1.段谷コース登山口へ向けて
6時過ぎに駐車場へ到着する。あたりの里も熊山も朝もやのベール。6時40分に駐車場からスタートする。
熊山駅と反対方向に500mほど直進して左折し、山陽本線を回り込むようにまたぐと進路が南東に変わる。左に岡山白陵校の寮を見ながら進む。
山陽自動車道の下をくぐって少し進むと舗装道路が終わる。ここが段谷コースの登山口である。
2.段谷コースで山頂を目指す
平坦な登山道に踏み込むとすぐに渓流が見えてくる。
5分ほど歩くとしだいに勾配がきつくなり、間もなく丸木橋が現れる。丸太を束ねた橋で破損した部分もあり、滑りやすいので注意深く渡る。
右側の沢に小さな滝ができている。こんな滝が次々と現れるがカメラを向ける余裕はない。そして道はしばしば沢とクロスしているので徒渉する。沢幅が狭い場所ではシャッターを切ることができるけれど、多くは渡るのに一生懸命でカメラの電源はオフ状態だ。
登山口から30分が経過した。道は細くなり足場は悪い。さらに5分、岩を滑り落ちるきれいな滝があり、こればかりは足を止めて観賞する。
苔むした石ころがゴロゴロ積み上がった道。足を取られないようにゆっくり進む。やがて現れた緑の世界に思わずうっとり。が、滑りやすいので気が抜けない。しだいに道が判然としない場所が増えて、もっぱら赤テープを探しながら前進する。テープが見つからない場合、独り歩きでは起点を決めて行きつ戻りつを繰り返すが、チーム山行では何人もが同時に探索できるので、スピーディーに安心して進むことができる。
上の緑の世界から37分が経過。ひたすら沢を渡り岩を踏みしめてきた。大汗をかいているが気分は爽快だ。左の写真は滝を撮りたかったのだが、2~3歩行き過ぎるとこんな具合でサマにならない。急なデコボコの岩場なので止まるのもままならない。さらに45分ばかり登ると道がしっかりしてきた。
「←熊山池 弓削→」の分岐道標だ。かなり進行に手間取り、登山口から2時間半近くが経過している。ここから先はウォーキングモードで歩く。
熊山駅最短コースの尾根道に飛び出した。「山はみんなの宝もの」と書いたプレートが木に留められている。これが段谷コースを下りる時の目印になる。
「スズメバチに注意」と貼り付けた木が、厚手の布地で覆われている。すでに駆除済みと思われる。尾根道に出て急に体が軽くなった。
竜神二つ井戸に着いた。雄竜と雌竜の二つの井戸がある。貼り紙に「この湧き水は登山者が口にする大切な水です 清潔にしてください」と書かれている。
3.熊山遺跡・山頂展望台から山頂三角点へ
熊山遺跡に到着して山頂展望台に向かう。
展望台からの風景はガスで霞んでいる。広場では仲間たちがベンチで一息ついている。
まだ10時過ぎだが麓の気温は30℃に迫っている。標高500mの山頂広場にはそよ風が通り抜け、体感温度は24~5℃だろうか、とても居心地が良い。ペーパードリップで淹れた熱々のコーヒーをご馳走になる。
今回まで気付かなかったのだが、広場の一角に宝篋印塔(ほうきょういんとう)がある。赤磐市教育委員会設置の解説板によると、古代から中世にこの地で栄えた帝釈山霊山寺(たいしゃくざんりょうせんじ)にいた僧顕空の供養塔と思われるもので花崗岩製。鎌倉時代に建てられたとのこと。
「せっかくここまで登って来たのだから山頂へ行ってみようや」とのリーダーの声で、山頂三角点へ向かうことになった。離れた位置にある山頂には一度も立ったことがないので、これは嬉しい。帝釈山霊山寺跡を通って頂上周回遊歩道へと下りる。
霊山寺山門跡を通過してよく整備された遊歩道を進む。
東屋が見えてきた。少し手前に「スズメバチ注意」と掲示されていたが、まさか東屋の屋根裏に巣くっていたとは驚きだ。巣の一部が残っているが蜂はいない。
さらに進むと頂上駐車場に出て、そこから東へ300mばかり進んで左折し、NTTの電波塔を目指す。
山頂はNTT電波塔のすぐ南にあり、山頂標識と共に二等三角点が設置されている。何年掛かりかでようやく出会えた三角点標石に、タッチ!
4.熊山駅最短コースを下山する
駐車場に設置された熊山山頂の説明図で復路を確認。もっともスタンダードな熊山駅最短コースを下りて行く。
途中までは往路の一部と同じ経路で、5分ほどで竜神二つ井戸まで下りてきた。このコースは歩きやすい。
変わった形の石があり隣接した木に「蛙石」のプレート。えっ、これって蛙ですか? 東屋の展望台では15分ばかり休憩する。周辺上空を通る何系統もの送電線路が描く模様が面白い。北西にはアンテナ群を乗っけた倉懸山が見えている。
休憩で元気を取り戻したことに加え、下山後のキリンビール工場見学が楽しみで足取りが軽くなる。展望台から40分少々で熊山駅登山口まで下りてきた。
こんな表示板が見えて、山陽本線の下をくぐれば駐車場はすぐそこだ。