1.到着~千軒平登山口
岡山駅前から3時間弱、自然観察会の参加者を乗せた満員バスが森林公園駐車場に着いた。ここで降りて、管理センターの方へと移動する。
道ばたにトラノオが花をつけている。河原にはウバユリがたくさん咲いている。まだどれもこれも蕾の状態だが、成長するにしたがって茎の上部で横向きになるのがおもしろい。このウバユリ、花が満開になる頃には葉が枯れてしまうので、歯(葉)のない「姥」にたとえて名づけられたそうである(Wikipediaより)。
入り口にはにぎやかで楽しい標識が立ち、どっしりとした石に園名が彫られている。
管理センターの前に受付があり、ここで参加手続きをすると説明資料とブックマーカー(ギンリョウソウがプリントされている)をもらえる。事前に予約した弁当をゲットして、管理センターで準備と時間調整をする。
10時20分頃から「からまつ園地」へ移動。元気そうな相棒は、今回は「ぶなの平コース」へ参加するので開会式後は別行動になる。開会式に続く班編制で、千軒平に登る自分は、昨年お世話になった藤木先生の班に所属すべく立ち位置を調整する。
2.千軒平へ
10時40分に出発。からまつ園地の先の草地には、雑草に混じってユリ科のコバギボウシが群生している。
その先には、白いチダケサシの群生と、黄色が鮮やかなオトギリソウ。
穏やかな遊歩道を、先生の説明を聴きながらゆっくり進む。優雅なキカラスウリの花が咲いている。
次は、花が上下二段になったヤマホトトギス、特徴のある姿だ。遊歩道脇には、あちこちにナツツバキの木があり、少数の白い花が落ちていた。
千軒平登山口に着いた。急坂を少し進むと、気持ちのいい緩やかな山道になる。
ツルアリドウシの花だ。先端に白い小さな花を2つ咲かせるのが特徴。このキノコは何だろうか、わからない。
木々の下で小休止して、森林公園の自然について耳を傾ける。続いて根っこ道を登って行く。
ブナの巨木を取り囲んで小休止。幹に耳をあてている人も・・・。昔、たしかテレビで、木に聴診器をあてているのを見た記憶がある。これだけ大きな木になると、風や鳥の声や葉っぱのざわめきや、いろんなものを集音しているのかも知れないなぁ。
もみじ滝分岐に着いた。ふかふか落葉土にエレガントなキノコ。ここから山頂までは、ひたすら急坂を登ることになる。
3.千軒平山頂にて
もみじ滝分岐から汗をかきながら15分ばかり、12時12分に山頂へ到着した。が、今回もガスがかかって見通しは悪い。蒜山も大山もまったく見ることができない。
子供が絶壁らしきところに腰掛けてお茶を飲んでいる。あまりの大胆さに、ずっと離れた位置からお姿をちょうだいする。さて、昼食は「うまいもん工房」がこの日のために準備してくれた「なごみ弁当」。煮込みご飯と山菜など自然の素材を活かしたおかずは、最高に旨い。
食後は周辺の花を観察。紫色の唇形の花弁が密集したウツボグサ。白い筒状花が集まって咲くキク科のヨツバヒヨドリ。
あちこちでお馴染みのかわいいニガナ。定かではないのだが、左遠くに見えるのは泉山(いずみがせん)、手前は森林公園内のキタケ峰だろうか。
樹林が美しい。北方向への道を進むと「もみじ平」に行けるが、ここでUターンして下山する。
4.もみじ滝経由での下山と園巡り
道の両側にアカモノ(イワハゼ)がたくさん実をつけている。先生のお話にしたがって赤い実を食べてみた。すっきりとしたやわらかな甘みがあり、おいしい。このアカモノ、もとは赤い実であることから「アカモモ(赤桃)」と呼ばれていたのが訛った末の名前とか。
下りかけると第一班のメンバーが登ってきて、「この実をもう食べた~?」。「はいはい、たんと食べました」。この一帯はウリカエデで空気が緑に染まるようだ。
もみじ滝分岐に戻ってきた。足下にはカップルのキノコ。
もみじ滝分岐にはブナの木が林立している。その落ち葉が、キノコや植物の種を育むフカフカのベッドになっている。ここからは、もみじ滝を経由して下山する。
途中の坂道に、壊れたタマゴタケがあった。故意に壊したのでなければいいのだが。
もみじ滝は水量が少なかった。この谷の木々が成長して茂ることから、小さな木の成長が抑制されているらしい。
もみじ滝をしばらく観てから下山し、遊歩道に出た。
オタカラコウ湿原を通過する。葉がフキに似ていて、花期には黄色い花をつけるそうである。
ぐるりと周回して、千軒平登山口に戻ってきた。何の木かわからないが、部分的に紅葉しているものがある。
六本杉を観るため小高い丘に登る。進入路の付近にヤマボウシが咲いていた。
高さ33m、推定樹齢200年の見事な大杉だ。6本の杉が、遠くから見ると1本の木に見える。そのうちの1本にきれいな穴が穿たれている。ゴジュウカラ(五十雀)の巣だとのこと、穴の内側を土で塗り固めているそうだ。
「たたら遺跡」をたどって下りてくると、推定樹齢500年の「大ヤマザクラ」の姿。苔むした巨木の周囲を明るい若葉が取り囲む。
管理センターへ戻る途中で会った朽ちた巨木。昨年の台風で折れたとのこと。名前を聞いたのだが、うかつにも失念してしまった。