1.甲浦学校前バス停〜貝殻山登山口へ
自宅付近から岡山駅バスターミナルまでのバスが大幅に遅れ、弁当も飲み物もないままに小串方面行きのバスに乗り込んだ。携帯電話で自宅に連絡して事の次第を告げ、Web上の情報収集を頼む。甲浦学校前バス停にコンビニがあるとのメールが届き、目的の登山口よりかなり手前で下車する。
コンビニで弁当・スポーツドリンク・パンなどを買い込んで、2.4km先の貝殻山登山口バス停まで歩くことになった。これらの位置と距離情報もメールから届いたもので、便利な時代になったものだと感じ入る。
美しいフォームの児島湾大橋をくぐり抜けて進む。
海岸沿いの県道74号を行くと、途中に物流センターがあり貨物船が停泊している。
そして宮浦マリーナ。双発エンジンの大型モーターボートなどがずらりと並ぶ。こんなリッチな世界もあるのです。
個性的なスタイルの光南台公民館。「海辺のコンサート」の看板があり「またまた おやじバンド競演」とある。このバンドでは古くからの知人が活躍しているはずだ。
小串まで4kmとなり、やっと貝殻山登山口に到着だ。
2.貝殻山登山口〜剣山
準備運動をして10時ちょうどに行動開始。まずは花の残る桜並木の長い道を行く。貝殻山への道標があるが、最初に剣山を目指す予定なので直進する。道標傍の郵便受けに地図が入っているので一部いただく。
用水のような川に沿って進むと、鉄塔と天目山・剣山との分岐になる。剣山を目指して右に進む。
よく整備されたなだらかな山道を行くと、美しいコバノミツバツツジが出迎えてくれる。
やがて四差路となり手書きの道標が方向を明示する。このような道標が各所にあるので、安心して山歩きを楽しむことができる。
四差路を直進するとまたもや花のお出迎え。その美しさに足が止まる。
盛り上がった丘のような地形が現れる。すぐ向こうに長谷池があるはずだと傾斜地の細道を急ぐ。
予想どおりに長谷池が姿を現す。が、橋が崩落しているのがわかる。池の端を向こう岸へ渡って直進するつもりなのだが、その位置には「関係者以外立入禁止」の看板が倒れている。これではとても前進できない。
進路を絶たれて準備していた地図を確認するが、どう進めばよいかが判然としない。登山口でもらった地図を見ると、長谷池の北縁を回り込んで虎口池の手前から剣山に向かうルートが記されている。これで前進できるぞ、と送電鉄塔に向かって北に進んで行く。
道を左にとると急坂が待っている。リュックを降ろして一呼吸しストックの準備をする。
急坂を登ると一面の花。この一帯が息づき燃える花の世界だ。ピンクのフィルターの向こうに長谷池がエメラルドグリーンを湛えている。
路面は急な岩道に変わり、両側を花が取り囲む山道へと移って行く。
北側には岡山港の風景が広がり、小豆島行きのフェリーが通過中だ。空にはジェット機が飛行機雲を描き、それをツツジが見上げている。
ごつごつした岩道が続き、その周囲をいよいよたくさんのツツジが取り囲む。
右前方に剣山が見えてきたがまだ遠い。三叉路があり道標が立っている。
左折して下って行くと天目山だが、ここは剣山に向けて急坂を直進する。
左手にかすかに道路らしきものが見える。ズームで寄ると車が走っているのがわかる。
少し進むと下方に虎口池が見えてきた。そしてまた道標。左折して急坂を下ると、キャンプ場を経由して天目山へ出ることができるが、これは直進。
粘土質の道を進むとまたまた道標があり、左折すると車道に出ることができるがこれも直進。
段差のある石段を越えると、視野が急に開けて三角点が目に飛び込んでくる。
11時23分、海抜277mの剣山山頂に到着だ。
まず、山頂標識と三角点をカメラに収める。
山頂からは360度の眺望が広がる。
北には岡山市南区から瀬戸内市、東は犬島から小豆島が見える。南側近場には東児のゴルフ場から玉野市の北興化学工業やナイカイ塩業の工場が見え、その向こうに瀬戸内海の島々が浮かんでいる。西側には新田池、それを取り囲むのは産廃処理場だろうか、中央には電波塔が林立する金甲山がそびえている。
3.キャンプ場〜天目山
12時ちょうどに山頂を発ち、剣山への登りで通過したキャンプ場・天目山の道標まで引き返して、キャンプ場の方へと下りて行く。
7〜8分でキャンプ場に着く。広場にテーブルやイスがあり、フィールドアスレチック用の遊具が設置されている。水道があり、炊事場や食事用の建家も設けられている。
キャンプ場のそばには水をたたえた虎口池があり、近くに天目山への案内板が立てられている。
細道を上がって行くと両側にシダが繁る。
すぐに階段が見えてきて、それを登り切ると県道463号に出た。県道を渡ると天目山の駐車場だ。
駐車場の左に天目山への侵入標識があるので、その方向に登って行く。
岩だらけの短い急坂があり、これを上がると山頂である。
12時12分、駐車場から5分での到着。西を振り返ると、先に登った剣山と麓のキャンプ場、虎口池が一望できる。
天目山からの眺望は最高だ。北から北西方面には児島湾大橋から岡山港、東にはこれから出かける貝殻山が見える。瀬戸内海や金甲山方面の景色も素晴らしい。
景色を楽しみながらゆっくりと昼食をいただく。至福の時間だ。
食後は双眼鏡で風景の細部に眺め入っていたが、ゴルフ場のあたりはグリーンが少なく山が痛々しく感じられる。
4.貝殻山へ
12時58分、駐車場から県道を貝殻山へと向かう。ここから以降はこの舗装道路を移動することになる。切り取った山肌は岩盤だが、かなり風化が進んでいるのがわかる。
13分ばかりで貝殻山駐車場に到着する。この一帯はどの駐車場にもトイレが完備している。広い駐車場には車が3台駐車していた。
山頂に向けて、南手のゆるやかな階段を上って行く。
里の桜は終わりに近いのだが、ここでは散り初めのソメイヨシノが山道を彩っている。
駐車場からわずか4分で山頂に到着した。標高288m、満開のミツバツツジのそばに三角点があった。
広い丘陵になっていて、南側には瀬戸内海の風景が広がる。
おばあちゃんと娘さんとお孫さんの和やかな花見風景。他にも人がチラホラ。小休止の後は花のトンネルを通り抜けて下界へ。
5.三頂山〜八丈岩山
13時34分、貝殻山駐車場から移動を開始する。しばらくすると崖崩れに出合った。しっかりした塀でブロックしているので安心だが、大雨が降ればさらに崩落が進むだろう。
単調な路面だが、美しい花が元気づけてくれる。ミツバツツジとヤブツバキが何とも可憐だ。
左手に「貝殻山市民憩いの森」の進入路。関心を惹かれたが時間の関係で今回はパス。
直線道路に入ったとき、小型トラックが猛スピードで走り下りてきた。これは怖い。一瞬見た中年男の運転手の顔が笑っている。すぐ続いて軽トラックが追いかける。運転する真顔の若い男も異常としか言いようがない。どちらも某ガス工事会社の車両だ。カーチェイスを気取った大馬鹿野郎たちだ。
やがてカーブに差しかかり、景色に目をとめてホッとする。
ところが、そのカーブの部分で土砂崩れが起きておりビックリ。コーンを立てて片側通行にしているが、ここも雨による崩落の拡大が心配される。
30分少々で八丈岩山の駐車場に到着。この30分間はとても長く感じた。
案内板から、三頂山(さんちょうざん)は八丈岩山コースの一部に位置づけられていることがわかった。
登り道の一帯は記念植樹の森になっている。右の写真の木には、「岡山アコーディオンクラブ20周年」のプレートが結ばれていた。
記念植樹の森を通り抜けるとミツバツツジと瀬戸内海の景色。
さらに進むと、前方に大きな岩だらけの三頂山が姿を現した。山の斜面には、今にも落ちそうな大岩が埋め込まれている感じだ。
途中にある立派な休憩所。正面向こうに頂上が見えているので、ここは足早に通り過ぎる。
すぐ近い感じなのだが岩だらけの道が続く。ひときわ大きい岩の上部とすぐ下に祠が祀られている。
14時23分、八丈岩山駐車場から15分ばかりで山頂に到着だ。山頂には大きな岩が積み重なっている。岡山側の展望がよく、児島湾大橋がよく見える。
小休止してから八丈岩山へ向かう。濃淡2種類のツツジが道端を飾っている。
またまた大きな岩が散乱しており、ツツジと瀬戸内海の風景が広がる。
そして14時34分、八丈岩山山頂(281m)に到着した。ベンチがあり中央に三角点が見える。
これで五山すべてに登頂することができた。山頂標識と三角点をカメラに刻み込む。
6.旧桃太郎荘への下山
14時46分に下山を開始。道標「桃太郎荘 800m」の方向を目指す。たかだか800mと思っていたのだが、急な階段が延々と続いており膝に堪える。
ちょうど半ばあたりにベンチがある。両堤池と思われる池が見えてきた。少し進むと「桃太郎荘 20m」と一気に距離が縮まってきた。
高度が低くなって眼下の景色も変わってくる。公園らしい風景になり、向こうに車道があるような気配を感じる。
四方アーチ型の休憩舎がある。できるだけ車道は避けることにして、長い藤棚の下を進む。
歩道に出たが人も車も通らない。そんなところに、ソメイヨシノが満開の花をつけていた。これは今日の山歩きのフィナーレを飾るプレゼントだと、感謝を込めて観賞する。
両堤池に出たようなのだが、地形が手元の地図と一致しない。ここまで下りたら問題は起きないはずだと、池の向こうを回り込んで細道を進む。
しばらくあって車道に出合いバス停に着く。米崎・桃太郎荘入口という停留所名が、3月に米崎と改名された旨の文書が張り出されていた。
八丈岩山から50分ちょうどの15時36分に到着。16時2分のバス到着まで、食べ残しておいたパンを頬ばりながら読書。素晴らしい天気と花に包まれた山歩きの余韻が心地よい。