼ったカブトエビのように思えるのだが、判然とはしない。
すぐ下方の階段に「850段」のプレート。これから1234階段の約3分2を下るわけだ。
ゆっくりと足を前に出すだけで楽に下りることができる。相棒はストックを使ってボチボチと下りてくる。下り立ったところから、右折して進むと「ふれあい広場」に出ることができる。
16時を過ぎているが、登って来る2人と出会った。どちらもスローペースで休みなく上がって行く。山登りの体力キープのために歩いている感じが伝わってくる。
ここは左に進んで、もう少しだけ階段を下りて歴史広場の登山口東屋に向かう。
東屋から見る歴史広場は、満開の梅に彩られている。
歴史広場から古墳越しに東屋が見えている。今回の山歩きはこれで終了。後はJR清音駅へと畑中の道をひたすらウォーキングだ。
清音駅に着き、プラットフォームから福山を振り返る。歩数計は26,000を超えている。