1.備中高松駅~備中高松城址~最上稲荷
新年を迎えて皆さん元気いっぱい。備中高松駅に着くと、駅前の線路沿いの道路を右へ進み、踏み切りを渡って道なりに行く。
5~6分歩くと備中高松城跡に着く。今はゆったりとした公園として整備されている。高松城水攻めで有名な城趾だけあって、入口に本丸と水攻め堤防の高さを図示している。本丸の高さ7.0mに対して堤は8.4m、これではかなわない。わずか11日という短期間でこの高さの堤防を築いたのだから驚きである。大河ドラマで活躍するカッコいい軍師・黒田官兵衛の姿が目に浮かび、その策略と采配でこの地が水没したのかと思うと複雑な気持ちだ。
本丸跡には案内板が立ち、付近には激動の戦国時代にあって忠義を貫いた武将、清水宗治の首塚や辞世の歌碑がある。
のどかな初春の田園風景を行く。すでに遠くなった備中高松駅の方に、どっしりとした最上稲荷の大鳥居が見えている。
城跡を回り込んで吉備高原自転車道に出た。戦前に備中高松駅から稲荷まで走っていた鉄道の廃線跡で、まっすぐな道が延びている。30分ばかりで石鳥居が見えてきた。
表参道のアーケードへ入って行く。境内までの門前町は新年を迎えて華やいでいる。しゃれた感じの喫茶店や土産物の店が軒を並べる。
仁王門をくぐって石段を上がると本殿の霊光殿。大きな注連縄が掛けられた神仏習合の寺である。線香の煙が立ちこめる中を参拝して、東の渡り廊下の方へ移動する。
坂道を行くと朱に囲まれた縁の末社があり、さらに上がると旧本殿の霊応殿である。参拝して山歩きの準備を整える。
2.登山口~龍王山山頂
登山口は奥の院への参道口でもあり、旧本殿がある境内のトイレ右の石段から始まる。少し上がると本滝があるが今回はパス。龍泉寺への分岐を過ぎてまた石段を登って行く。
題目岩まで登ってきた。高さ8mの大きな岩にお題目が刻まれているのが名前の由来で、右の岩には鬼子母神が彫られている。
石段と岩を積んだ参道を行くと五丁塚があった。
緩やかな山道の先に八畳岩への分岐が現れ、左折して坂を上がって行く。
ここが八畳岩だ。岩の上部は畳が八畳敷ける広さがあるためこの名が付いたといわれる。白狐に乗った最上位経王大菩薩が降臨したとされる霊地である。モヤってはいるがここからの眺望は素晴らしい。備中高松城跡のあたりもよく見える。大鳥居に少しだけズームで寄ってみた。
八畳岩の下には祠がある。下から見ると岩の大きさがよく分かる。八畳岩から引き返すあたりに、清水の湧く巌開明王(がんかいみょうおう)が祀られていた。
山頂まではもう少し登らなくてはならない。石積みの階段を登って行くと傾斜が緩やかになり、広場にコンクリートの塔が見えてきた。戦前には旧本殿あたりからケーブルカーが走っており、塔の南東の雑木林の中に「奥ノ院駅」があったようだ。
鳥居をくぐった先に一対の石灯籠が建ち、そばの石柱には「稲荷山奥之院一乗寺」とある。下の本殿は妙教寺、ここから上は奥の院一乗寺なのだ。
次の石鳥居をくぐって、また石段を上がって進む。
ついに一丁塚である。あと少しで山頂だ。そしてまた鳥居をくぐる。
参道の左右に表情が異なるお狐さん。これは備前焼なのかな?3年前に訪れた時は赤い前掛けだったのだが・・・。
参道には「南無妙法連華経」と刻んだ石塔が並ぶ。「荒瀧天王」の扁額を掲げる鳥居をくぐって最後の階段を登る。
一乗寺本堂にお参りして小休止をとる。右の岩の上には鐘楼が建つ。
山頂一帯にも「南無妙法連華経」を刻んだ石塔が林立する。ひときわ大きな石塔に「八大龍王」と刻まれている。
山頂三角点は少し離れた社務所の裏にある。付近からは龍ノ口山・芥子山・操山など東の山々を望むことができる。
3.龍泉寺参拝と昼食
往路を5分ほど下ると右に龍泉寺への分岐があり、広くて緩やかな下りが続く。
分岐から7~8分で最上本山龍泉寺の裏門に着く。入るとすぐ、左手にずらりと並ぶ石仏に圧倒される。六道地蔵菩薩である。
右には大きな龍王池が美しく、その手前を右折すると鯉岩があった。
少し進むと大きな八大龍王の碑がある。その先には「こい岩湿原」が広がり、5月下旬にはトキソウ、8月中旬にはサギソウが咲くそうである。
釉薬瓦が美しい拝殿に参拝する。ここも神仏習合で、日蓮宗最上教派の本山であり、最上位経王大菩薩(最上様・お稲荷さん)、八大龍王(水の神様)、鬼子母神(子供の守り神)、三面大黒天をお祀りする。正式には「最上本山 御瀧 龍泉寺」と呼ぶ。寺務所脇には樹齢250年の「龍神の松」がある。
昼食は龍泉寺の休憩所を利用させていただいた。ゆったりとしたテーブルと椅子があり暖房が効いている。お茶の接待もあり、みんな和気あいあいでくつろぐことができた。壁には湿地や野辺に咲いた山野草の写真が飾られている。帰り際には、コインボックスにお礼の寸志を忘れないように! 引き続き御滝へと下りて行く。
龍の口から滝が落ちる。御滝本殿がありここで滝行が行われる。一般の人も体験できるが、私は見テルダケにしたい。
4.下山そして帰路に
下山は、来た道を引き返すとほどなく三差路に出合う。右にとって緩やかな坂を下るが、ついついスピードが速くなり後から「ハヤスギル~」の声。ちょと止まって、また急ぐ。20分足らずで奥の院分岐に着いた。
奥の院分岐から10分ばかりで霊光殿に帰着すると、境内はたくさんの参拝客でにぎわっている。そして、ここで今回の山行は解散、あとは自由行動となる。
「お疲れさ~ん!」、門前町で買い物をする人、稲荷健康センターで温泉に入る人。何にもしない自分は数人の男性と共ににぎやかな通りは避けて、池の縁を回り込み畑中の道を通って駅へと向かう。
オヤッ、あれは何だ? ふ~む、何だろう・・・万年筆かな。 というわけで、早々と備中高松駅に帰着した。
今年も楽しい山歩きでスタートだ!