東山登山口への階段、「文学のこみち」の碑のそばにある「石井十次の妻 内野品子の墓」の案内板は以前から気になっていた。今年初めての山歩きの今日は急ぐことは何もない。ちょっとお参りすることにした。
「石井十次の妻品子と子供たちの聖地」の石柱が立ち、岩盤を切り出した碑に石井十次の最期の唄が刻まれている。明治時代の慈善事業家で岡山孤児院を創設した石井十次は、その支援者であった大原孫三郎や児島虎次郎と共によく知られているが、幼馴染みで結婚した品子さんのことは知らなかった。一段奥に、品子さんの墓と岡山孤児院の墓が美しいレリーフ「この子等の願い天までとどけ」を挟んで建つ。
1.東山登山口から操山山頂を経て旗振台展望所へ
登山口へ着いて、今日は左側の緩やかなルートを登ることにする。しばらく行くと右回りの短縮ルートとの合流点へ出る。
少し進むとソロプチミストの森。案内板と東屋が建つがソロプチミストを表すものはない。
左手に大きな岩が点在している。それを過ぎると三勲神社跡だ。以前に書いたが、ここには和気清麻呂、楠木正行、児島高徳を祀る県社があったが、今は玉井宮境内に移されている。連日の寒さが和らぎ、東屋の温度計は8℃を指している。
三勲神社の碑と風景の案内板。木々が繁って見通しは良くないが岡山市中心街を望むことができる。
三勲神社跡を後にして操山山頂方面へと進む。カナメモチやアベマキが繁茂した尾根道を行く。澄んだ空気、木洩れ日が心地よい。
階段の道になり右側に大きな岩が現れる。落ちそうで「落ちない石」と呼ばれる大岩である。
岩と地面の隙間に飾られている福印の人形たち。傍の木には「落ちない石」についての解説や効能やらが吊されている。いつの間にか「夫婦円満・縁結び」なんてのもぶら下がっているぞ。
カナメモチのトンネル道は異次元へ通じるタイムトンネルのようだ。
長い坂道にはドンゴロスの土嚢が並べられてとても歩きやすい。保全をしてくださる人たちに感謝だ。切り株に超ミニ新幹線が停車中。運転しているのはスヌーピーか?
操山山頂に到着した。山頂のカップルに挨拶して三角点を撮影。
ここから旗振台へ向かうのだが、その前に萩の塚古墳へ寄り道。
萩の塚古墳から明禅寺城跡方面への道は、「落石の危険で進入禁止」の掲示がありトラロープが張られている。元に戻って旗振台を目指す。
旗振台展望所に着いた。のんびりとやって来たので、いつもよりかなり時間が掛かっている。東屋の向こうの陽ざしが降り注ぐベンチで3人が食事中。風景を眺めていると若い女性がやって来た。ここは、いつも人が絶えることはないようだ。
2.円山不動明王から笠井山へ
旗振台から八畳岩側へたどると、5分ほどで右側に「三畳岩展望所 30m」の道標があり立ち寄ってみる。南側に切り取って間がない雑木が散乱していてラッキー! すっきりと眺望が開けて、旗振台より広範囲を望むことができる。ただ、今日は花粉が飛散しているようで風景は霞み、鼻がモゾモゾ。
八畳岩古墳を通り過ぎて金蔵山古墳の方へ下りる途中、同年代の男性と出会いしばらく話し込む。円山から旗振展望台までを40分で登り、帰りは20分で園芸連側を下る合計1時間のコースを、毎週2~3回やっていらっしゃるそうである。羨ましい場所にお住まいだなぁ。
少し下ると、左手に舗装道路が延び案内板が建つ場所に出る。そこから、これは金蔵山古墳への道と思われるのだが、写真右の右側に上がる山道は通行止めのロープが張られている。
円山側へ進むとすぐにベンチのある広場が見えてくる。丸太と竹を組んだベンチが5台設置されている。いつものようにここで昼食をとる。
再び円山の方へ歩くのだがここは要注意。気づかずに進むと円山地区へ下りてしまう。「不動尊 380m」の道標と「右不動尊道」の石柱がある位置を左折して進む。
左下に池が見えると間もなく円山不動明王に到着。ご本尊の不動明王が祀られる御堂に参拝する。
御堂の正面を上がると道が交差している。「ゴロゴロ大師・笠井山山頂」の道標を確認して進む。
雑木林が竹林に変わるあたりに立つ道標で進行方向を確認。ここには二組の道標があり、黄色の小さい標識が指す「笠井山」へと向かう。ここから笠井山までは約500mである。右へ下ると曹源寺へ下りることもできる。
ここからがコース一番の急坂で、適当に足を止めながら登って行く。分岐道標「笠井山山頂 300m」に出会うと急坂は終わりだ。その先に「就実・森の学校」の標札が立っている。
最後の坂を登ると笠井山の山頂に到着だ。立派な風景案内板が設置されているのに、相変わらず雑木が茂っていてまるで展望は効かない。ここで先着の男性とのんびり話に花を咲かせることになる。時間を忘れての話、あちこちの山の話題や世間話、楽しい時が流れていく。
3.就実・森の学校~吉備津岡辛木神社から海吉中村公会堂へ下山
男性と連れだって下山にかかる。就実・森の学校の標札周辺は間伐と植林が進んでいる。豊かな森になることを期待したい。男性とは途中で別れて、下山路を森の学園の方へ下りてみた。昔は同学園のグランドであった場所に事務所や作業所と思われる建屋が並んでいる。周辺の竹林から切り出された竹や雑木が積み上げられ整理されている。竹はチップに加工したり牡蛎筏の材料として販売しているそうだ。また竹炭も製造しているらしい。
来た道を登り返して道標まで戻り辛木神社へ向かう。
何台かの車と行き違いながら舗装道を下りて行く。東に芥子山(けしごやま)が見えている。
吉備津岡辛木神社に到着した。大勢のお年寄りが参拝に訪れていた。それを待って参拝しようとしていたのだが、最後の二人が賽銭箱を挟んで階段に腰を下ろして動かない。しかたなく「ごめんなさい」と挨拶してお賽銭を納め、二礼二拍手一礼をする。ところが、最初の二礼に合わせて、お二人が自分の方へ深々と頭を下げる。二拍手中は最敬礼。終わりの一礼に合わせて「ご苦労様でございました」の合唱。いやはや「恐れ入りました」。
参拝を済ませるとベンチに先ほどの男性の姿。またしばらく話して、帰りに同行していただくことに。で、ここからの下山路は今回初めてのコース。いつもは「詩の小径」を通って長い車道を歩くのだが、今日は畑の土道に入って行く。わずか6~7分で海吉中村公会堂脇に下り立った。すごい短縮ルートだ。
倉安川に沿って歩き、海吉バス停近くで男性に別れを告げる。楽しい道中をありがとうございました。
今回の体調確認ルート歩きも、その後に異常なし。翌日は体が軽くなったように感じている。これなら、どうやら活動を開始できそうである。