名 称

やまどりやま

所在地

岡山県赤磐市是里(これさと)

標 高

314m

山行日

2021年3月10日

天 候

晴れ

同行者

なし

アクセス

赤磐市広域路線バス・吉井中学校前下車

マップ

    
    

このマップは、国土地理院の電子国土Webシステムから提供されたものを使用しています。

コース概要

吉井中学校前バス停スタート 9:00城南小学校前 9:12津山・柵原分岐 9:19城山公園・宗形神社分岐 9:35
文政地蔵菩薩坐像 10:05宗形神社 10:54~11:08リゾートハウス是里 11:22~11:44
古民家カフェ是里 11:47~11:50宝篋印塔 11:54山鳥城跡の石碑 12:26本丸址 12:36
電波塔 12:41山頂三角点 12:55これさと展望台 13:17~13:22山鳥水源 13:28巡視路入口 13:48
吉井中学校前バス停帰着 14:27

1.吉井中学校前バス停から宗形神社へ

 公共交通機関でアプローチするには、岡山駅から宇野バス美作(みまさか)線で下市バス停まで45分。そこで下車して赤磐市広域路線バス林野駅方面行きに乗り換える。午前中は8時3分と11時58分発の二本だけ。約35分で吉井中学校前バス停で下車する。
 当日は8時3分に下市を発ち、8時38分に吉井中学校前へ到着した。弁当を用立てるため近くのコンビニまで往復して、9時ちょうどにスタートする。バス停から北方向の小高い山の頂には周匝(すさい)茶臼山城が見えている。

 左折して中学校の東側を進むと、右側には吉井図書館があるライフプラザ吉井の素敵な建物。

 モザイクで描かれた校舎の壁面が美しい。「Respect others Respect yourself」のスローガンが掲げられている。"Respect others as you would respect yourself"、大切なことだ。右側に変電所が現れた。

 進行方向に見える城南小学校の校舎を目指し、その左側を回り込んで進む。

 津山・柵原方面への分岐だ。標識には吉井海洋センター、是里、草生、城山公園と併記されている。そちらへ右折して、先谷の住宅街を見ながら歩く。

 ゆるやかな傾斜の車道が続き、ダンプカーが頻繁に通り過ぎる。

 右側に太陽光発電設備が設置されている。城山公園と宗形神社方面への分岐だ。案内標識に従い左折して宗形神社方面へ向かう。

 だら長の車道に轟音をたてて行き来するダンプカー。路側帯を注意しながら進んでいると、右側に工事現場が現れる。

 ダンプカーの往来は先の工事現場までで、やっと静かになった。その先はほとんど車は通らない。上着を脱ぎ、どこまでも続く舗装道路をひたすら歩く。中国自然歩道の標識があり、ここから美咲町吉ケ原へ分岐している。

 宗形神社方面に向けて左側の道路を下っていくと、突き当たりの右側に文政地蔵菩薩坐像がある。台座正面に「南」、両側に「東」「西」と方角が刻まれていて、「西」には「本山寺 五十八丁」とある。一丁は約109mなので、方角と距離から、この本山寺とは久米郡美咲町の岩間山本山寺のことだろう。

 左折して道なりに進むと、途中に「宗形神社 1.2km」の道標が立っている。

 延々と人家のない舗装道路を歩いていたが、南西方向の遠くに家屋が見えてほっとする。あのあたりが本村で、その左の山が山鳥山のようだ。元の道に合流して再び車道歩きになる。

 しばらく進むと集落に入った。

 すぐ先にまた吉ケ原分岐があり、近くに古い石碑があるのだが、これが何かはわからない。ところで、地理院地図を眺めるとこのあたりに不思議な地名が記されている。その名も「物理」で、「もどろい」とルビが付されている。これって、ほんとうに地名なのだろうか?

 集落を過ぎて10分ばかり進むと「リゾートハウス これさと」の案内板があり、それをやり過ごすとすぐ宗形神社に到着した。時刻は10時54分、バス停から2時間近くかかっての到着だ。

 解説板にあるとおり、宗形神社は延喜式神名帳に記載されている格式高い神社で、永禄年間に浦上宗景(備前東部の天神山城主)によって再建されたとのこと。崇神天皇の御代に勧請されたと社伝にあるそうで、仁徳天皇が黒比賣を当社へ迎えて歌を詠んだとも言われる(『玄松子の記憶』)。祀神は宗像三女神。
 どっしりとした石鳥居は明神鳥居と呼ばれ、上部の両端が反り上がっているのが特徴(現地解説板より)。また社殿を取り巻く「社叢」と呼ばれる林は、地域の植生が活かされていることから県の郷土記念物に指定されている。

 石段を上がると神門があり、その奥に拝殿。広い境内は木々に囲まれて心地よい。

 写真左は社殿左手の境内社。いちばん左に朱いのは稲荷神社。写真右は本殿で、三間社流造(さんげんしゃながれづくり)で屋根はもと檜皮葺(現在は鉄板)。

2.リゾートハウスこれさとから山鳥山へ

 少し戻って「リゾートハウス これさと」の案内板があった方へと進む。すっかり春の気配に満ちている高原を歩いて、間もなくリゾートハウスこれさとに到着。

 休館中のようだが、ちょっと様子を確かめたくて坂を上がって行く。入ってすぐ左には是里診療所がある。施設によって営業時間や休館日があるので、詳しい情報はこちらから

 (リゾートハウスこれさとと多目的集会所)

 (是里ロッジと手前には川柳の森。東屋の休憩所とふれあいハウス)

 (コーヒーやワインをいただける是里ワイン記念館。向こうに広がるのは多目的広場で、その奥に「わんぱく広場」)

 近くには白木蓮が咲き始めで、空を白く染めている。入口へ戻って先へと進む。

 しゃれた案内板「古民家カフェ是里」が立っている。左から車で上がれば駐車場。右のスロープは歩行者用。

 駐車場から見たカフェの全景。時刻は12時前で、何組ものカップルやグループが、美味しそうなランチを食べている。事前にわかっていればぜひ立ち寄りたかった処だ。週二日営業で予約が必要なので要注意。詳しい情報はこちらから

 後ろ髪を引かれる思いでカフェを後にして山鳥山を目指す。
 おッ、家屋の一角にタバコ屋さん! 今は閉店の様子。マイルドセブン、キャスター、ピース、キャビン、しんせい、ホープ、・・・・、懐かしいパッケージが並んでいる。20年近く休煙中だが、芳しい香りと当時の風景が思い出されるなあ。
 ここからも舗装道路で、先を急ぐ。

 左側の林の中に、是里字宗成の石造美術「宝篋印塔(ほうきょういんとう)」が建つ。室町中期頃の経塚である。

 本村へやって来た。山鳥山が近いのだが進入路がわからず、この辺りで行きつ戻りつを繰り返す。人を探すが誰もいない。やっと家屋の間の細い道がそれらしいとわかった。

 道に背を向けた6体のお地蔵様。登山口らしい方向へと急ぐ。

 ようやく土の道になってすぐに峠のようなところに着く。「愛宕神社」と刻んだ石碑があり祭壇に榊が供えられている。

 山鳥城趾の石柱と手書きの案内板がある。山鳥城についての情報は少なく、『岡山県中世城館跡総合調査報告書・備前編』(2020年、岡山教育委員会発行)において、文献・伝承として次のように記載されている。
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    『東備郡村誌』では、城主を浦上氏家臣の平賀大進と記す。『赤磐郡誌』などでは、平賀氏代々が
    城主を務め、尼子勢か宇喜多勢により天文(1532 〜 1555)もしくは永禄年間(1558 〜 1570)に
    落城したと記す。

3.山鳥山散策

 案内板に従って本丸がある右方向へ登って行く。すぐ右側に延びる道はトラロープと鉄線バリケードで通行止めになっている。椎茸栽培のホダ場を見ながら前進する。

 また案内板があるが消えかけて読みにくい。「左 本丸」とあるのでそちらへ進む。

 雑草に覆われた部分もあるが、なお前進すると3~4分で本丸跡に着いた。現在は木が茂って展望はまったくないが、先の報告書では立地について、「滝山川北岸にそびえる山鳥山から東に派生する尾根先端頂部に立地する城で、対岸に所在する先谷城跡や黒沢城跡を一望する」とある。

 「城主平賀大進??之墟」と彫られた石碑が建っている。手書きの解説板は消えかけていて、ほとんど読み取れない。

 元へ戻って逆方向に進む。

 NTTドコモの電波塔と並んで「おかやまシティエフエム山鳥山中継局」のアンテナが建つ。

 さらに少し進むとバリケードがあり、その手前の白黒ロープに沿って小高い方へ登ったら三角点があった。ここも木々が茂っていて展望が効かないので見つけにくいかも知れない。

 白黒ロープを越えてスロープを下りると歩きやすい道に出た。たくさん落ちている松ぼっくりを見ながら歩く。谷側にはトラロープが張り巡らされている。

 突然、通行止めのバーと鉄線のバリケードが現れ、トラロープが二重三重に張られている。障害物レースのように乗り越えたら、何と、最初に見た山鳥城趾の石柱のそばへ出た。ということは、三角点付近の通行禁止地点からここまでは通行禁止帯だったわけで、そこを歩いていたことになる。なぜ通行禁止なのかはわからない。

 山鳥山へ進入した場所まで戻って下山を開始する。間もなく展望台らしい構築物が見えてきた。

4.これさと展望台に立ち寄って下山

 道端に「これさと展望台」の表示がある。これは立派な展望台だ。この斜面にこれだけの足場を組み付けるのは大変な技術と労力を必要としたに違いない。

 坂を登って展望台に立ってみる。木材は防腐剤を塗って補強されており、屋根を設置できるような構造になっている。いやはや、感服です!

 展望台からの雄大な風景。周匝の市街地や美作市の大芦高原まで見渡せる。素敵な場所をありがとうございます!
 ところで、下山してからの行動はふたつ。すぐに岡山方面へ帰る、または反対方向の湯郷温泉へ立ち寄って時間調整をする。湯郷温泉に立ち寄ると下市バス停帰着は18時39分。岡山方面へ向かえば下市には15時12分に帰着できるが、吉井中学校前発14時31分のバスに乗らなければならない。で、現在は13時23分で昼食もまだ食べていない。さ~、どうする。
 14時31分のバスにはぎりぎりで間に合いそうと判断。チョコレートを頬ばってアップテンポで下山開始だ。

 5分ほどで山鳥水源を通過する。山鳥城の重要な水汲み場であったと伝えられている水源で、水量は多くないが、周りが渇水のときでも涸れることなく一定量を保ち湧き出ているそうである(環境省「岡山県の代表的な湧水」より)。

 少し下には、割竹を掛けた水源もある。その近くでユキワリイチゲの群生を見つけてストップ!
 ユキワリイチゲ(雪割一華)は春の訪れを告げる薄紫色の花。キンポウゲ科で12枚以上の花びらと、モスグリーンにまだら模様のある三枚葉が特徴だ。早春に咲いて夏まで葉をつけると枯れてしまい、後は地下で過ごすスプリング・エフェメラル(春の妖精)と呼ばれる植物の仲間である。

 山は春の色をたたえている。が、ゆっくり眺める時間がない。小走りで下りて行く。

 今度はタチツボスミレの群生に出会い大急ぎでカメラに収める。展望台から25分ほどで巡視路入口に下り立った。

 長閑な里の風景、空にはホンワカと雲が浮かんでいる。しかし、ここからのルート選択と所要時間が問題だ。

 ここで、初めてスマートフォンのグーグルマップ・ナビを使うことにした。最適なルートを提案してくれるものと信じてゴールを設定し、到着までの時間を確認しながらの速歩を開始。確かに便利であることに違いないが、これほど気分が悪いウォーキングはもうこりごりだ。自分で選択して行動する楽しさを奪われ、ナビの音声指示に従属させられるのだから。それに、途中で残り時間が微妙に増減して、そのたびにドギマギさせられる。
 しかし、終わりよければ万事良しで、バス発車4分前に無事帰着することができてバンザ~イ!