名 称

たつのくちやま

所在地

岡山県岡山市北区

標 高

257m

山行日

2017年11月19日

天 候

晴れたり曇ったり

同行者

なし

アクセス

宇野バス・原バス停下車

マップ

このマップは、国土地理院の電子国土Webシステムから提供されたものを使用しています。

コース概要

グリーンシャワー公園駐車場スタート 11:29賞田分岐点 11:51南展望台 12:03~12:06湯迫分岐点 12:16
龍ノ口山山頂(昼食)12:27~12:49湯迫分岐点 12:55浄土寺 13:16~13:23最明院 13:26
関白屋敷跡 13:28~13:30賞田廃寺跡 13:48~13:52日吉神社 13:56~13:59賞田分岐点 14:16
グリーンシャワー公園駐車場帰着 14:36

1.グリーンシャワー公園駐車場の紅葉

 宇野バスの原停留所で下車すると、旭川の向こうに秋色の龍ノ口山が見える。近くのコンビニで昼食や飲料を準備して中原橋を渡る。寒さに加えて風が強く、帽子を持って行かれないようにストラップをつける。橋を渡り旭川荘の方へ向かう。

 出発が遅かったのでグリーンシャワー公園駐車場には11時半近くに到着する。駐車場はすでに車が満杯状態である。

 周辺には落葉広葉樹や常緑広葉樹が混在しており、モミジバフウやタイワンフウの紅葉が美しい。

2.祇園コースを南展望広場へ

 ゆっくり歩きたかったので、駐車場南の一角から祇園側へ回り込む「祇園コース」を登る。南展望広場まで1.5km、龍ノ口山山頂までは2.3kmの行程である。

 山中の紅葉はまだ始まったばかりだ。色づき始めた葉はいっそう生き生きしているように見える。

 賞田分岐点を通過する。南の賞田廃寺跡から登るとここで合流する。展望広場まではあと600mだ。

 左側の展望が開けて金山から笠井山のあたりがよく見える。ここまでに何人ものハイカーと出会う。

 南展望広場に到着した。展望がきかないがテーブルにザックを降ろして水分補給、あたりを見回してすぐに出発する。

3.湯迫分岐点を経て山頂へ

 展望広場のすぐ先にベンチがあるが、ここも木立で風景が遮られている。これは何の木かな? 同じ枝についた同じ形の葉が、ランダムに黄葉しているのが面白い。

 いつの間にできたのか、山道の右にケルンがある。と、すぐ先の左側にももう一つ。これには「竜ノ口第一ケルン 2017」のプレートが結ばれている。

 毘沙門天堂のあたりもほんのりと紅葉化粧。南をのぞき込むと石塔が祀られているのだが、これは何だろうか。
 この毘沙門天は、岡山城を築城した宇喜多氏が鬼門の守りとして祀ったものだそうである。

 もっとも穏やかな散策の道が続き、紅葉のトンネルを下って行く。

 湯迫分岐点を通過する。帰りはここを下りる予定だ。

 山頂へ登り返す手前で南側の展望が開ける。南東には芥子山と遥かに小豆島が、南には百間川がめぐる笠井山と児島湾、その向こうに豊島や四国の山々を望むことができる。

 ひと登りすると龍ノ口山の山頂三角点だ。

 山頂の温度計は7℃だが、風が強いので寒さが身にしみる。周辺のテーブルやベンチには家族連れやグループが食事中。みんな寒そうだが、学生グループの賑やかな声に元気をもらいながら弁当を開く。

4.湯迫方面へ下山して散策

 学生グループが下山を始める。まだいくらも時間は経っていないが、今日は明るい風景を望むことができないので下山にかかる。学生たちは湯迫分岐を直進し、自分は左折して湯迫を目指す。

 このコースもよく整備されていて歩きやすい。紅葉を愛でながら下りて行く。

 ドングリの落ち葉が敷き詰められた道の広場には「伊木氏玄蕃頭幸賢之墓」が建つ。伊木家は岡山藩池田氏の筆頭家老を務めた家柄であるが、「伊木家岡山藩家老三万石、伊木玄蕃頭幸賢、分家伊木日向の二代目、寛永 19年12月8日跡目相続をし番頭(ばんがしら)五千石をおおせつかる。 延宝2年11月26日病死(43才)、主家池田家の安泰を願って岡山城の鬼門(うしとらの方角)にあたる竜の口山麓湯迫の地に埋葬されたと言い伝えられている」とのことである(「」内は湯迫史跡保存会設置の解説板から)。

 下り立った浄土寺は薬師如来を本尊とする天台宗の古刹で、境内には優しいお顔の如来像が立つ。太陽が顔を出すと背景の山の色彩が鮮やかになる。

 参拝して鐘楼の脇を進むと山門で、「天台宗 湯迫山浄土寺」とある。その先に「最明院」「関白屋敷跡」などの道標があり、出かけることにする。

 最明院の由来説明によると、鎌倉幕府五代執権北條時頼(1227~1263)が職を退き剃髪して覚了坊道崇と名を改め最明寺に閑居したが、民情を視察するために諸国行脚した時に「見明院」と呼ばれていたこの院に立ち寄ったことで「最明院」と呼ぶようになったそうである。
 すぐ近くに、松殿関白こと藤原基房の歌と、桜の宴で基房から歌を賞賛され「桜姫」の称を与えられた二人の歌碑がある。
     千年ふる をのへの小松 うつしうゑて よろつ代までの 友とこそみめ   松殿基房詠む
     夕はえの 桜とともに 舞い敷かむ みやこち遠き 君にしあれば     「桜姫」即興歌
 この桜姫、豪族子女にして御年13歳の時の即興歌というからびっくり!

 整備された階段を上がると「史跡関白屋敷跡」の石碑。

 解説板によると、「平安時代末期に、平清盛によって備前に流された関白藤原基房の配所跡と伝えられている」そうである。石囲い中央に立つ石碑には「関白松公謫居遺基碑」と刻まれている。

 湯迫温泉白雲閣の方へ戻り、岡山駅へ向かうためにバス停で時刻を確認する。

 しばらく待っていたが風が強く寒い。きれいな山を見ながら歩く方が快適だと判断して賞田廃寺跡へ向かう。

5.賞田コースを登り返して下山する

 賞田廃寺跡に到着すると、どうしてももう少し山を歩きたい。時刻は14時前だし、山に入ると風が気にならなくなるなどと考えながら登山口に着く。賞田分岐点を越えて下山すれば、グリーンシャワーの森までは2kmほどだ。

 気持ちのいい落葉の道を歩きかけると、左側への道が現れて鳥居が見えるので踏み込んでみる。

 ひっそりと建つのは日吉神社だった。陶器の狛犬が守りを固め、境内は清掃が行きとどいている。落ち着いた地味な感じが好ましい。ここは鳥居の外から参拝させていただいた。

 このコースもよく整備されている。しかし、以前は何ともなかった坂が実は急坂であったことに気づく。これは、体力が低下しているということだろうか? 前回ここを歩いたのは2011年だから・・・、と考え込んでしまう。自分の体力をはっきり確認させてくれるのも山歩きの効用だ。

 右折の道標を過ぎると間もなく賞田分岐になる。

 やはりこのコースを登り返して良かった。登りとはまた違った風景に出会える下り道。樹種の豊かな天然林のぬくもりを感じながら歩く。

 14時半過ぎにグリーンシャワー公園駐車場へ戻ってきた。車が出入りしているが、到着時と変わらず満杯に近い状態だ。今回もたくさんのハイカーと挨拶を交わした。身近で山歩きを愉しむ人が多いこと、この山を大切に楽しむ人が多いことを改めて感じている。