1.登山道入口まで
岡山駅から45分ばかりでJR寒河(そうご)駅に着いた。駅を北にとって、国道250号の宇野バス停留所「寒河」の付近を横切る。
旧道に突きあたるまで進んで左折すると、右手に八幡宮の石柱と注連縄が見える。左手前に登山道への道標が立っている。
注連縄をくぐり、まずは八幡宮に参拝する。三ツ池からの沢歩きが滑りやすいと聞いていたので、山行の無事をお願いした。
2.山頂に向けて
本殿を裏に回り込むと左側に登山道の標識がある。入っていくとなだらかな石段が続く。
100mを過ぎたあたりから石クレの道に変わり傾斜がきつくなる。ピンクのテープと岩の赤ペンキのマークが進路を誘導してくれる。
両側を木々が囲むトンネルのような道を過ぎると岩場になり、急坂にはロープが設置されている。
ここまで4カ所のロープがある岩場を越えた。登山口からちょうど30分が経過している。道端に「天狗山頂上まで1.2km」の案内板が見えてきた。
その案内板のすぐ上からの眺望。遠くに日生港が見える。さらに進んで行くが、ガイドブックにのっていた「アンテナ中継所」がなかなか見えてこない。もう六合目あたりではないかと思いながら前進する。
少し離れたところに綿毛のように白い花をつけた木が美しい。すぐ先のテープがついた木に、赤で「六合目」と書かれた板がぶら下がっていた。
大きな岩場に出た。赤丸のあたりに立って南を望むと、瀬戸内の島々と山とが重なり合って、海が川のように伸びている。
20分ほど登ると370mピークである。道の右脇に「小天狗」の案内板が吊されている。
しだいに山道が険しくなりやや疲れてきた。すでに1時間以上歩いているので小休止をとることにした。何の花だろう、純白の小さな花がブーケのように咲いている。
これは驚いた。休憩していたのは山頂の直下だった。崖を何歩か登ると山頂だ。
六合目を越えたあたりからシダやイバラに悩まされるのではと思っていたが、杞憂に終わった。どうやらゴールデンウィークに備えて山道脇の刈り込みをしたようだ。実に快適に登れたが、時期によってかなり様子が変わるのかも知れない。
岩場の上には四等三角点が埋め込まれている。
山頂から南の小豆島方面を望む。そして東側の展望。
西には熊山を望むことができる。大きな岩にリュックを立てかけて小休止だ。
周囲を眺めると360度が見渡せる。展望が良いことから、かつては大阪の米相場を旗振りで伝達するための中継地点になっていたそうだが、なるほどとうなずける。
3.三峰越えで三ツ池へ
西への下山路を道標にしたがって下り始める。これから3つの峰を越えて三ツ池を目指す。道標には「三ツ池 1,500」とある。両側を雑木に囲まれた尾根道で歩きやすい。
最初のコルで振り返ると天狗山山頂がはるか上に見える。まずは東峰の南に張り出したピークを越えて行く。青空と陽差しが若葉の緑をいっそう鮮やかに浮き立たせて、このあたりは酸素が濃いように感じられる。
雑木林の山道を第2ピークの中峰へ、続いて第3の西峰へと越えて行く。突然、ブルーのキャンバスにハッとするようなオブジェが現れた。
西峰を越えたあたりで、三ツ池の北の小さな禿げ山ピークが見えてくる。そちらへ近づくに連れて、三ツ池のなかでもっとも大きい奥池が美しい姿を現す。
奥池を目指していっきに下りて行く。雑木の細道と荒れた地肌は滑りやすいので要注意だ。
奥池は大きい。明るい風景の中をゆっくり歩くと、道路を挟んですぐ下に中池が現れる。
4.最後は注意深く岩場を下りる
中池と同じくらいの大きさの下池を過ぎると、沢を下ることになる。沢の方に移動してみると水量が少なくて、沢下りといった雰囲気ではない。ここは沢に沿った岩場を慎重に下ることにする。
岩場では進路を見失わないように、あちこちに赤ペンキで丸印が描かれている。右の写真では見えにくいが、右側の方に4つの赤丸がある。
足場が悪い急坂もあるが、要所ではロープが張られており問題なく進むことができる。
それでも、やっと岩場を脱出できるとひと安心。果樹畑や野菜畑の風景がもどってきた。
成林林道にたどり着いた。岩場に入ってからここまで35分。あとは舗装道を寒河駅に向かうだけだ。
青空の下、すばらしい山歩きを楽しむことができた。好天もさることながら、ゴールデンウィーク最終日というタイミングもよかったようだ。天狗山山頂から三ツ池を周回するコース設定も、変化があって申し分ない。
ただ、沢は水量が少なかったので問題なかったが、増水時にはかなりやっかいなルートになりそうである。岩場の移動も部分的に沢と交差しているので要注意だろう。
好きなコースを決めて、天候とタイミングを選んでの気ままな独り歩き。今回も単独行をこころゆくまで楽しむことができた。