名 称

ごしきだい:あおみね・いのしりやま・おおひらやま

所在地

香川県高松市

標 高

青峰 449m、猪尻山 483m、大平山 479m

山行日

2024年5月4日

天 候

晴れ

同行者

なし

アクセス

JR予讃線・国分駅下車

マップ

    
    
    

このマップは、国土地理院の電子国土Webシステムから提供されたものを使用しています。

コース概要

JR国分駅出発 8:55遍路休憩所 9:25登山口 9:38~9:42白い崖 9:52東屋 9:58~10:04
展望台 10:51一本松道標 10:58猪尻山・航空保安施設前 11:25~11:27大平山三角点 11:47
喫茶みち草付近(昼食)12:09~12:41青峰登山口 12:55青峰山頂 13:04~13:32青峰登山口 13:40
へんろ小屋道標 13:42へんろ小屋 13:48根香寺 13:58~14:28へんろ小屋 14:35
県道出合1 15:01県道出合2 15:17太陽光発電所 15:37鬼無駅 16:22

1.国分寺から登山口へ

 国分駅から県道に出て東へ歩くと左に「国分寺」への案内標識がある。

 標識にしたがって進むと「讃岐国分寺跡」の石柱と解説板がある。それを通り越して80番札所国分寺の方へ。仁王門の扁額には白牛山(はくぎゅうざん)とある。

 由来の解説には、奈良時代の中頃に聖武天皇の勅願によって建立されたこと、本尊は十一面千手観音菩薩であること、失われた七重塔は京都東寺五重塔を凌ぐ大塔であったことなどが記されている。本堂で参拝する。

 銅鐘は国の重要文化財に指定されていて奈良朝時代の鋳造、四国最古の釣鐘とのこと。境内には七重塔の礎石がほぼ元の状態で残っていて、その大きさが窺われる。

 国分寺を後にして登山口の方へ向かう。道路が入り組んでいるので地図と照合しながら注意して進む。鯉のぼりと黄色いハンカチに彩られているのは遍路休憩所。「お遍路さん おせったい処」の立て看板がある。

 そのまま北に進むと古びた手書きの道標があるのだが、車が駐車していて撮影できなかった。その角を右折して突き当たりを左へと進む。右にオリーブ畑があり、遠くに五色台の電波塔が見える。

 国分寺からゆっくり歩いて30分ほどで登山口に着いた。準備をしていると、遍路姿の男性がひとり足早に通り越していった。道標には「根香寺 5.1km」とある。

2.白い崖から県道出合・一本松道標へ

 墓地の脇の道を進むと5分ばかりで舗装道路と出合う。

 左に駐車スペースがあり、道は見通しよく左へ延びているがここは直進する。写真左のような石柱が目印になる。

 すぐ先に「へんろ道」の標識があるのを確認してどんどん進む。

 2~3分すると右側に白い崖が現れる。これは約1,000万年前の火山活動によって、火山灰と溶岩のかけらが積もってできた凝灰角礫岩(ギョウカイカクレキガン)の斜面だ。このあたりだけが別世界のような感じがする。

 すぐ先に「四国のみち川柳坂」の石柱が立ち、ここから階段が始まる。階段の右側には川柳句碑(石柱)が並び、1本ごとに句が刻まれている。
    鈴がなる大師の道に春の風  星野明生
    生涯を迷い続ける一人旅  吉原雲女
    山幾つ越えて明日の夢を見る  白井春雄
 ふ~む、ひとつずつ感心していては足が捗らず先を急ぐ。

 川柳坂が終わって石段を上がると東屋がありひと休みする。

 東屋から下りた先にはベンチの広場。右手に公衆トイレがある。

 石鎚神社の標柱があり、道標には「一本松(県道) 1.2km」とある。石鎚神社の方へ下りてみる。

 この奥には石鎚山のミニコースがあるようだがここでストップ。傍らの石仏は石鎚毘古命(いしづちひこのみこと)かな?

 元に戻ってしばらく進むと「大山祇神」が祀られている。大山祇神(おおやまつみのかみ)は山岳丘陵の守護神とか。

 遍路ころがしが近づいたあたりで、元気のいい外人男性二人のお遍路さんと出会う。ニッコリ挨拶して足早に追い越していった。すぐ後で下山中のハイカーと挨拶を交わす。

 汗が噴き出してくる。「一本松(県道) 0.8km」の道標とベンチが現れ、ここでも小休止する。

 もう一踏ん張りと歩き始めると「一本松(県道) 0.5km」の道標。しだいに道標の間隔が狭まってきた。

 が、ここからが「遍路ころがし」の始まりか? 30°もありそうな急階段が待っていた。

 で、今度は「一本松(県道) 0.4km」の道標。そして階段は続く。

 左側に風景の案内板があり、木々の間からその風景を眺めることができたのだが、あまりよく見えなかったのと、同じ側に「修行大師」の像があったのに気をとられて早々と通過する。実はこの右手に展望台があって、そこからの眺望は素晴らしいはずなのに大ミスをやらかしてしまった。

 さらに「一本松(県道) 0.1km」の道標があり、息を切らせて県道に出る。

3.猪尻山と大平山へ

 一本松の道標には根香寺への標識が取り付けられている。道路を横断して再び「四国の道」を歩きたいところだが、今回は猪尻山と大平山を最短コースで歩きたいので、車道を進むことにする。

 左の山上に電波塔を見ながら進み、急カーブを左へ回り込むあたりで、右の茂みに赤テープが結ばれているのに気付いた。猪尻山の山頂の近くだなと思いながら通り過ぎる。

 県道を歩き始めて20分ほどで猪尻山への分岐点に着いた。猪尻山の方向にドームのようなものが見えている。

 近づくとこれは航空保安施設で、柵と金網でガードされていて立入禁止。これはしかたない。

 ところが、隣の道路も柵と有刺鉄線で入れない。いちごECOエナジーの太陽光発電所が設置されていて通行をシャットアウトしているのだ。これではどうにもならない。山頂との標高差10mの場所に立ったことを良しとして引き返すことに。さっきのカーブで見かけた赤テープが気になるが、そこまで戻って不明な山道を往復する余力はない。残念!

 県道180号をさらに根香寺方面へ歩く。右に電波塔が見えてくると大平山登山口はすぐ近くのはずだ。

 左にチェーンで通行止めした進入路が現れ、脇を入っていく。

 電波施設に近づくが施設名を特定できる物はなく、何かは不明。近くに見えるピンクテープの周辺を探すが三角点は見つからない。

 その位置からさらに奥に見えているピンクテープへ移動して、左へ入り込んだら三角点標石と山頂標識がありタッチ!

 大平山も山頂部分はまったく眺望がなく、県道180号から時折見える風景に足を止めるだけ。

4.青峰からへんろ小屋へ

 ここが高松市との境界なのかな? 「四国の道」から県道へのクロスポイントだ。すぐ先の道標の手前からお遍路さんが現れた。

 続いて五色台スカイラインとの合流点。五色台休暇村方面からの車がやって来る。

 付近にはツツジが咲き乱れている。

 「うどん、おでん、珈琲」の貼り紙。「喫茶みち草」では食事の準備ができているようだ。前に広い駐車場があり、ここで昼食の弁当を開く。

 食事中に前の道路を車が行きすぎる。高速で走り抜ける外車、ツーリングのバイク集団、独り静かに漕ぐロードバイクなど。それにしても、ゆっくりではあるが「遍路ころがし」を登り、二つの山頂を踏んでここまで来ることができた。まだ余力があり、今後も当分は山歩きを続けられそうな感触が嬉しい。30分ばかり休んで行動を再開。最後の青峰を目指す。

 左に「根香寺」の標識があり、右には「鬼無」への標識。右の細道に入り込めるようで、「根香寺775m」の石柱が立っている。

 それをやり過ごして直進すると左手に特大の電波塔。間もなく「1449Hz RNC西日本放送」の案内板と対面する。ここが青峰の登山口だ。ところが、ここにも「関係者以外の立入禁止」の立て看板が設置されている。

 山頂に立ちたいだけなのでそっと入らせていただき、大型トラックでも上がれそうな幅広の舗装道を、右へ左へと何度も曲りながら登って行く。そして着いたのはRNCの巨大な電波塔。この一帯に三角点がないか探索するが見当たらない。

 左へ回り込んでNHKの放送設備の周辺を探すが、やはり見つからない。

 もう一度もとに帰って香川県の送信設備(防災行政無線中継所?)のあたりを探すがこれもダメ。

 結局、30分近い三角点の探索は空振りに終わって引き返す。青峰も山頂には放送施設が設置されていて眺望は得られなかった。

 50mほど進むと、右側に「へんろ小屋・五色台子どもおもてなし處」の案内板がありそちらへ進入する。

 分岐が現れて左側を進む。

 大輪の真っ白なナツツバキ、ピンクのツツジ、黄金色のヤマブキ、花々を観ながら「へんろ小屋・五色台」へ到着する。

5.根香寺からへんろ小屋へ

 へんろ小屋左の石柱道標「根香寺 0.2km」にしたがって林の細道を下りて行く。

 根香寺に到着だ。山門(仁王門)左の駐車場には満杯の車。右に「八十二番 根香寺」の石柱を見ながら前進する。

 山門の両側には大草鞋が奉納されている。扁額に「青峰山」、第82番札所の正式な名称は「青峰山 千手院 根香寺(あおみねさん せんじゅいん ねごろじ)」である。

 山門をくぐっていったん階段を下り、緑が爽やかな長い石段を上ると右手に大師堂がある。

 千手観音菩薩を安置した本堂に参拝する。お告げによって霊木で千手観音を彫像したところ、その霊木は香木で切り株から芳香を放ち続けたことから「根香寺」と呼ばれるようになったのが寺院名の由来とか。

 水かけ地蔵と梵鐘。

 山門を出ると左側の林の中に大きな怪物の像がありびっくり。これは伝説の牛鬼(うしおに)で、その昔、人間を食べる牛鬼という恐ろしい怪獣が棲んでいたのを退治して、その角を根香寺に奉納したとのこと(解説板『山の中の寺・根香寺』より)。それにしても、ちょっと場違いな感じが・・・。

 もと来た坂を登り返してへんろ小屋へ戻る。石柱の道標に「一宮寺 11km」とある。一宮寺の場所が分からないのでどうしたものか。手元の地図ではこの方向が下山路のはずであり、「へんろ道」の札も見えるので、ここを下りることにする。

6.へんろ道を鬼無駅へ下山

 少し進むと地蔵と墓石のようなものがあり、「へんろ道」の札が吊されている。

 眺望はまったくなく細道をどんどん進む。藤の花に出会ってほっとする。

 晴天の午後3時前なのに薄暗い場所があり、この道で間違いないかと不安になる。ときおり「へんろ道」の札と出合うことで安堵する。

 へんろ小屋からおよそ25分で県道に出ることができた(マップの「県道出合1」)。時間がずいぶん長く感じられた。

 そしてまた「へんろ道」へ入る。つづら折りの車道をショートカットできるルートである。

 細い道だがよく手入れされている。あちこちに草刈りばさみが立て掛けられていて、「お願い へんろ道の維持にご協力下さい 次の方のために草刈りお接待おねがいします」のプレート。過疎化と高齢化が進むなかでは、通りすがりであっても、できる人が人を支える、こんな方法は大切にしたい。

 ほんのわずかだが眺望が開けるところもあり、足が止まる。

 しかし薄暗いところもありで、足早に通り抜ける。

 出合った県道をすぐに横切って「へんろ道」歩きを続行する。

 道幅が広くなり傾斜地に松が栽培されている。ちなみに、今回のスタート地点の国分寺地区から終点の鬼無地区にかけては、松の盆栽で全国約8割のシェアを占める一大産地である。

 家屋らしきものが見えてきて、マップの「県道出合2」にたどり着いた。

 一面にソーラーパネルが広がっている。鬼無太陽光発電所のそばを通過する。

 ガードレールに「盆栽通り」の案内板。高松の中心部と屋島、瀬戸内海が見える。

 「盆栽通り」の反対側に「へんろ道」の道標があり、そちらへ進むと舗装道路の長い急坂が続いている。写真ではわかりにくいが、この急な下りはブレーキをかけながら進まなければならず、足裏が痛くなった。

 三つの溜池を右に見ながら進むと、植栽や造園関係の栽培園が増えてくる。

 讃岐街道(県道33号)に突き当たると、左向こうに鬼無駅が見えている。

 三山の山頂からの眺望を期待していたのだが、すべてガッカリ。ロケーションが良い山には電波塔がつきものかもしれないが、そのせいで周囲を見渡せない山が三座も連なるのは珍しい。青峰から大平山にかけての県道180号を歩くと、大型の電波塔がそびえ立ち、その他の携帯電話会社の鉄塔なども林立していて、それ自体がひとつの景観と言えなくもないのだが・・・。しかし、よく整備された「へんろ道」の行程はとても爽快で(下山路の一部は不安だったが)、こころ静かに歩くことができた。
 それはさておき、8時55分にJR国分駅からスタートして7時間半、無事に予定の鬼無駅へ到着した。距離は定かでないが15km程度は歩いたのではなかろうか。かなり無駄な時間も費やしたが、これで今後も山歩きを続けていけそうな感触を得ている。しかしそれは条件付きになりそうだ。まずは余裕をもった計画、そして状況に応じて適宜休憩をとることができるなど。今回の「遍路ころがし」では少しばかり時間がかかったが、かなり楽に登れたのも気ままに歩き方を調整できたからだと思う。それこれで、健脚の仲間たちとの山行はもうしばらく先になりそうだ。