名 称

よりしまりゅうおうざん

所在地

岡山県浅口市寄島町

標 高

289m

山行日

2021年11月1日

天 候

晴れ

同行者

なし

アクセス

JR新倉敷駅から井笠バスで寄島総合支所前下車

マップ

緑色の線は計画時点のルートです。
    

このマップは、国土地理院の電子国土Webシステムから提供されたものを使用しています。

コース概要

寄島総合支所前バス停 9:25トレッキングコース入口 9:42第1展望台 9:58第2展望台 10:03
第3展望台 10:14第4展望台 10:33竜王山山頂 11:21~11:36第4展望台 12:17
第2展望台 12:35よりしま海鮮市場 13:05~13:12寄島総合支所前バス停 13:15

1.トレッキングコース入口へ

 JR新倉敷駅南口③番乗り場から約40分、井笠バスで終点の寄島総合支所前まで移動する。「日本の渚百選」に選ばれた沙美海岸を通り過ぎると、小高い丘陵地帯の狭い道路に差しかかる。いくつものカーブミラーを縫って進むと寄島漁港を通過して終点に着く。停留所を示す錆びたポールが立つばかりで停留所名表示もない。

 道路を挟んで洒落た店がある。「カフェみやけ」、木製調度品の落ち着いた雰囲気、壁にはタペストリーが掛かっている。その向こうに見える寄島郵便局の方へ歩く。

 郵便局横を通り越して直進し突き当たりを右折する。

 左側に気をつけながら進むと、電柱にトレッキングコース入口を示す掲示がある。その方向へ、家屋の間の細道を真っ直ぐ進む。

 右側に現れた坂道を上がって行く。

 突き当たりに再びトレッキングコース入口の案内板が取り付けられている。

 その方向に延びる道を進むと左に小さな墓地があり、近くに『国頭地区周辺ウォーキングマップ』が立つ。パネルには山の部分の記載は無く、「トレッキングコース整備中」と記されている。

 足下にヘビがとぐろを巻いているのに気づく。マムシではないので心配ない。たぶんアオダイショウだろう。邪魔しないようにそっと跨いで行く。ここがトレッキングコースの入口、登山口だ。

2.第1~第2展望台

 スタートは傾斜が緩やかな道から始まる。ゆっくりとしたペースで歩き始める。

 丸太の階段を上がってよく整備された道を行く。

 右に細道があり「幸神様↓」の黄色のプレートが掛かっている。その先に置かれた脚立。山道の保全維持に感謝だ。

 ずっと続いていた雑木林の空間が開けて第1展望台に着いた。

 左には青佐山、右には近くの鉢山が見える。その間に顔を出しているのは笠岡市の御嶽山か。

 色づき始めたハゼノキとルビーのようなガマズミの実。

 雑木のトンネルに入ると間もなく第2展望台だ。

 岩が円形に配置されている。

 第2展望台から見る青佐山と運動公園がある寄島干拓地方面。周辺の島々の景色と青い海を期待していたのだが、朝から濃霧予報が出ていてほとんど見えないのは残念。寄島干拓地と言えば、以前にアッケシソウを観に出かけたことを思い出す。北海道の厚岸町で発見されたことでこの名がついたアッケシソウは、本州では唯一ここに自生するそうである。塩湿地に生育する珍しい植物で絶滅危惧種。10月の中旬から下旬にかけて一帯を深紅に染めて紅葉する。

3.第3展望台~山頂へ

 それにしても起伏が多い山だ。登っては下りまた登る。そして展望台以外はほとんど雑木林で展望がない。

 次の下りは急坂で地面がぬかるんでいて滑りそうだ。こんなところにロープがあるのはありがたい。するすると下りて少し進むと第3展望台だ。

 ここには大きな岩が積み上がっている。海側はほとんど雑木に遮られて展望できない。

 また下りだ。バランスをとるためにストックを取り出して手袋をつける。急坂では木々や草をつかむために手袋は必須アイテムだ。

 「竜王山→」と書いた木札が木にくくり付けられている。そこから下りて、掘り割りのような地形を渡って登り直す。

 小さなピークを越えて下り、また登ると広場が見えてきた。

 「第4展望台」と書いた黄色いプレートが吊されている。やがてここにも正式な標識が立つのだろうか。落ち葉が片付けられていて、近くの木にビニール袋で頬被りした熊手がくくり付けられている。住民グループの皆さんが掃除するためのものだろう。

 ここからは海の展望がきく。この霞はどうにもならないが、寄島漁港の向こうに牡蛎イカダが並んでいるのがわかる。

 これは木枝のベンチだろうか。ちょっとだけ腰を下ろしてから、枝を切り落とされた木が躍っているような道を行く。

 あちこちで倒木が道をさえぎる。またいだり回り込んだしながら進む。

 これは何だろう。どちらも木のようだが、木に別の木が共生しているとは思えないし・・・。木には「こぶ病」という病気があって、大変気味の悪い形のコブをつくるのだが、もしかするとそれかも知れない。

 さらに2つほど起伏を越えると石垣が見えてきた。きちんと積まれているが何のためのものかわからない。石垣には大きな段差があり、左の木に結びつっけられたロープをつかんで登る。

 石垣を登ったところにある大岩。上がって谷側を覗いてみた。

 ここからの眺望は山頂よりも良い。青佐山と鉢山、笠岡市の御嶽山、里庄町の茶臼山。遙か御嶽山の北側に見えているのは応神山だろうか。

 すぐ上にはさらに岩があり、その傍から山頂へとロープが張られている。ロープをたぐり寄せて山頂へ!

4.竜王山山頂風景

 中央には山頂標識と三角点。沙美アルプスは備南アルプスとも呼ばれているようだ。寄島竜王山はその縦走路の西端の山である。

 祠が二つある。傍の木に「備南アルプス縦走路はここから西がおもしろい」のプレート。この山が西端のはずだが、なるほど、縦走路は西に続いているので間違いではない。ちょっと気になる西ではある。

 眺望はこんな具合で幻想的。ガスがかかってなければきれいだろうなあ。

 先のプレートの裏には「備南アルプス縦走路はここから東が楽しい」とある。な~んだ、そうなのかと感心する。そろそろ出発しようと準備を整えて東の山道に目を向ける。
 ところが、むむ、これは厄介だ。長い急坂でかなり傾斜がきつい。しかもザレ場、足を乗せただけてズルッと滑って転倒しそうだ。さて、どうしたものか。

 少し下りかけて木の枝をつかんで観察する。両側にはバランスをとれそうな木も草もないので、ムリしてでも下りるとすれば尻をついて前進する他ないだろう。しかし、突き当たりが右にカーブしているようなので、バランスを崩してコントロールが効かなくなると谷側へ落ちるかも知れない。
 何と弱気なことだろう。もう少し若ければ迷わずクラウチングスタイルで滑り下りるのだろうが、慎重になるのは年嵩のなす安全弁でもある。他に登山者はなく、独りだけの山歩きでは慎重にならざるを得ない。それに高齢であれば、トラブった場合の身体的なダメージも大きく、人に迷惑をかけること間違いなし。
 と説得し、納得して往路を下山することに、つまり引き返すことに決める。山頂よ、グッバイだ!

5.往路を下山、そして

 下りは速い、と言いたいところだが、最近明け方によく起きるこむら返りの部位がつって、何度か立ち止まりながら第4展望台まで40分もかかった。木枝のベンチで小休止して、多めのスポーツドリンクで水分補給をする。

 掘り割りのような地形を越えて、第3展望台を通過する。

 第4展望台から第2展望台までの所要時間は約20分で現在12時35分。帰路は15時39分のバスを予定していたが、13時台のバスに間に合いそうだ。午後になって、風景はますますガスが濃くなっている。

 畑の道に戻り、平地をゆっくりと踏みしめて歩く。

 計画の大幅変更で昼食はとりやめて「よりしま海鮮市場」に直行する。お土産に美味しそうな弁当を買ってバス停へ向かう。寄島総合支所前から新倉敷への午後の便は3本。その最も早い13時28分の便に余裕で間に合った。計画変更で早めに帰路につくのはこれが初めてで、空腹も手伝って頭にカスミが掛かっている。