名 称

けなしがせん(けなしやま)~はくばさん

所在地

岡山県真庭郡新庄村

標 高

毛無山 1,219m、白馬山 1,060m

山行日

2012年4月24日

天 候

快晴

同行者

なし

アクセス

車で田浪駐車場へ

マップ


※2016年5月31日にマップを更新、毛無山の標高が1,219mになりました。

このマップは、国土地理院の電子国土Webシステムから提供されたものを使用しています。

コース概要

田浪キャンプ場・駐車場 9:30三合目 10:09毛無大岩 10:18六合目大杉 10:31
九合目休憩舎 11:09毛無山山頂 11:27〜11:40カタクリ広場 12:05〜12:10
白馬山山頂(昼食) 12:57〜13:22登山口 14:09〜14:40田浪神社 14:42
梨瀬バス停付近でツクシ狩り 15:04〜15:20鬼面台展望台 15:59鏡ヶ成 16:25〜16:50

1.駐車場〜登山口

 9時30分に着いた田浪(たなみ)駐車場にはすでに10台ばかり停まっていて、装備の点検や着替えなど登山の準備が進められていた。自分のことは顧みず、平日にもかかわらず登山者が多いことに驚く。毛無山の人気をあらためて認識させられた。
 シーズンオフの田浪キャンプ場は閑散としているが、周辺の施設やトイレなどはとても整備が行き届いており気持ちいい。

 付近の木道に「根性ツクシ」を発見した。

 毛無山ビジターセンターのトイレを利用させていただく。ここも手入れが行き届きゴミひとつ落ちていない。
 しばらく、何組もの先発パーティーを見送り準備を整えて歩き始める。

 藁葺き屋根の「山の家」は改修中だ。以前に参加した「癒しの森・毛無山でセラピー体験」では、このあたりで昼食をとったことを思い出す。美しい造りの藁屋根なのだが、もしかするとトタンを被せてしまうのだろうか。
 近くに登山道の案内図が設置されている。以前にこれを見て、いつか登ろうと思ったのだった。

 山の家から沢沿いに左奥へ入って行くと登山口、いよいよスタートだ。

2.毛無山山頂を目指して

 天然杉に囲まれた沢沿いの道を少し進むと、毛無山と白馬山の分岐になる。どちらへも2.0kmの等距離だ。行きは左へ進み、毛無山から白馬山を経由して右側へ降りてくるコースをとる。

 山道左の窪みにはまだ雪が残っている。沢の音を聴きながら進むと、鳥獣特別保護区・区域図や県有地の掲示と並んで、毛無山の説明板が設置されている。
 「毛無山は、千三百年昔、修験者の役行者小角(えんのぎょうじゃ・おずる)によって開かれたとされている。霊峰の戴には役行者神変大菩薩(えんのぎょうじゃ・しんぺんだいぼさつ)を祭り、後山と並ぶ修験道の行場としてて女人禁制の山岳信仰の聖地であったが、戦後より自由に参拝している」と記されている。

 少し先には「毛無山自然保存林利用にあたっての心得」などの掲示板がある。

 登山口から10分で三合目を通過する。

 木漏れ日を受けながら森林浴を満喫。大杉の森を登り進んで行くと、しだいに沢の音が遠のき、やがて毛無大岩に到着した。

 このあたりからブナ林に変わり、足場は急になってくる。ゆっくりと一歩一歩進む。

 10時28分、六合目に到達した。「山頂まで0.6km」の標識があり、六合目大杉と出会う。

 急斜面を登って行くとブナと杉の木が支え合っている。「助け合いの木」と書いたプレートが吊り下げられていた。

 笹のきれいな緩やかな斜面、それと対照的な急斜面をよじ登る山ガールたち。ここはきつかったなぁ。

 次の急坂ではロープが張られている。そして、根っ子道には岩が混じってくる。

 10時53分、八合目の標識が見えてきた。ここまで来れば山頂までは残り300mだ。

 美しいブナの木立の中に続いていた、笹に飾られた道の傾斜がやや緩くなってきた。

 根っ子道を越えた向こうに九合目の休憩舎が見えている。

 山頂側へ踏み出して振り返ると、休憩舎を取り巻くブナの豊かな原生林。次の瞬間、南面の視野が急に開けて素晴らしい眺望が広がる。

 登山口の方向に目をやると、ブルーシートに覆われた「山の家」が見えた。
 山頂の直下には祠があり、男性の大きな祝詞が聞こえてくる。近づくとご婦人から声がかかり、話しているうちに祝詞も終わって、二人が松江から北側を登って訪れたご夫婦であることを知る。
 ここで、しばらく山や里についての会話を楽しむ。道中にカタクリの花は一輪しか咲いていなかったと教えてくれる。
 カタクリの説明板があり、この花が7〜8年もの栄養成長期を経て15〜20年間も開花結実を繰り返すことには驚いた。可憐ながら、けっこう逞しい花でもある。

3.毛無山山頂〜カタクリ広場

 11時27分、ついに毛無山山頂に到着だ。十数名の人たちが休憩中で、多くは昼食の最中である。 山頂標識の前に三角点があり、隣り合って方位盤が設置されている。
 黄砂と思われるモヤで遠くの山々は霞んでいるが、肉眼では雪をいただく大山をわずかに観ることができる。

 山頂標識の裏に取り付けられた温度計は19.5℃を指している、暑いはずだ。
 昼食は先延ばしにして、11時40分、白馬山に向かって歩き始める。まずはカタクリ広場が目標だ。

 踏み出したとたんに雪に覆われた道。注意深く踏み込んで進むがその向こうにもまた雪。靴もズボンの裾もべとべとになってしまう。

 ようやく湿地を抜けて平坦な尾根道に差しかかると、一点にピンクが見えた。

 まぎれもなくカタクリの花だ。毛無山山頂の手前で松江からのご夫婦が言っていた一輪に違いない。よく見ると、ふたつの蕾がついていた。

 ヤブコギとまではいかないが、行く手を笹が埋め尽くしている。やがてゆるやかな下りが続く。

 今にも開きそうな濃い赤紫の新芽。白馬山はまだまだ遠い。

 12時5分、カタクリ広場に到着した。先行していたグループが昼食をとっている。

 カタクリ広場は保護用のロープで囲まれているが、花はもとよりそれらしい姿も認められない。北(鳥取県側)へ回り込んで谷側を覗いてみる。

4.白馬山山頂に向けて

 カタクリ広場には5分ほど滞在して先を急ぐ。小高いピークを越えると、ふたたびブナ林が待っている。

 左手に雄大な大山が見える。毛無山山頂より少し見通しが良くなったように思える。ここで、前方を行くグループに追いついた。

 豊かなブナの原生林は、自然が奏でる音楽とムーブメントを感じさせる。

           

 白馬山が近づくに連れてカタクリの花が増えてきた。開花したものはまだわずかであり、つぼみや花をつけないものが圧倒的に多い。
 開花していないカタクリは地味な迷彩色の葉っぱで背景にとけ込み、しかも道のすぐ脇に生えている。うっかり踏みつけてしまいそうで、足の置き場やストックの運びにも注意を払わなければならない。

 こうして白馬山に到着したのは12時57分。毛無山山頂から1時間17分もかかっており、予定を大幅にオーバー。
 ここでしばらく昼食と休憩をとることにする。

 山頂もブナに囲まれておりベンチがある。一帯のブナはダンスをしているようだ。

5.白馬山からの下山

 昼食が終わって片付けをしていると、毛無山の上りですぐ後ろを歩いていた二人連れがやって来た。五十代前後と見られる二人は新庄村に住むご夫婦で、今回が初めての毛無山、なおかつ初めての登山だとのこと。いっしょに下山することになった。
 少し下って行くと左手(東側)遠方に道路が見える。

 さらに下ると池が見えたのでズームイン。新庄川支流の土用川に建設された土用ダムである。中国電力の水力発電所としては最大のもので、揚水式の発電所である。

 下りの道は歩きやすい。傾斜のきついところが多いのだが、先頭を歩く初めての山歩きの奥様はペースが速い。

 天然杉の森に変わってきた。かなり麓が近づいてきたシグナルだ。

 走るように降りて行くに連れてせせらぎの音が大きくなり、やがて慎重に沢を渡る。

 そして沢に沿って下り、14時9分に無事登山口に舞い戻った。

6.回り道して帰路に

 途中までお送りしましょうとのご夫妻の申し出を丁重にお断りして、携帯電話で家族に下山したことを連絡する。
 ややあって車に乗り込み、近くの田浪神社に参拝。

 梨瀬バス停で車を止めて、国道181号沿いに満開の桜並木をカメラに収めていたら、用水路脇にツクシの群生を発見。
 10分足らずのツクシ狩りで十分な収穫を得て、鏡ヶ成へと車を進める。

 途中で立ち寄った鬼面台展望台から見る大山と烏ケ山、それに蒜山方面。煙ってはいるが雄大な風景だ。

 着いた鏡ヶ成はまだ雪景色。こんな素晴らしい景色を見られるとは思ってもいなかった。さっそく雪の上をザクザク歩いてみる。

 登山道が透けて見える大きな山は象山。

 こうして鏡ヶ成国民休暇村に別れを告げ、東側から見上げる烏ケ山をカメラに収めて帰路につく。