1.津山駅~登山口
岡山駅からディーゼルカーに乗り津山駅には10時50分に到着。因美線智頭行きが発車する11時35分までの時間を、駅前の喫茶店に立ち寄る。香り高いサイフォンコーヒーと焼きたてのワッフルでハッピーなひとときを過ごす。
智頭行きの車両は1両編成で、のどかな田園から山林風景の中を走り35分ばかりで知和駅に到着する。
こじんまりとした木造の知和駅舎を出ると、東にこれから登る矢筈山が見えている。
駅から県道6号に出て東へ向かう。歩道が広くて車を気にせずに歩くことができる。跨線橋を越えると加茂町知和の集落が現れ、青空の下に鯉のぼりが泳いでいた。
駅から1km足らずで右側に千磐(ちいわ)神社の鳥居。もとは山頂にあった矢筈神社もここに移されている。
まずは、千磐神社に山行の無事をお祈りする。境内には名木百選の杉の巨木があり、臥龍藤と呼ばれる藤がからみついている。開花時には見事であるとの説明板が掲げられていた。
神社横にはたくさんの杖が立てかけてあり、そばにマップの入った木箱が設置されている。箱の中には1部しか入っていなかったが、矢筈城跡保存会発行の登山マップをありがたくいただいた。これには登山ルートとあわせて関連史跡の解説や城の詳細図、「矢筈城懐古」なる歌詞などが記載されており、とても便利で役に立った。
矢筈山への登山口は、境内をいったん降りて千磐神社の右側にある。
2.登山口~大岩
12時40分にスタート。いきなり急坂が続きどんどん高度を上げて行く。久しぶりの山道にいささか息切れ気味になりながら頑張る。
鮮やかな黄色のヤマブキ、淡いピンクのミツバツツジが山道を彩る。
尾根道に出ると明るく歩きやすくなる。
いちど尾根からはずれ、ふたたび尾根道にもどると大岩に至る。登山口から53分が経過している。
3.大岩~矢筈山頂上
大岩から南の風景を望み、緩やかな尾根道を進んで行く。
階段の急坂をひと登りして成興寺丸跡で小休止する。
ここから山頂までは尾根道をたどって行く。いくつかの掘切をわたり狼煙(のろし)場跡を通過する。
石垣段、磐座、郭と石垣段、三重掘切などが連なっている。
土塁を越えれば三の丸跡が開ける。
続いてニの丸跡、そして14時40分に本丸のある山頂に到着した。かなり遅れたと思っていたのだが、登山マップに記載されている目安時間の2時間ちょうどで登頂だ。
4.矢筈山頂上にて
よくこんなところに城をつくったものだと感心し、なかば呆れる。全国でも指折りの高地にある山城だそうである。ま、ここまで険しい天然の地形を利用した点はアッパレと言うべきか。360度の展望が広がり、とにかく登ってきてよかったと感動する。
山頂広場の中央に矢筈城跡の碑があり、近くに設置された三等三角点を確認。
県指定記念物「矢筈城跡」の大きな案内板を読んで楽しいランチタイム。
最高の天気で視界も良好。そんな条件下での東・西・南・北の眺望がこれである。東の左手には桜尾山が、また北の左寄りに大ヶ山が見えている。
5.河井方面へ向けて下山
下山はニの丸までもどり「河井・山下降り口」を入る。少し下りると土蔵郭がある。
ややあって馬場が広がり、ここまでどうやって馬を上げたのかと不思議に思う。馬場を過ぎると急勾配の下りが待っている。
尾根出会いを右折して急坂を下り、その先を左折すると傾斜が緩やかになる。
麓には、幼児の夜泣き鎮めに霊験顕たかといわれる若宮神社がある。
ほぼ1時間で下山することができた。平地に下り立つと、そこは美作河井駅のすぐ南で、近代化産業遺産に指定されている転車台がある。
知和駅とよく似た外観の美作河井駅舎。行きに乗ったのと同型の車両がやってきた。
美作河井駅には『みまさかスローライフ列車の旅』のパンフレットがあった。来月(2013年5月)の11・12日の2日間に、津山駅と智頭間を結ぶスローライフ列車を運行して、智頭散策や森林セラピーなど4つの特別プランが用意されている。その中に「地元保存会ガイドの案内で新緑の矢筈山登山」があり、今日歩いたコースと同じ行程になっている。
ガイド同行であれば、あれこれ興味深い話を聴くことができるので楽しさ倍増だろう。機会があればぜひ参加したいと思う。