1.三平山登山口から山頂に向けて
新庄村から車で林道川上2号を蒜山方面へと進み、三平山登山口に着いた。道路右向こうに、車数台が駐車できるスペースがある。登山口の取り付きには、「三平山山頂 約45分」の道標が立つ。
新庄村方向を振り返ると、手前にトイレ、その向こうに休憩舎があり、ここで準備を整えることができる。
整備された緩やかな山道は歩きやすい。展望が開けた場所からは蒜山三座(上蒜山・中蒜山・下蒜山)が姿を見せる。
秋色に染まった広場を抜けると、一面に千本槍(センボンヤリ)が綿帽子をつけている。大名行列の毛槍に似ているのが名前の由来らしい。
少し急な傾斜を登り、黄葉のまっただ中を落ち葉を踏みしめながら進む。
ジグザグ道の右側が開けて、広大な蒜山高原が現れた。このあたりから、石ころがゴロゴロする溝のような道が続く。
そろそろ六合目かと思いながら、結局わからずに通り過ぎたようだ。キャラボクが生えている。
かなり登ってきたようだ。雄大な風景に足が止まる。
「土塁」の説明板が立っている。山頂に続く土塁は、明治31年に陸軍が蒜山一帯の原野を軍馬育成場として接収した時に、放牧場の囲いとして建設されたものとのこと。山頂へは土塁の上を歩いて行く。このあたりが九合目のはずである。
説明板の先を左に折れると、北に伯耆大山の姿が見えてきた。が、山頂は雲に隠れている。山頂へ向かう最後の急坂を、息を整えながら登る。
2.三平山山頂風景
登山口からちょうど45分で山頂に到着。北には雲を戴いた伯耆大山と右に烏ヶ山、さらに矢筈ヶ山や象山が見える。
北東には皆ヶ山から蒜山三座が横たわる。
北西遠くには日本海が見え美保湾が霞んでいる。さらに南には、隣接した朝鍋鷲ヶ山から金ヶ谷山、白馬山、毛無山が重畳して連なる。
山頂には山頂標識と並んで石の祠が建つ。笹に取り巻かれた三等三角点にタッチして下山に取りかかる。
3.穴ヶ乢からの下山
下山は穴ヶ乢へと向かう。カヤとササの草原の細道をたどる。
高原の雰囲気につつまれた山道には、あちこちにアキノキリンソウが咲き誇る。そしてノアザミと可憐な花をつけたツリガネニンジン。
ここから3つほどのコブを越えて行く。カシワの林が続き、落ち葉を踏んでゆっくり前進。
最後のコブを越えるあたり、南東の眼下に米子自動車道が見える。足元にはマツムシソウが咲いている。
そして突然、道が踏み跡のように頼りなくなる。左下に林道が見えてきたが、ずいぶん高低差がある。林道までの距離と角度から判断すると、かなり急な斜面を下りることになりそうだ。
この下りは最悪だった。火山灰質だろうか、真っ黒な粘り気のある急坂はうかつに足を置くと滑る。注意深く角度を確認しながら、時には木の枝や、多くはササの細い茎に助けを求めて一歩づつ下りて行く。それでも、美しいリンドウやアザミに出会うと歩みが止まる。
ようやく傾斜がなくなり、予定より10分も遅れて穴ヶ乢に下り立った。
穴ヶ乢は朝鍋鷲ヶ山と三平山との分岐点でもある。
直進すると道は朝鍋鷲ヶ山へ通じる。そしてここは、左手にとって下って行く。踏み跡がわかりにくいところは、ピンクのテープが頼りになった。
「穴ヶ乢入口」の道標が立つ林道出合に到着。すでに迎えの車が待っていた。振り返ってシャッターを切る。よくもこんなところから出てきたものだと家族の不審げな顔。穴ヶ乢からは7分早く、登山口からは予定通り1時間40分での到着である。
車に身を沈めて蒜山方面へ向かう。その先に、凄まじい土砂崩れの跡を整備している風景。自然の物凄いパワーと脆さを実感させられる。
4.ついでに鏡ヶ成から鬼女台へ
その後は紅葉を求めてあちこちを移動。まずは鏡ヶ成で一時停車。象山を背負った「休暇村奧大山」と、東には擬宝珠山(ぎぼしやま)。西にはマッターホルンのような烏ヶ山。南の平原には緑の樹木が影を落とす。
蒜山側に戻って、鬼女台(きめんだい)から眺める烏ヶ山と大山の姿。雲が晴れた素晴らしい山容に見とれる。さらに戻った位置からの皆ヶ山。
近々に登山予定の皆ヶ山登山口を確認するために、蒜山キャンプ場へ立ち寄った。
駐車場から北に向かって進むと、突き当たりに皆ヶ山への道標が立っていた。
皆ヶ山の説明板があり、その奥から始まる登山道を確認して帰路につく。