1.三石駅西の登山口~城山山頂
登山口は見えたが駐車場が見当たらない。行きつ戻りつしたが、そこはそれ、しかるべき場所に安全に駐車して出発する。登山口の標識を取り付けたフェンスに沿って進むと、階段が見えてくる。
階段の手前には「三石城址案内図」が設置され、ここで今日のコースを山頂から引き返すか北へ回り込んで周回するかの談。ま、山頂で時間をみてからにしようということになり行動開始。コトンコトンと山陽本線を貨物列車が通過する。
あらためて「三石城登山口」の立て札が現れると、その先から急登が始まる。
間もなく第二見張所になる。三石城跡が三石八景であることと、簡単な歴史についての解説板が立つ。
第二見張所から7~8分、かなり高度を稼いでいる。南には堂々たる禿げ山の姿。これは蝋石の山で百年を超えて砕石しているらしい。耐火煉瓦の材料として、はたまた化粧品や製紙から陶磁器まで幅広い素材として利用されているそうである。その手前には県道と金剛川が蛇行する。
この道は7年前に歩いたことがある。その時は今回とは逆に山頂から下山したのだが、落葉が積んだ急坂に足を捕られて二度も転倒した。ところが今回の山道は手を合わせたいほど整備が行きとどいている。各所にトラロープが張られ、危険な場所には鎖まで張られている。以前には無かった階段もそれとなく設置されている。感謝だ!
ふ~む、「息つぎ井戸」とあるがわずかな窪みらしきものだけで水の気配もない。これはどうしたものか。周辺は落葉がふかふかに積んでいる。
「本丸跡への近道」の道標を見たとたんに熱気が走る。「ようし、近道だ!」とパワーアップ。
石垣が現れた。このあたりが城の入口にあたるようだが、石垣の上には何も認められない。周囲が明るくなった階段をひと息に登る。
道の左下に、細長い広場が拓けている。これは馬場跡である。それにしても、ここまで登って来た馬はアッパレである。その先が二の丸跡だ。
どの城も概ね、曲輪だの石段だので複雑かつ高低差が大きいものだがここも例外ではない。最後の階段を登るとようやく本丸跡に到着、山頂である。
中世の山城でありながら、しかも急峻な山頂にあってなお城跡の地形が明瞭に残っている。地形図から適所に4つの井戸が設けられていたことが分かる。風もなく静穏な山頂だが木々が茂って眺望は今ひとつだ。
ガスバーナーが燃えて熱いコーヒーがふるまわれ、H夫人ご持参のプチケーキと手作り菓子をいただいて頬張る。最高にハッピーなひと時である。
2.展望所~三石城址登山口
快調に登り進んだので周回コースを歩く時間は十分にある。北へ向けて出発。左向こうにこれから出かける天王山が見えている。
本丸跡から下りかかるとすぐ、深い堀切がある。かくも厳しい高所にあってなお万全の防御を構えていたことがわかる。
5分ほど進むと出丸の鶯丸跡がある。北からの攻撃をいち早く発見できたに違いない。やがて送電鉄塔保守路の標識が立ちその先の送電線の下を通過しながら、地図上で位置を確認する。送電線は現在位置を見極めるのに最適なマーカーだ。
泡雪が降ってきた。風がないので小米桜の花びらが舞っているようだ。そういえば小米桜はユキヤナギの別名だったな、なるほどなどと独り感じ入る。それを見ながら「今日はお土産付きだなぁ」「家にいたら寒くて外出できんだろうなぁ」の声、みんな表情が緩んでいる。
第二展望所に差しかかるが風景は煙っている。小豆島も屋島もベールの向こう。
やがて第一展望所。播州方面は山脈も何も見えず、しだいに足元が白くなってくる。こんな山道、気持ちがウキウキしてきます。
しだいに降雪が増しているようで近くの山も茫洋としている。どうやら天王山は行き過ぎてしまったらしいと感じる。ところどころに残雪が積んでいる。
いやはや、とうとう雪中山行になってきた。これは楽しい。が、ヤレヤレ、天王山をパスして車道まで下りてしまった。山道口に「備前三石城史の研究」の碑が立つ。
すっかり白くなった車道を行く。静かさが鼓膜に響くようだ。
北側の登山口に出た。「三石城址登山口」の碑があり、南の登山口で見たのと同じ案内板が設置されている。
3.深谷(みたに)の滝~登山口
10分少々で深谷公園に到着する。ここには備前市指定名勝の「深谷の滝」がある。
「靇神社」の扁額がかかる石鳥居をくぐって滝へ向かう。右の写真はもっとも高い場所から眺める雄滝。
下の方から観ると滝は二段になっている。高さ13m、幅3mの雄滝があり、滝壺に落ちた水はさらに雌滝となって流れ落ちる。滝の左側にある祠が靇(おがみ)神社である。
すっかり牡丹雪に変わった里は暖かくさえ感じられる。耐火煉瓦の貯蔵所は絵画のようだ。やがて三石駅前を通り過ぎて、登山口付近に駐めた車へ戻り着く。めったに見られない山・里・滝の姿に大満足、寒さはどっかへ置き忘れてきたようだ。
〔で、それから・・・〕
下山したのはちょうど正午ごろで、昼食にカキオコを食べようと日生地区の五味の市へ向かう。ところが、休日なので半端でない人出でどこもかしこも待ち行列。それではと、機動力抜群の当会は備前日生大橋にハンドルを操る。鹿久居島を通り越して頭島まで走り、定期船乗り場近くの「お好み焼・ふみ」にてゲット! 熱々のカキオコに舌鼓を打った次第。