1.森林公園管理センター~六本杉~奧ぶなの平
森林公園は毎回このカットで始まる。まむしの絵が妙にリアルだ。毎々お世話になる森林公園管理センター、まだ火の入った暖炉の脇で熱々の「あさどり茶」をいただいて準備を整える。
9時35分に管理センターを発つ。山登り組と山麓散策組の二手に分かれての出発。自分は山登り組で、まずはゆっくり歩きながら「からまつ園地」を通り過ぎる。
思わず「ラッキー!」。もう終わっているとばかり思っていたミズバショウ(水芭蕉)と対面できた。純白の仏炎苞(ぶつえんほう)をつけているのは一輪だけだが、これは嬉しい。葉がびっくりするほど大きくなっている。その先には、リュウキンカが黄金色に輝いている。
森の小径をハイキング。「たたら遺跡~六本杉」の道標を右折する。
入り込むとすぐ左側に朽ちた巨木。2013年の台風で倒れた大木の名残、今回も確かに君を確認した。すぐ奥の右手には、推定樹齢500年の大ヤマザクラが踊っているようだ。
白いスミレのようなのが沢山咲いている。花がピンぼけ状態なのだが、葉の形状からツボスミレの一種ではないかと思われる。隣りに純白の小さな花をつけたのはチゴユリだった。初めての出会いだ。
六本杉に到着した。カラマツ林に囲まれてそびえ立つ樹高は33m、園内のあちこちからその姿を展望することができる。
ユキザサが咲いている。六本杉から5分ばかりで「ぶなの平 720m」の道標。
渓流に沿って木洩れ日の下を行く。3枚葉の中心に、緑色の3枚がくの小さな花をつけたエンレイソウが咲く。
「根曲り杉 180m」の道標あたりから傾斜がきつくなる。木段が続き、ゆっくりと登って行く。
根曲り杉に着いた。なるほど、曲がっている。再び木洩れ日の下をハイキング。
すずのこ平への分岐に着いた。ぶなの木立に囲まれて実に気持ちいい。すぐ左下に「奥ぶなの平」の標柱が立つ広場があり、皆さんがひと休みしている間に駈け下りてきた。
2.すずのこ平へ登る
深呼吸の後、すずのこ平に向けて出発。緩やかな上りをこなして行く。
すずのこ平が近づくと、その名に相応しくすずのこ(チシマザサ、ネマガリタケ)が群生している。ネマガリタケって、焼いて食べると旨いんだよね~!
避難小屋があり中を覗いてみる。ゆうに数名は暴風雨を避けられそうである。道は平坦になり、山頂はすぐそこだ。
こんな道標が見えてすぐすずのこ平に到着した。標柱の立つ山頂広場で小休止をとる。
北西には伯耆大山から蒜山が見える。少しモヤがかかってはいるが、雪をいただいた大山にズームで寄ると、その左に烏ヶ山も明瞭だ。
北には鳥取県の山々から倉吉市や北栄町の町並み、さらに日本海までを望むことができる。ズームで寄ると北栄町の風力発電のプロペラも見える。
東の方向には山脈が連なるが、残念ながら山名を特定できない。先ほどやってきた道を見返すとまるで平地にいるようだ。
3.県境尾根をもみじ平へ
ここから県境に沿っての尾根歩きが始まる。といっても、ブナやナラなどの木々やチシマザサの群生で眺望はあまりよくない。まずは緩い下り坂からのスタートだ。
葉も花の形もイワナシそっくりだが、イワナシの花はピンクなのにこれは緑の蝋細工のようで、何か判らない。もみじ平への道はとても整備されていて歩きやすい。
急坂を下り、奥ぶなの平との三叉路に差し掛かった。体調に問題があれば、ショートカットして奧ぶなの平へ下りて管理センターへ直帰できるが、申し出は無し。元気にもみじ平へ向かう。
写真左は三叉路通過直後の様子で、きつくなった陽差しの中を元気に行進。10分ほど進むと木々が繁る居心地のよい場所にたどり着き、時刻も11時50分頃なので昼食にしようということになった。
写真右は食事と休息を終えての出発風景。食事になるとカメラを放り出して、楽しい昼食風景を撮り忘れるお粗末。美味しいコーヒーなどをご馳走になったのだが、トホホ。
実は昼食後、鳥の声に聴き入っていたのだった。高い音色で少しばかり硬い声で、ピーピッピとするどく鳴く。大勢で賑やかな状況をものともせずにである。しかも、仲間の女性の一人が「おいで、おいで」と声をかけると、それに呼応するように鳴く様子が、とても面白かった。
「これはイワガラミですヨ」、山野草に詳しい女性に教えていただく。一見すると木の葉が茂り開花前のアジサイのような蕾がついている。「5月下旬から6月の始めに白い花を咲かせて、木が真っ白になります」。よく見ると、何と、ノッポの木にぐるぐる巻き付いている。蔓性で高木や岩崖に絡みながら10m以上も這い上るそうであり、それが「岩絡み」と呼ばれる由縁とか。ぜひ開花の様を眺めたいものだ。一帯にはネマガリタケがびっしり生えている。
じりじりと太陽が照りつけて、かなり気温が上がってきたようだ。しっかりと水分を補給しながら前進。と、小さな避難小屋が現れた。
間もなく県境三叉路に到着した。ここも、かえで園地を経由して管理センターまでをショートカットすることができる。深雪の影響だろうか、ブナの大木が大きく歪んでいる。
長い傾斜がジワリと足腰に利いてくる。登りつめたところから振り返るとすずのこ平の悠然たる姿。すぐにもみじ平に到着した。
もみじ平には公園作業職員用の避難小屋があり、「緊急の場合はご利用ください」と掲示されている。眺望がきかないので2分ほどの小休止で出発。かなり疲労が蓄積されているはずだが、先頭のピッチはまったく落ちていない。もみじ平から11分で「千軒平 340m」道標を通過する。
もみじ平から21分で最後のピーク千軒平に到着した。時刻は間もなく13時半、快晴だがガスが出てきた。
東の下方には六本杉(円内)、南西側をのぞき込むと県道116号が見えている。
〔大パノラマ〕
いくら見ていても飽くことのない山頂風景。
(南東方面)
(西方面)右遠くに大山。
4.もみじ滝を見て下山
中央園路への分岐を通り越して、千軒平から18分ほどで「きたけ峰」分岐まで下りてきた。未踏のきたけ峰は森林公園の最高峰(1,108m)で、これはまたの楽しみにしてもみじ滝へ向かう。
再び豊かなブナ林を抜けて、木段のある急坂を下りて行く。下り進むと遠くから渓流の音が聞こえてくる。
音がしだいに大きくなって滝上部の渓流と出くわす。さらに急坂を5分、もみじ滝に着いた。
遊歩道に出て、右におたからこう湿原を見ながら歩く。
左側には、ほころび始めのレンゲツツジの朱が点在する。やがて「からまつ園地」の前を過ぎて管理センターに帰着、山麓散策組の仲間と合流する。
帰りは少し回り込んで奥津温泉・日帰り温泉「花美人の里」に立ち寄り、ゆっくりのんびりと汗を流す。湯上がりはビン入りの蒜山酪農カフェ・オ・レで元気回復!