1.JR和気駅〜登山口
上りのJRで和気駅到着は9時6分。ハイカーらしい人がチラホラ見えるのでやり過ごし、しばらく待ってゆっくりと出発する。北に出て金剛川を渡りかけると正面に和気富士が見えている。
商店街を西に進むと、右手にそれらしい道があり入って行く。それにしても神社の鳥居が見えない。
山裾の墓地を掃除している婆様に尋ねると、「先から何人も来とるがここは違う、行き止まりじゃ。駅の方へ戻ると鳥居が見えとる」とのこと。登山口探しの正解率は極めて低く、今回もお手つきだ。
事前の調べでNTTのそばと知ってはいたのだが、鉄筋建家に電波塔を想像していたのが間違いのもと。左下の写真がNTTで、隣の道路の先をよく見ると、確かに赤い鳥居がある。道路沿いに「和気富士健康づくりの路」の標識もあるのだが、地味で見落としてしまっていた。
鳥居には「荒熊大明神/羽弥岬大明神」とあり道標も設置されている。9時34分、ここからスタートだ。和気駅到着からすでに30分近くが経過している。
2.最上稲荷〜和気富士
登山口から4〜5分で最上稲荷に着く。
社の裏手には小さな祠があり、右手にはコースマップが設置されている。参拝を済ませて、コースマップの横から登って行く。
急な傾斜を進んで行くと視界が開け、わずかな時間にかなり高度を稼いでいたことがわかる。
和気富士はツツジの名所として親しまれている。ちょっと時季はずれなのだが、まだこんなにきれいなのが道を彩っていた。
最上稲荷から20分ばかりで道標があり和気富士の山頂はすぐそこだ。電波塔が見えている。
「和気北曽根城跡」の町指定史跡の碑があり、少し離れて三角点(四等三角点)が設置されていた。
山頂の中央には和気テレビ放送所の設備があり、複雑な形状のアンテナが立っている。ここからNHKを含む6局の放送電波が送信されている。
3.観音山〜岩山〜前ノ峰〜穂高山〜涸沢峰〜ジャンダルム
山の斜面に切り開かれた道を進むと、時折り展望が開けて、ゆったりとした吉井川の流れを望むことができる。
いよいよ荒々しい露岩が現れ始めた。気をつけて一歩ずつ進みながら眼下に目をやると、吉井川と金剛川が合流している。金剛大橋やJRの線路がはっきり見える。
こんなに緩やかな道もある。左下に見える和気橋にズームイン。橋向こうの広場は吉井川河川公園で、毎年「五山送り火」に合わせて開催される「和文字焼きまつり」ではステージや露天が設置されて、花火の見物客があふれる場所だ。
やがて烏帽子岩が見えてきた。ここは360度の展望がきく。
烏帽子岩から西に見る吉井川風景。北にはこれから進む山々の姿と、遠方にブルーシートが見える。
烏帽子岩から10分ほど進むと、先に見えていたブルーシートが近くなった。
和気富士から約30分で観音山に到着。急斜面に和文字の送り火を焚く炉が設置されている。遠くから見えていたブルーシートは、薪の貯蔵用のものだった。
露岩のダウンとアップが続く。急な岩場ではストックをたたんで手を使ってよじ登る。
岩山展望所に着いた。風が強くて姿勢が不安定になる中でシャッターを切る。
さらに進むと南面に宗堂池が見えてきた。登山道は馬の背に変わる。
ようやくピーク板の「ウリピー(うり坊のマスコット標識)」に出会えた。前ノ峰に到着である。しかしここはサッサと通り過ぎる。
岩尾根の道が続き、急坂をよじ登る。この先が間ノ峰だ。
小休止していると、昔のワンダーフォーゲル部員を彷彿とさせる若者二人がやって来た。先を譲って後をついて行くことにする。
間ノ峰から見た進行方向の尾根道。雲の動きがいよいよ早くなり、風がゴーゴーと音を立てる。右側には竜王山がそびえている。
大きな岩山に差しかかったとき、二人のハイカーが下りてきた。これを待ってよじ登ると、また数人のパーティと出会った。
穂高山に到着だ。行く手にジャンダルムへの急坂が続き、その先に神ノ上山がそびえている。
涸沢峰を通過する。右手に竜王山と麓の宗堂池が見える。当初の予定では竜王山に立ち寄って神ノ上山に向かうつもりだったが、横殴りの突風が怖いので今回は見合わせて、ジャンダルムから奥ノ峰方面へと前進する。
宗堂池が美しい。強風を避けながら、姿勢を低くして急坂を登る。
ジャンダルムに到着した。プラスティック製の「ウリピー」がかけられている。
先着のワンダーフォーゲル部員風の二人が昼食準備をしていたので、ここで昼食をとることにする。二人は姫路から訪れていて、書写山の近くの住人とのことだ。和気富士の登山口からではなく、観音山付近の麓からヤブコギしながらよじ登ってきたそうだ。凄まじい若さとパワーである。
食事中に何組ものパーティが逆方向からやってくる。7〜8人のパーティに尋ねると、神ノ上山から下山しているとのことであった。
4.奥ノ峰〜神ノ上山頂上
ジャンダルムでは食事や会話をはさんで30分近く休憩をとる。バーナーで調理している二人を残して12時44分に出発する。
槍ケ峰・鵜飼谷温泉方面への分岐を過ぎ、10分で奥ノ峰に着く。
このあたりから、「神ノ上山」への手書き道標が頻繁に現れる。林が続くので風の影響がまったくない。先ほどまでの強風が嘘のようだ。
奥ノ峰から8分ほどで「ザイテンバイパス」への分岐道標があり、続いて神ノ上山方向に「鷲の巣」の道標がある。
岩が散在した急斜面を登って行く。途中に、どうみても石垣と思われるものがあった。これは何だろう?
やがて緩やかな山道になり、「神ノ上山」と「白岩様」の分岐に差しかかる。
神ノ上山の方向に進むと「まよいピーク」への道標があった。
神ノ上山へと進めばほどなく山頂に到着だ。
山頂のプラスティックの「ウリピー」とその下にある郵便受け。中にはビニール包みが入っており、おそらく登頂記録のようなものだろうと想像したが開けなかった。
山頂からの素晴らしい眺望。比較的遠くまで見えているのだが、山の姿・名前がわからないのはつらい。那岐山も見えているはずなのだが・・・・。
山頂の二等三角点をカメラに収めて下山にかかる。
5.迷い道〜鷲の巣〜宗堂池
13時33分に神ノ上山山頂を出発して、鷲の巣から山の学校を経由しての下山ルートを目指す。
しかし、鷲の巣への道標が見つからず、ザイテンバイパス分岐まで元の道を下りてしまうという失敗をする。
それに気づいて再度登り返していると10人のパーティに出会った。先導のリーダーらしき人に尋ねると、頂上方向へ戻って二つ目に「鷲の巣」という道標があると教えてくれた。この山を熟知している様子なので安心して拝聴したが、それにしてもここまで注意深く下りてきただけに、見落としているとは思えない。ただ、途中にあった「白岩様」という道標が気になるので、それに注意しながら戻ることにした。
果たして「白岩様」は戻り道の二つ目の道標であった。後で『和気アルプスのホームページ』を確認して、「鷲の巣分岐=白岩様」であることがわかった。白岩様が正式名称であることから、新たな道標に取り替えた際にこのようになったらしい。鷲の巣の呼称は定着しているはずなので、できれば、白石様の後ろにカッコ書きで鷲の巣を記載してほしかったなぁ。
そんなことで30分近いタイムロスになったが、14時10分に鷲の巣分岐に踏み込むことができた。
平坦な山道わきの古い標識に「鷲の巣方面」の標識、このルートで間違いなかったことを確認できた。
カラフルなチンネ・スラブへの分岐標識があった。
よく踏みならされた穏やかな道が続き、前方に竜王山が見えてきた。
路面の土に岩が混じってきて、やがて見晴らしのよい岩場に差しかかった。
東側に広がる鷲の巣の岩場とチンネ・スラブルートに見入る。ロッククライミング・ゲレンデの鷲の巣岩だが、今日は天候のせいか誰も登っていない。まっすぐに伸びるスラブ・ルートは傾斜が30度を超えるところもあるらしい。
大きな岩場に出て谷をのぞき込むと吸い込まれそうだ。端が破損した「鷲の巣岩」の標識があったが、これが何を意味するのかわからない。
山の学校を経由して和気中学校裏へ下りる予定だったが、分岐に気づかず丸山に着いてしまった。
一瞬引き返そうかと思ったが、黄色のテープがしっかりしているので、これを目印に下りることにした。
エメラルド・グリーンの宗堂池が美しい。しかし険しい岩場が多くて気を抜けない。
地図はポケットにしまい込んで、ここからは黄色テープ頼みでの下山だ。
かなり手間取ったが、無事に宗堂池の東淵へと降りることができた。西には堂々とした竜王山の姿。
池の淵を南へ回り込むと堤防に出る。
池から里の間には野生動物の防護柵が設置されている。通った後はしっかりロックを確認。
15時15分、鷲の巣分岐から1時間5分での下山だ。ここは通常のルートではないらしく標識は何もない。
6.安養寺から帰路に
10分ばかりで安養寺に到着した。
安養寺橋を渡り、金剛川の南側を30分ほど歩いて和気駅に帰着。
山の険しさや岩場歩きの楽しさが少しだけわかったような、充実した山歩きになった。