名 称

しっぽうさん(しっぽうざん)・いなづみやま

所在地

香川県観音寺市・三豊市

標 高

449m

山行日

2015年6月23日

天 候

曇り時々晴れ

同行者

なし

アクセス

JR予讃線・観音寺駅からコミュニティバスで室本バス停下車

マップ

このマップは、国土地理院の電子国土Webシステムから提供されたものを使用しています。

コース概要

観音寺駅 8:36(コミュニティバス)室本バス停 8:53~9:00高屋神社里宮 9:20~9:28
稲積山山頂・高屋神社本宮 10:35~10:43七宝山下山口駐車場 10:50三差路 11:06
電波塔 11:12三差路 11:18展望広場(昼食)11:30~12:08三差路 12:18上之山山頂 12:29
展望広場 12:40七宝山山系最高地 12:47~13:00展望広場 13:10三差路 13:18
七宝山下山口駐車場(小休止)13:31~13:35稲積山山頂・高屋神社本宮 13:43~13:54
高屋神社里宮 14:35参道口東屋 14:40~14:45室本バス停 14:57~15:37(コミュニティバス)
観音寺駅 15:47

1.高屋神社里宮から登山道入口に向けて

 JR観音寺駅前から三豊市コミュニティバス仁尾線で約10分、室本バス停で下車する。

 これから登る山の方向はガスで霞んでいる。バスの進行方向と逆に、軽トラックが走っている道路へと道なりに行く。

 左にカーブしたあたりに「四国のみち」の道標が立ち、高屋神社まで0.6kmとある。100mほど進むと別の道標があるので、それにしたがって坂道を登ると石鳥居が見えてくる。

 鳥居の向こうには東屋があり数台の車が停まっていた。ハイカーの車かと思っていたら賑やかな声が聞こえる。左奥に広場があって、グラウンドゴルフをプレー中。それを脇目に、広い舗装道路を山に向かう。

 石段を登ると高屋神社里宮の境内に出る。高屋神社は稲積山(いなづみやま)の麓にあるので、稲積大社とも呼ばれている。壁に「高屋まつり」のポスターがあった。桜咲く4月11日に宵宮、12日に本祭が催されたようで、金糸銀糸の刺繍に彩られた何基もの千歳楽と御神輿の写真は、見ているだけでワクワクする。

 山行の無事を祈ってから拝殿を裏に回り込むと、山への道が開けている。準備運動をして、ゆっくりと歩き始める。

2.稲積山山頂・高屋神社本宮へ登る

 高屋神社本宮への参道なので、入口には石柱に注連縄を張った注連柱(しめばしら)が建っている。右の屋根がついたのは神輿置き場である。「ここから上は軽自動車は登れるが、普通車以上はむり」と掲示されている。

 長い九十九折りの急坂が続く。途中に「猪の罠多数あります、ご注意ください」の貼り紙。10分ほど登ると広場があり石鳥居が見えてきた。

 鳥居の中に祠が祀られているのは高屋神社中宮である。その左の林にはイノシシの檻が仕掛けられていた。

 7~8分進むと「八丁」の丁石があり、参道は土の道に変わる。

 細くなったジグザグ道を、したたり落ちる汗を拭きながら登る。ところどころにもろくなった岩場も見られる。

 落ち葉を持ち上げて顔を出しているのはテングタケ。なかなかの美形だがこれは毒キノコである。「六丁」の丁石の先には金属製の橋が架かっている。

 木々の間からボンヤリと下界が見えるが、どこが見えているのか見当もつかない。岩場にイバラが花をつけている。

 さらに折れ曲がった急坂が続く。岩場を通り越したあたりで展望が開けるが、モヤでほとんど見えない。今しがた通ってきた高屋神社里宮にズームで寄ってみる。

 このあたりで出会ったキノコたち。

 オカトラノオだ。虎のしっぽのように垂れ下がっている。房のように咲いた小さな白い花は、ひとつひとつが美しい。

 「三丁」の丁塚が現れた辺りから傾斜が緩やかになり、ウツボグサが咲いている。

 石段が現れた。しばらく登って上を見上げるとまだまだ続いている。上の方を雲のようなものが横切っていく。不安定な石もあるので注意深く足を運ぶ。

 石段の途中では2種類の蝶に出会った。

 ようやく到着した石鳥居をくぐって振り返るが、相変わらずモヤで何も見えない。傍の木に「稲積山 404m」の山名標がかかっていた。

 一段高いところにある高屋神社本宮へ進んで拝礼する。

3.高野山三角点を確認して七宝山系最高地へ

 お昼にはまだ早いので、小休止後は舗装道路を北東にたどる。周辺の山々も霞んでいてまったく透明感がない。

 急勾配で下る舗装道の途中には、いくつもの文学碑が建てられている。「たった一度しかない人生を、たった一人しか居ない自分を、本当に生かさなかったら、人間生まれて来た甲斐がないじゃないか」と刻まれた山本有三『路傍の石』の一節。懐かしくも感慨深い文章である。
 そうこうするうちに、七宝山下山口に下りてきた。ここは高屋神社本宮の駐車場になっていて、ここから本宮方面へは車では入れない。

 舗装道の左下の方に山歩き用の道があるようだが、草が茂っていたので舗装道を下って行く。道の辺に一輪の月見草が咲く。

 左の山側には松の若木が勢いよく育っていて、枯れた松がまったく見られない。近づいてきた右隣の山を眺めると、山全体が深緑の松に覆われている。この一帯は松食い虫被害とは無縁のようである。

 ヤシャブシが緑のかわいい実をつけている。アザミの花に留まる蝶と、風にそよぐアザミの胞子。

 三差路に出た。まずは南東に見える電波塔へ行くことにした。

 少し先の分岐を右にとって上がって行くが、道路の先はフェンスに遮られている。建家の上に大きな電波塔が設置されているが、どこのものかは判らない。地図上の431mピークに間違いないが、そこから先は行き止まりなので引き返すことにした。

    

 三差路に戻るとアザミが「いらっしゃ~い」のポーズ。残す一本の舗装道を北へと急ぐ。

 舗装道路はここで終わり林道に繋がっている。林道の轍を踏んで進む。

 広場についた。香川県林務課作成の「生活環境保全林の案内図」が設置されているが、簡略地図上には展望広場とか多目的広場と記載されているだけで、山名やピークはまったく記されていない。位置関係がわからないまま、とりあえず隣接した展望広場へ上がることにする。

 ガスに煙って展望広場からは何も見えない。時刻が11時半を過ぎているので、ゆっくりと昼食をとることにした。そのうち、少しだけ薄くなったモヤを通して、おぼろげながらも風景が浮かび上がってきた。すぐ下方に見えているのは仁尾の海岸のようだ。ズームで寄り、さらに海側にカメラを振ると王蔦島と小蔦島らしきものが認められる。
 モヤがなければ、眼下には荘内半島が広がり、以前に瀬戸内登山同好会の仲間たちと登った紫雲出山がそびえているはずなのだが、残念!

 ふたたび三差路へ引き返し、今度は道標の「稲積山」の方向へと草をかき分けて入って行く。すぐにしっかりとした山道になった。

 その先に広がる素晴らしい光景。オカトラノオとウツボグサの群落だ。白と紫が重なり合い混ざり合っている。

 シャッターを切ると同時に飛び去った蝶。すぐ先に道標が立っている。地図と照合すると、どうやら高野山への裏道を歩いているらしいことが分かり、「七宝山」方面へ右折する。

 岩場を越えると、黄色い花火のようなマルバマンネングサが岩に貼りついている。

 タンクのようなものが見えて、そのそばに一等三角点が設置されている。ここが標高444.2mの高野山(たかのさん)山頂である。手元の三角点情報によると、この地点の山名は七宝山(しっぽうさん)になっている。したがって、ここを七宝山山頂としても良いのかも知れない。

 ところがすぐ傍に、まったく同じ標高で「上之山」の山名標が立てられている。三豊市里山愛好会のみなさんが設置したものである。それにしても、どうしてここにこの山名なのか、ひと言解説があったらなぁ・・・。これは考え込んでも仕方ないので、さっさと先へ進む。

 そしてまたまた、昼食をとった展望広場に到着することになり、この付近の山道事情が少しばかり読めてきた!
 さらに先へ進むことにして、なだらかな道を北に向かう。

 広場に白いポールが見えてきた。道標から、ここは稲積山と七宝山の間に位置し、東方向にある中央宮池登山口への分岐であることが判る。ということは、ここは七宝山ではないと言うことでもある。イヤハヤ、ずいぶん理屈っぽくなってしまった。

 ところがである、平成27年、すなわち今年2月に設置された白いポールには「七宝山山系(志保山)最高地(つず)四四九メートル」と明記されている。ちなみにこれは「まちづくり推進隊豊中」の皆さんが設置したものである。一般的に(?)いわれている標高450mには1m足りないが、ここが最高峰と宣言されているので、これで良しとする。
 予定ではさらに北の志保山まで歩くつもりだったのだが、行く手は薄暗い。それに帰路のバス時刻のこともあり、ここを終点とした。

4.往路を下山する

 三差路に立つのはこれで4度目。舗装道を帰ろうとすると、チラリと小さいものが目の前を横切った。なぜか瞬間的に「ホタルだ!」と思って追いかけると草に留まり、シャッターを切る。先月、岡山県自然保護センター主催の自然観察会に参加して、何十年ぶりかでホタルを観賞することができた。その時の強い印象が、今の気づきとアクションにつながったに違いないと、不思議な思いで感謝した。

 ホタルの次はホタルブクロ、という語呂合わせではない。本当にホタルブクロが咲いていたのだ。少し色あせてはいるが美しい姿に見とれてしまう。

 高屋神社本宮の駐車場を過ぎ、最後は息切れしそうな急坂を登り切って本宮鳥居に帰着する。ややモヤは薄らいだが、三豊方面の風景はなおおぼろげだ。

 下りの石段は一気に地上を目指すようで気持がいい。揺れるシダも気分を爽快にしてくれる。

 かなり下りてきたのだが、讃岐七富士の江甫草山(つくもやま)はまだ煙ったままだ。クサフジが一面に咲いている。

 注連柱(しめばしら)まで戻ってきた。さらに下りて山を振り返る。白いのは電波反射板。

 バスまで時間があるので、休憩をとりながらゆるゆると足を運ぶ。不思議な山だったが、「この山系のピークには適当な名前をつけて楽しむのも有りか?」と、ふと思う。山名標や道標が、必ずしも適切とは言えないにしても、その設置の背景に、何となくこの山域を愛する人たちの洒落っ気が見えたような気がしたのである。