1.金光駅から加賀池登山口へ
JR岡山駅から31分で金光駅に到着する。遙照山は公共交通機関でアプローチしやすいのも魅力だ。昨日までと打って変わっての好天で、まるで突然春に様変わりしたようである。駅前の信号を渡って、スーパーマーケット・マルナカの手前を北へ向かう。
福永集落の道標にしたがって進むと、前方に池の堤が見えてきた。
堤の左を上がって加賀池に到着した。準備運動をしながら、ここで待ち合わせしているメンバーの到着を待つ。
メンバーが揃い9時半が近づいたので出発する。木の杖のプールがあり加賀池の北端へと進む。
2.鬼の手形岩~遙照山公園東展望所
加賀池の北端から左へ入って行く。まずは緩やかな農道のような細道である。
すぐに「鬼の手形岩」が現れる。力自慢の鬼が投げた大岩だそうで、その際に満身の力を込めたため手の形が岩についたと伝承されている。そこから7~8分登ると古墳のようなものがあった。やや小ぶりな上に遙照山周辺に古墳があるという情報はないので、これが何かは分からない。
道中にある見やすい道標と丸太のベンチ。枯れ葉が積んでいそうな道だが、誰かが清掃しているのだろうか。
急坂を登って行くと時折南西方面の視野が開けて、金光から鴨方の町並みが見通せる。しかし今日はガスが濃くて見通しがきかない。やがて車道が見えてくる。
車道はその先で右にカーブするが、車道に沿った左側の道を歩いてそのまま山に踏み込んで行く。
路面がざらついて滑りそうな急坂にはロープが張られている。登りは必要ないが下りでは安心できそうだ。南東の山際に山陽自動車道が見える。
307mピーク手前の急坂を登ると右側に広場が現れる。7年前に登った時に「トレッキング山楽会」が準備してくれていた休憩広場である。当時、この周辺は大量の松が虫の被害にあって枯死状態になっていて、まるで山火事の跡のような光景に驚いたことを思い出す。
語尾に「富士」が付くような山が見える。位置関係から妙見山のように思えるのだが判らない。笠岡市南端の御嶽山も見えるはずなのだが、今日はガスが濃くてダメ。谷を挟んだ向かいに2本のノッポの木が立っている。Oさんが「夫婦松」だと教えてくれる。この松は山行途中に何度も顔を覗ける。
307mピークを越えた先の分岐に着いた。これまでの山行では直進していたが、今回は右に踏み込む。初めてのルートである。
このルートは比較的傾斜が緩く右手に2つの池が続く。ハイキング気分で歩くことができる道だ。木立にジョウビタキらしい鳥がいて何度もシャッターを切ったのだが、腹立たしいかな、すべてピンぼけ。オートフォーカスはこの鳥より木の葉が好みのようだ。木橋を渡りなだらかな階段を登る。
遙照山と東展望台との分岐に差しかかり、展望台の方へ階段を登る。
何か分からないが、既存の建築物がリニューアル中のようだ。左手の遙照山公園グラウンドでは少年リーグが野球をやっている。
「8年越しの花嫁」ロケ地の看板が立つ東展望所。「奇蹟の実話」のサブタイトルが付く話題作で現在上映中。この場所は、尚志が麻衣にプロポーズする印象的なシーンに登場するそうである(まだ観ていないのです)。眼下には高梁川が流れ玉島から倉敷水島方面の素晴らしい風景が広がるのだが、今日は「な~んも見えんがぁ(何も見えませんよ)」。
その風景は、2月末まで公開されている撮影シーンのパネル写真でがまんし、撮影用に製作された柵の向こうの階段に腰を下ろして昼食にする。
3.山頂~藤波キャンプ場~夫婦松展望台
子供のころに何度も訪れた遙照山は車とは無縁の山だったが、今は車で登ることができ山頂にも舗装道路が縦横に巡っている。その舗装道を歩き、少し外れて高台に登ると目鑑展望台(めがねてんぼうだい)に着く。以前はこの付近に望遠鏡が設置されていたが、現在は方位盤に替わっている。瀬戸内海まで見通せる好位置なのだが、今日は霞の中。
これが昔、望遠鏡が取り付けられていた台座だ。「遙照山観光望遠鏡 金光町観光協会 1958建」と刻まれた銘板が残る。南西には廃業して久しい遙照山ホテル。明るい白壁の建物と茶色の屋根が綺麗なのだが。
「遙照山厳蓮寺薬師院」の石柱が見えると急坂が待っている。昼食で重くなった体にはここが辛抱のしどころ、前屈姿勢で登って行く。
両面薬師堂が見えてきた。石造りの御本尊は前面(南)が薬師如来、背面(北)は釈迦如来だそうだがまだ拝顔したことはない。まずは薬師如来を参拝。
東には鐘楼があり、北へ回り込んで釈迦如来を参拝する。
隣り合って西には2基の電波塔があり、その南に鴨方町の歌人・中西稲影の歌碑が建つ。残念ながら自分には読み取れない部分が多い。あれこれ調べると『遙照山薬師院百体観音霊場 画像集』に詳しくあり、以下に引用させていただく。
「眼つむれ盤 その山川に 日の照れ里 知らすいつこそ 末さひし幾國 稲影」
(眼つむれば その山川に 日の照れり 知らずいづこぞ まさびしき国)
ここに「まさびしき」は「本当に寂しい」の意。
桜の木に結ばれた山頂標識を確認して三角点にタッチ!
山頂から西へ回り込んで下りると日月水火神社(ひつききびじんじゃ)の前に出る。
まだ12時過ぎだがもう下山するのかなと思っていたら、Oさんは進路を右手に。これって藤波池キャンプ場の方では?
かくして藤波池キャンプ場に到着。緑の池面が美しい藤波大池・藤波小池・藤波下池に囲まれたキャンプ場だが、一帯は入場料が要るので気軽に回遊はできない。普通の(?)遊歩道を行く。
先頭のOさんは皆を急坂へと誘導する。進行とは反対方向に「モミジ谷」の道標、キャンプ場周辺は紅葉の季節も素晴らしいことだろう。
傾斜が緩くなり東屋が見えてくる。到着して初めて分かったのだが、ここは夫婦松展望台だった。
道中で見え隠れして気になっていた夫婦松の下に立つことができた(少し離れてはいるが)。仲良く寄り添って立っている。やはりあれは妙見山かな? 307mピーク付近で眺めた富士山のようなのが煙っている。
4.展望岩~加賀池登山口へ下山
いよいよ下山にかかる。藤波下池の方へと下りながら振り返ると目鑑展望台の電波塔がお見送りだ。
南の分岐を通過してどんどん下りると車道出合に着き、ここで小休止する。
往路を引き返し、途中から西の分岐に入る。往路と重複しないようにとのルート変更で、気か利いているねぇ!
間もなくNo.32送電鉄塔を通過。
すぐ先の大岩の向こうは最高の展望スポット。巨大な岩が西に迫り出していてそろりと移動してみる。真四角な枡池とその手前に金地池が鈍く光っている。
次の分岐を「カガ池」の道標に従って左折する。左に祠が現れる。周辺には落葉ひとつ無く注連縄には真っ白な紙垂が垂れ、供えられた緑の榊が清々しい。
手書きのコース案内板が吊されている。復路は少し遠回りだったかも知れないが途中の展望は素晴らしかった。
側溝に架かる橋をひとまたぎして往路と合流、全員元気に加賀池へ帰着した。