1.怒塚山登山口へ
岡山駅から出る両備バス・渋川行き特急を利用して甲浦郵便局前で下車。このバス停、以前は郡(こおり)あるいは西郡とも呼ばれていた。バスの進行方向に怒塚山が見え、突き当たりの三差路まで直進する。
三差路を渡ると、右に閉鎖されたうどん屋と看板、隣接して駐車場が見える。その左手に、怒塚山・金甲山縦走コースの登山口がある。
2.送電線沿いに怒塚山山頂へ
登山口の細道を上がるとしばらくは竹林が続く。
参道はとてもよく整備されていて歩きやすい。落ち葉でフワフワした道を行く。
登山口から15分、送電鉄塔No.38への道標のあたりから路面が悪くなり、雑木が敷き詰められている。滑らないように注意して進む。
再び路面の安定した細道にもどり、振り返ると、先ほど通り過ぎたNo38鉄塔と児島湖から児島湾の風景が広がる。
送電鉄塔が見えてきたが、高すぎて鉄塔番号を読み取れない。少し進んだ道標から、No.37だったことが分かる。
そのすぐ先に広場があり、元気のいい男性が2本ストックで勢いよく登ってきた。ここで風景を眺めながらしばらく話し込む。近くにお住まいで、トレーニングを兼ねて頻繁に登っているとのこと。
この先は分岐で、左は急な階段、右は急坂になっている。どちらも先で合流するが右が通常ルートだと教えていただく。
男性に先を譲ってマイペースで前進。ほどなく送電鉄塔No.36らしきものが見えてきた。
No.36鉄塔で道は左折して、東に延びた急な尾根道になる。
すぐに「怒塚山山頂へ」の道標があり、急坂をひと登りする。
怒塚山山頂へ到着すると先客の男性がいる。児島湖大橋が美しい。
この方も頻繁に登っておられるようで、先日は空気がきれいで伯耆大山がはっきり見えたそうである。今日もボンヤリしているが蒜山が見えるという。構えたカメラのズームを調整していたら、視野を鳥が横切る。その黒い点のあたりに、うっすらとではあるが雪をいただく蒜山が見えている。そして、反対方向にはこれから登る金甲山の姿。
3.金比羅宮~金甲山
15分ばかり話し込んで10時35分にスタート、これからいちど谷に下りて金甲山に登り返す。予定の行程より20分以上も早めに推移している。下り口には「↑金甲山」の道標があり、その脇に地籍図根三角点の標識が立っている。
谷に向かう急な尾根道を下って行く。ときおり木立の向こうに金甲山が姿を現す。
送電鉄塔No.127への標識があり、さらに進むと鉄塔が見えてきた。
山の静寂を破ってバイクの騒音が聞こえてくる。ブィーン・ブィーンと、気がふれたようにしつこく鳴り止まない。
送電鉄塔No.127に到着すると、怒塚山と金比羅宮のほぼ中間地点まで進んだことになる。金甲山山頂がいっそう明瞭に見える。登り返しの長い階段が現れた。
さらに進むと左側の木にピンクテープが結びつけられており、「中池へ」の道標が立っている。左折すると中池へ下りるがここは直進する。
すぐ傍に四等三角点の標石がある。このあたりは、前回の金甲山からの下山時に通ったコースである。
緩い坂を進んで行く。道端に暗い茶褐色の石。火山岩のように思えるのだが・・・、最近こんなのに出会うと、山の生い立ちが気になってくる。
前回も気づいた車マークの道標。定かではないが、前回登りで歩いた舗装道路に下り立つのではないかと思われる。
傾斜が緩くなり、しばらく進むと石鳥居が見えてきた。
金比羅宮である。ずっと上の方に小さな社がある。山行の無事を願ってお参りする。
そばの大樹の脇に古い手水鉢らしきものが置かれている。右上の部分が欠けているが「郡村舩頭中」と読める。村の船頭さんたちが寄進したものだろうか。
少し進むと木に吊された「車道5分」の案内板。さらに少し進むと誠徳院分岐に出た。直進すると誠徳院への道で、これは帰りに通ることになる。右手にとって金甲山へと向かう。
金甲山方面には、金比羅宮本殿の横についた階段を登って行く。
これに続く急階段を登ると県道金甲山線に出る。
金甲山駐車場に着いた。2台駐車しているが人の気配はまったくない。バイクの騒音がまだ聞こえている。どうやら金甲山まではやって来ないらしい。貝殻山のあたりを走り回っているのだろうか。
とりあえず山頂に向かうが人はいない。空は晴れ上がっているが遠景はモヤで霞んでいる。
4.金甲山山頂風景
まず展望台の屋上に上がって三角点を撮影する。そして、眼下の風景を眺めながら昼食をとる。
〔南東方向〕手前は東児地区、左に小豆島、中央に豊島と手前に井島、右には男木島。
〔南方向〕手前は後閑方面、左に豊島、その背後に男木島と女木島、中央に直島、右には大槌島。
〔南西方向〕左に大槌島、飯野山と番の州臨海工業地帯、見えにくいが中央から右に瀬戸大橋。
〔西方向〕児島湖に流れ込む鴨川、鴨川の向こうには常山。
展望台を取り巻くさまざまな形状の電波塔。それにしても、誰もやって来ない。
猛り狂ったようなバイクの暴走音はBGMにもならない。めげずにカメラのズームを操作する。
〔遠くに霞む五剣山と屋島〕
〔直島と周辺諸島、そして飯野山(讃岐富士)〕
展望台下にある拝石(おがみいし)という祭祀遺跡に建立された祠に参拝して、下山の支度にかかる。北西には、先に登って来た怒塚山のゆったりとした姿。
5.誠徳院を経由して下山
登ってきた登山道に戻り急坂を下りて行く。
誠徳院分岐まで戻って、道標に従って誠徳院へと向かう。みつがしわ新道と呼ばれる道をトラバースしながら下る。道が明瞭でない部分もあるので、少し先を見ながら道を見失わないよう注意する。
登山道に入って15分ほどでV字形に折り返す。そのあたりに地蔵尊があるはずなのだが見つからない。
地蔵尊に会えないままどんどん下る。何の木かわからないが、勢いのある芽が息づいているようだ。
ようやくバイクの音が遠ざかったころ沢に出合う。足場が良いのでひとまたぎで渡渉できる。
さらに細道を下って行く。
民家の庭先に下り立ったのかと思ったら、これが誠徳院だった。山行の無事を感謝して参拝する。
誠徳院は奥池のすぐそばにある。山道はここまでで終わり、後はフラットな参道が続く。奥池の西側を北へ歩く。
奥池の東には城山の長閑な姿。参道に一対の石柱が現れる。参道の始点なのだろうか。
舗装道路に変わり、路肩の傷んだ部分がていねいに補修されている。
竹の杖の置き場がありベンチが設置されている。ここが実質的な金甲山登山口と判断してよさそうである。風景もがらりと変わって児島湾が見えてきた。
振り返って金甲山を1枚写す。掌善寺の前を通って県道に出る。これを左折して甲浦郵便局前バス停に着くと同時にバスが到着。予定より2時間も早い帰着となった。