1.出発〜登山口
豪渓駅から約250m西の踏切を渡り、200mばかり進んで交差点を左折して豪渓秦橋(ごうけいはたばし)を渡って行く。
豪渓秦橋の突き当たりはトンネルになっている。その手前右側の階段を降りて、降り立った位置から道路を逆方向に進む。
すると崖の下にトンネルが見える。それを抜けて100mほど進み、右側の坂道を上がって右折する。
石畳神社の鳥居があり、その手前に「展望台入口」の道標が設置されている。ここが登山口だ。
2.石畳神社〜城山頂上
鳥居をくぐって石段を上り、石畳神社で山歩きの無事をお願いする。
10時24分、境内左の山道を登って行く。途中あちこちで石仏が迎えてくれる。
5分ばかりで「石畳神社御神体磐座」の道標。そちらへ入ると複雑な形の巨岩がそびえている。ちょうど先ほど通ったトンネルの上あたりと思われる。
小さな赤鳥居のそばまで行けそうなのだが、両側が絶壁になっているようなので見合わせた。
すごい形だ!それにしても崩落しないかと心配になる。すごいのはそれだけではない。のぞき込むと高梁川に呑み込まれそうだ。
元に戻って、落ち葉が掃き寄せられている気持ちいい山道を歩いて行く。
御神体から15分足らずでパノラマ展望台に着く。北東から南へかけての眺望が素晴らしく、しばらく、横たわる高梁川と上流方向の風景を楽しむ。
道はしだいに岩が増えて急になり、この地点でストックを取り出す。
パノラマ展望台から15分ほどで城山の三角点(191m)に着く。繁る雑木に背伸びして南を垣間見る。
3.荒平山(あらひらやま)城跡〜正木山登山口
荒平山城跡は三角点からすぐ近くにある。「備中荒平城址」の標識が立ち、「荒平山城本丸跡」と記された位置に東屋がある。少し離れたところにはトイレが設置されている。
周辺はきれいに清掃が行き届いておりのんびりと景色を楽しむ。
さらに15分ばかり進むと「石鎚大権現」の標識。右上へ分け入って参拝する。
元に戻って進むとすぐに「茶臼嶽」とあり、崖の傍に祠が祀られている。
間もなく城山金刀比羅神社に到着。山門のような建家を通り抜けて(納屋として使われているようだ)、急な階段を上って参拝する。ここからの眺望も良好だ。
正木山の方向に舗装道が続きその先に手洗い場がある。本来の参拝道はこちらのようだ。
やがてむき出しの山道になり石鳥居が見えてきた。
正木山が近づくとあちこちにトレイルの案内板がある。後でわかったのだが、2012年4月1日に第5回のトレイルランが開催されるとのことで、このあたりは走ってもいいらしい。
大きな「正木山登山道」の道標があるのだが、あらかじめ調べていた地図上の地点よりかなり手前になる。おかしいと思って直進するが、右手に古墳らしい地形が見えたので立ち止まる。そのまま進むと古墳を通り過ぎてしまうので、戻って標識の方へ上がることにした。
歩きやすい道を進むと行く手を倒木が遮っている。またいでさらに進む。
その先にはビニール紐が張られており、紐に赤テープが貼り付けられている。進入禁止かと思い、少し引き返した位置から古墳と思われる丘に登っていった。
このあたり一帯に「一丁ぐろ古墳群」が形成されている。昨年(2011年)6月23日に総社市指定史跡になったもので、全長74mの前方後方墳の1号墳である。周辺には2〜4号墳もある。
後方部にはいろいろと祀られている。石の枠組みの中に石塔があり「菩薩僧竺源元壽塔」と刻まれている。
これは石でつくった棺を入れる外箱、つまり石槨(せっかく)らしい。隣に「龍王大権現」と刻まれた石碑がある。
あちこちに傷んだ木が伐採されて積み上げられ、新たに植樹が進められている。
ひときわ高い古墳の上から周囲を見渡すと、どうしても先のビニール紐を越えなくては先に進めないことがわかる。
12時3分、紐をくぐって前進を開始する。
少し進んだ位置から振り返ると、先にいた場所がはっきり古墳とわかる姿を見せている。
向こうに4〜5台の軽トラックが停まっていて、植樹作業員の人たちが弁当を食べている。挨拶をして正木山は近いかと尋ねたら、まだまだ遠いとの答え。
先日の雨でぬかるんだ道をどんどん歩くと舗装道に出た。これからがトレイルランの勝負所になるらしい。
舗装道路の脇にまたしてもトレイル向けの案内板があり、「山へ登る」と書いてある。その奥に登山口の標識が見える。
12時19分、これから正木山への登山開始だ。
4.麻佐岐神社〜正木山頂上
出だしからかなり急で、雨が降ると急流の沢になりそうな道を進む。
方々に痛々しい枯れ松の姿が見える。いっぽうでは生き生きとした猿の腰掛けも!
道の両側には倒木や朽ちた木、伐採木が寄せられ積み上げられている。
そんな道をしばらく進むと、路面がデコボコ岩に変わってきた。
登山口から30分ほどで麻佐岐神社の鳥居が見えてきた。左手前には、中国電力のマイクロウェーブの大きな反射板が設置されている。
麻佐岐神社に参拝する。向かって右側の標識には社名、左側には「古代祭祀(磐座)」と記されている。社の右側に御神木「招霊の木(おがたまのき)」があり、社裏には石の柵で囲まれた磐座がある。
正木山の三角点は、山道を少し西に進んだところから入り込んだ薮の中にある。GPSでも持っていなければ探すのが大変だと思われる位置にあるが、幸いなことに手書きの案内杭が設置されており、それにしたがって踏み跡を50mばかり進むと見つけることができた。
正木山にはあちこちに手書きの案内板があり歩きやすい。山頂にビューポイントがあることは知っていたが、写真のように「正木山絶景ポイント地→100m」と道標が案内してくれる。これにしたがって、きれいに整備された道を南へと進む。
さすがに絶景ポイントだ。南にはすぐ間近に久代(くしろ)の工業団地「ウィングバレー」が広がり、木村山から馬入山の山系が横たわる。遥かに瀬戸内海も見えている。東南には高梁川が蛇行し、総社大橋をはじめ総社から清音の町や田畑が一望できる。1,230段の直登階段がある福山もはっきり見えている。
ビューポイントの広場もきれいに整備されていて、一部に礎石のように列をなした岩が並んでいる。これが何かはわからないまま、端のひとつに腰を落ち着けて昼食をとった。
5.下山は来た道をひたすら早足で
帰りは同じコースを戻ることにして、13時57分に絶景ポイントを離れる。
どんどん下りて行くと、金刀比羅神社の手前に、行きには気づかなかった石仏があったのでシャッターを押す。石畳神社には15時22分に帰着して下山の無事を感謝した。
帰り道、トンネルを抜けて振り返ると巨岩上部の顔面岩にビックリ。ちょうど「石畳神社御神体磐座」の位置にあたるようで、その姿をデジカメに収めて豪渓駅へと向かう。
正木山までのアプローチは、神社・古墳・城跡・展望所と変化に富んでいる。特に「一丁ぐろ古墳」は、予備知識もないままに大変なものを見ることができたようで、帰着してあれこれ調べて驚いた次第。
山道や道標・案内板などがよく整備されており、眺望も良く山歩きを存分に楽しむことができた。今後、遺跡や古墳などの調査や整備がどのように進むのかは興味深い。また出かけたい山だ。