名 称

たかしみずこうげん~はくしゅうざん(たかしみずとれいる)

所在地

岡山県苫田郡鏡野町

標 高

950m~1,046m

山行日

2021年11月10日

天 候

曇り時々晴れ一時雨と霰

同行者

「大山、立山の会」の仲間たち

アクセス

車で人形峠駐車場へ

マップ

    
    

このマップは、国土地理院の電子国土Webシステムから提供されたものを使用しています。

コース概要

人形峠駐車場スタート 9:42清水 10:11高清水高原東屋 10:27~10:32高清水高原 10:40大畝山 10:58
池川山 12:04丸山分岐 12:13展望台(昼食)12:32~13:13霧ヶ原 13:41白州山 13:54~13:58
本谷登山道・赤和瀬駐車場分岐 14:05林道出合 15:09赤和瀬駐車場 15:27

    白州山からの下山は道草をしながらです。時間は参考にしないでください。
    ※人形峠駐車場と赤和瀬駐車場には清潔なトイレがあります。

1.人形峠駐車場~清水~高清水高原

 分乗した車を下山地点の赤和瀬駐車場に停めて、人形峠駐車場に集結したのは9時半頃。白い大屋根の人形峠原子力産業株式会社そばに「高清水トレイル」の案内板が建つ。岡山県鏡野町と鳥取県三朝町の県境に位置する全長8.7kmのコースで、山行所要時間は約3時間である。

 人形峠側からのスタートは「高清水トレイル」の案内標識から始まる。右側には道標と入山届ポストが設置されている。

 空模様を心配していたが青空が広がり「やっぱり日頃の行いがええ(良い)から」の声も。谷側に美しい紅葉を眺めながら歩く。

 右側に「弘法大師石像」の標識があり第二番札所と刻まれている。高野山真言宗の御紋がついた紫の袈裟を着けている。なぜこの像がここにあるのか、どこの第二番札所なのかはわからない。

 久しぶりにお目にかかる演習林立入禁止の掲示板。自然保護や研究・教育実習の意義は理解できるのだが、無用にガードを固めることなく、市民向けの情報公開やイベント開催などに努めてほしいものだ。舗装道路はこのあたりまででやがてウッドチップを敷いた道に変わる。

 左にはブナ林、右の谷側にはナラの木が多いようだ。終わりが近づいた黄葉の風景は閑かに美しい。

 足にやさしいウッドチップの道になった。緩やかな坂道をゆっくり歩いて清水を通過する。スタートから29分が経過。弘法大師石像からはちょうど20分で、その間の標高差は65.5mだから散歩のように楽な行程だ。

 高清水高原まで500m。少しだけ勾配が増したようだ。

 高清水高原手前の東屋が見えてきた。ここで小休止する。久しぶりにいただくHさん謹製の干し柿。中に自宅で収穫した柚子が詰められた逸品に舌鼓を打つ。気温はかなり低いようだが、進行方向には青空が広がり最高のハイキング日和だ。

 少し進むと円形方位盤が設置されている。雲が多くて遠方の山並みをスッキリ見通すことはできない。

 高清水高原に到着した。近くの山の落葉樹と常緑樹の絶妙なバランス。落葉樹がチングルマの綿毛のようだ。

2.大畝山~御林山~池川山

 高清水高原からは尾根歩きになる。まずは、少し急な下りから始まる。

 下りると平坦な道が延びる。積もった落ち葉を踏みしめながら進む。ここはブナに包まれた逍遥の道、木々の影を映す落ち葉のスクリーン、これはもう自然のプロムナードと呼びたいね。

 路傍には苔のスカートをはいて躍るカップルの木。それを眺める観衆の木々。

 大畝山手前の急傾斜を登る。丸太の階段が整備されていてとても歩きやすい。ゆっくり、リズムを刻みながら登る。

 登り詰めて振り返る。後方の空が暗くなっているのが気にかかる。南方向を見下ろすと、日本原子力研究開発機構の関連と思われる建物がたくさん見える。白く丸いのは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用する「上斎原スペースガードセンター」のドームである。「スペースデブリ」と呼ばれる地球の周りに漂う宇宙ゴミを観測するレーダーサイトで、650km上空にある直径1.6m程度の物体を検出できるという。2023年度からは直径10cmのものまで感知できる新設備の運用を開始するそうである。登山口は見えないが、ちょうどその向こうに隠れている感じだ。

 大畝山に着いた。三角点を確認してすぐに移動する。

 大畝山からはジグザグ道で高度を下げる。ここも丸太の階段が整備されていて歩きやすく、いつの間にか平地に下り立ったという感じだ。

 5分ほど進むとアンテナに出合った。電柱から3つの無停電電源供給器に給電されていることから、緊急通信用の受信設備かなと思う(勝手な推測です)。

 どこからか分からないが、西方向からここまで舗装道路がついていてここが終点になっている。眺望がよくて、日本海と鳥取県のずらりと並んだ風力発電施設を見渡せる。写真右に遠く見える左の山は蒜山だろうか。少し右の大山は雲に隠れている。

 ウッドチップを敷き詰めた平坦な道を歩く。左手に見える大パノラマは倉吉市から鳥取市のようだ。

 御林山まで700mの道標を見ながら高圧送電線の下をくぐって行く。階段の先にはブナの原生林が待っている。

 さっそく現れたブナの大木から始まるブナ林を観ながらの行進。ところが急に雨がぱらつきだした。レインウェアを着込んでいる間に霰に変わって、白い小粒がパラパラと飛び跳ねている。

 霰が雨に戻って霧雨のようになると、北の木々の間に虹が現れた。ぬかるんだ足下に気をつけながら、そぼ降る雨の中をゆるゆると歩く。

 ひたすら歩き、気がつくと池川山に着いていた。標高1,000m超えのピークに到着だ。しかし、御林山はどこへいった?雨に気をとられて山名標識を見逃してしまったようだ。正午になったところなので昼食にしようとしたが、雨が心配なので、屋根がある展望台まで頑張ることにする。仲間はみんな元気そのものだ。

3.展望台~霞ヶ原~白州山

 通り雨が去って陽ざしが戻ってきた。里山のような穏やかな風景の中を行く。すぐに丸山分岐の道標が現れる。

 展望台へはいったん下って登り直す。向かいの高台に展望台の建屋が見えてきた。

 ブナ林と笹垣の道を抜けた尾根からの風景は抜群。眼下に鏡野町の田園と民家が見える。背後の山並みは花知ヶ仙~妹山か。近くの緑の植林は杉か桧だろうか。落葉樹が薄紫の扇を挿したような模様を描いている。

 しだいに細くなってきた道を下り、登り返すと展望台だ。

 展望台から振り返った池川山からの尾根ルート。南には中央に尖った花知ヶ仙がそびえている。

 幸いにも天気が回復したので、昼食は展望台の外のテーブルとベンチでとる。ところが、風と寒さが半端でない。焼いたアマゴに炊き込みご飯、天麩羅盛り合わせにもアマゴが一切れ入った美味しい弁当なのだが、箸を持つ手がかじかみそう。苦労して点火したバーナーでお湯は沸いたものの、強い風でいつものコーヒータイムをもつこともできず出発することに。

 「ブナの谷頭」を抜けて急坂を下り、再び登り直す。

 下りの階段も歩きやすいので一気に下りて行く。次の登りはめずらしく石ころの道だ。

 平坦になったところで、白州山の方からやって来る30人を超えるグループと出会う。阪急交通社のツアー参加者の皆さんだ。間もなく霧ヶ原を通過する。周囲が平坦なので今ひとつ高度感はないが、コース最大標高の1,046m。

 杉の林に入った。杉落葉のあちこちにあるぬかるみを避けながら足を運んで無事脱出。

 ブナのゲートをくぐって最後の急坂を登る。

 突き当たりの道標にしたがって左折すると白州山山頂だ。

 白州山の山頂標識をカメラに収める。標高は霧ヶ原より1m低い1,045mでこれが今回最後のピーク。三角点標石にタッチする。

 真っ黒い雲が張り出した日本海側を眺めて下山を開始する。

4.白州山から赤和瀬駐車場へ下山

 最後に振り返った白州山山頂。少し下りると白州山を示すくたびれた道標を発見する。

 間もなく本谷登山道の分岐を通過する。ここからはひたすら下りるだけ。

 時折り雨がぱらついてくる。ブナ林がいっそう美しく見えるが、濡れた木段に足を取られないように要注意。

 標高差300mの下りに沿って右側に沢が流れている。途中に小さな滝ができていた。

 木の橋があり2個所に小さな徒渉もある。ザブザブと渡りたいところだが、寒いので丁寧に飛び石をたどる。

 道草しながらのんびりと下山。雨に濡れて滑りやすい岩場もあるので、慎重に下り進む。

 下りながら白州山のイワウチワの話題になる。イワウチワはどのあたりに咲くんだろう。このあたりにはないのかなあ。そのうちイワウチワに詳しい仲間が加わって、これもあれもイワウチワ。山側のいたるところに葉が繁茂していたのだった。今度は花のシーズンに白州山へ登るリクエストをしようと意気軒昂。

 かくして林道に合流する。と、「熊出没に注意!」の看板。今さらこんな掲示があってもクマッタものだ。

 途中に「大日如来」と個人の名前を刻んだ石碑がある。コースの最後を飾るのはファンタスティックな紅葉風景。

 そして赤和瀬駐車場に到着する。ようやくレインウェアを脱ぎ捨てて待っていた車に乗り込んだ。
 帰路も複雑な最短コースを走り抜けて古巣に帰着。久々にいっしょに歩いた仲間たちにありがとうを、そして運転の労をとってくださった方には感謝を! あらためて、とても素晴らしい山行をありがとう。